「朝からブルマンの男」
とっても気になるタイトルに惹かれて読みたくなりました。
どんな男なんだ?
なんかスカした感じがする(笑)
という予想はいつもながらの大いなる勘違いで、スカしたどころではなく、彼は大いなる不安と戦いながら、苦いコーヒーを流し込んでいたのであった。
読者を勘違いさせるのはミステリ作家の腕前である。
初めましての作家さん。
というか、本書で書籍デビューされたそうです。
そうは思えないほど、安心できる読み心地で、嬉しいびっくり。
冬木志亜(ふゆき しあ)は、桜戸大学(おうとだいがく)1年生。同じ大学の哲学科2年の葉山緑里(はやま みどり)に声をかけられて、彼女が会長を務めるミステリ研究会に所属することになった。メンバーはまだ二人だけ。
志亜はまず第一に、ミステリ小説の話を思い切りできる相手に出会えて嬉しかった。
そして難事件を解いていく先輩、かっこいい!と憧れる。
でも、自分は、突っ走って足を引っ張ったり、トンチンカンな推理を連発して次々否定されたり・・・先輩の役に立っているのだろうかと、心揺れる。
(このコンビが育つと、火村とアリスみたいな関係になるのかも)
収録された短編5つは、みんな傾向が違っていて飽きさせない。
暗号、トリック、基本的な科学、鉄道ミステリ、モース硬度。
真ん中の3作目に、とびきり美味しいものがたくさん出てくるお話がサンドされていて気分転換できるのもいい。
そして、それぞれのラストには必ず気持ちをスッキリさせてくれる工夫がある。
【朝からブルマンの男】
志亜がバイトしている喫茶店に、火、水、木の開店と同時にカウンターに来て必ずブルーマウンテンを注文する客がいた。
オーナーは、ブルマン氏がコーヒーを残すのを気にしている。すごく嫌そうな顔で飲んでいるし・・・
【学生寮の幽霊】
途中で、「あ『屋根裏の散歩者』でしょ?」と思うが、すかさずその考えは潰される
犯行動機にはちょっと悲しくなる。そんなふうに欲が出ちゃったのね
【ウミガメのごはん】
おかんのごはんが金曜日だけまずいねん!
「水平思考ゲーム」、出題者は不可解なシチュエーションを提示し、回答者はどんな経緯でそうなったのかを推理する。
ミステリを読む時はいつもそんな気分、それが楽しい
【受験の朝のドッペルゲンガー】
親友を信じたい気持ちと疑いの気持ちの間で揺れ続けて・・・
二人のレールが再び交わる日が来るのか
【きみはリービッヒ】
「リービッヒ」という人名から、化学反応が謎を解く鍵なのかと思ったら、「リービッヒ」は違う意味で使われました。
サークル室。いいなあ。かけがえのない日々の象徴のようです。