作品一覧

  • 帝国陸軍―デモクラシーとの相剋
    4.5
    1巻1,210円 (税込)
    陰湿、粗暴、狂信的……と語られてきた大日本帝国陸軍。 しかし実際には、建軍当初から、国際的視野を持つ開明的な将校などは多く存在していた。一九四五年の解体までの七十余年で、何が変化したのか――。 本書は、日露戦争勝利の栄光、大正デモクラシーと軍縮、激しい派閥抗争、急速な政治化の果ての破滅まで、軍と社会が影響を与え合った軌跡を描く。 陸軍という組織を通し、日本の政軍関係を照らす、もう一つの近現代史。 目次 はしがき 第1章 栄光からの転落 第2章 第一次世界大戦の衝撃 第3章 ポスト大戦型陸軍への挑戦 第4章 「大正陸軍」の隘路 第5章 「昭和陸軍」への変貌 第6章 陸軍派閥抗争 第7章 政治干渉の時代 第8章 日中戦争から対米開戦へ 終 章 歴史と誤り あとがき 主要参考文献 関連年表
  • 1918⇌20XX 歴史は繰り返す【WOP】
    -
    1巻968円 (税込)
    【WedgeONLINE PREMIUM】 1918⇌20XX 歴史は繰り返す ナチ党の台頭、世界恐慌、満州事変など、さまざまな出来事が世界を揺さぶった、第一次世界大戦と第二次世界大戦の狭間の「戦間期」。この短くも波乱の歴史は、米中対立やウクライナ戦争など、再び動乱の時代へと突入しつつある現代を生きる私たちに、重要な気付きを与えてくれる。日本史から世界史まで、23人の気鋭の専門家たちが「戦間期」を読み解いた。 この記事は、月刊誌『Wedge』で、2021年9月号(8月20日発売)から23年8月号(7月20日発売)にかけて掲載された連載『1918⇌20XX 歴史は繰り返す』を電子書籍化したものです。 Vol.1 神話化される「ナチ宣伝」21世紀の危機を見抜くには/佐藤卓己(京都大学大学院教育学研究科教授) Vol.2 危機の米国を導いたローズヴェルトのリーダーシップ/佐藤千登勢(筑波大学人文社会系教授) Vol.3 単なる「失敗」ではない 理想を示し規範を作った国際連盟/篠原初枝(早稲田大学国際学術院大学院アジア太平洋研究科教授) Vol.4 日英同盟廃棄から学ぶ「強固な日米同盟」実現の鍵/中谷直司(帝京大学文学部社会学科准教授) Vol.5 ユダヤ人虐殺を容易にしたナチ体制の「上下間の責任転嫁」/田野大輔(甲南大学文学部教授) Vol.6 「排日移民法」抗議運動が示す 太平洋戦争へと続く道/渡邉公太(帝京大学文学部日本文化学科専任講師) Vol.7 なぜ日本は軍縮から脱退したのか「艦隊派悪玉論」を再検討/畑野 勇(根津育英会武蔵学園 学園記念室室長) Vol.8 現代米国外交の起源 ウィルソン主義は何を目指したのか/高原秀介(京都産業大学国際関係学部国際関係学科 教授) Vol.9 失敗した英国の宥和政策現代と重なる第二次大戦前夜/細谷雄一(慶應義塾大学法学部 教授) Vol.10 テロと戦争への道を拓いた大正日本経済のグローバル化/牧野邦昭(慶應義塾大学経済学部 教授) Vol.11 ナチ台頭許した「ヴァイマル共和国」 社会の分断が招く破滅/板橋拓己(東京大学大学院法学政治学研究科 教授) Vol.12 破壊された国際秩序 戦間期の欧州はいかに再建したのか/藤山一樹(大阪大学大学院人文学研究科 講師) Vol.13 ヒトラーに屈したオーストリア 独立守るのに必要なこと/髙橋義彦(北海学園大学法学部政治学科 准教授) Vol.14 戦前から続く日本人の「軍隊嫌い」深い溝の根源は何か/髙杉洋平(帝京大学文学部史学科 専任講師) Vol.15 今も米国に残る「黄禍論」人種主義なる〝病〟と向き合うには/廣部 泉(明治大学政治経済学部 教授) Vol.16 山県有朋の死から100年 明治日本は何を目指したのか/小山俊樹(帝京大学文学部 教授) Vol.17 揺れ続けるスペイン内戦への評価 歴史とは何なのか/細田晴子(日本大学商学部 教授) Vol.18 日本を惹きつけるサハリンの資源「政経分離」は可能なのか/麻田雅文(岩手大学人文社会科学部 准教授) Vol.19 諜報の本分を見失った戦間期日本 稚拙な対ソ連秘密工作/増永真悟(慶應義塾大学SFC研究所 上席所員) Vol.20 対米開戦に至った「南部仏印進駐」なぜ、日本は「決めた」のか/森山 優(静岡県立大学国際関係学部国際関係学科 教授) Vol.21 日中対立の原点「山東問題」外交の大失敗はなぜ起きたのか/奈良岡聰智(京都大学大学院法学研究科 教授) Vol.22 「外交こそが戦争」と考えた中国大国化の立役者・蔣介石/家近亮子(敬愛大学国際学部 教授、放送大学 客員教授) Vol.23 日ソの「宣戦布告なき戦争」ノモンハン事件が示す教訓/花田智之(防衛研究所戦史研究センター 主任研究官) Vol.24 満州事変から日中戦争へ日本を破滅に導いた楽観主義/髙杉洋平(帝京大学文学部史学科 専任講師)

ユーザーレビュー

  • 帝国陸軍―デモクラシーとの相剋

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    本書では、建軍から日米開戦までの日本史を扱っています。
    ①陸軍内部における将校個人の動向と、②陸軍と内閣・議会(政党)・世論といった国内政治との関係の2点が主に描かれます。
    海軍や外国の描写は少なめです。
    頻繁に典拠を挙げて史学的な基礎づけを行う一方、個々のアクターの思惑をかなり明快に描写することで読み物的な面白さがあります。
    (私は史学についてはでよく分かりませんが、p.268で書いているように、もちろん著者は歴史描写に伴う単純化の陥穽について自覚的です。)

    寡兵で装備も貧弱な戦前の日本は、縦深のありすぎる日中戦争を行ったり、国力に差のありすぎるアメリカと開戦したりと、純軍事的に見ても訳の

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    2025年08月25日
  • 帝国陸軍―デモクラシーとの相剋

    Posted by ブクログ

    戦前史に関心のある人なら必読の書。
    これまで言われてきた大正デモクラシーで出てきた民主主義の萌芽を帝国陸軍が軍国主義で押し潰し、国民はその圧政に苦しんでいたという通説をひっくり返す。
    歴史がいかに皮肉と逆説に満ちたものかを感じさせる。

    一次大戦後の平和主義と民主主義が軍人軽視につながり、一方で陸軍は総力戦と軍の近代化に焦りを募らせる。
    社会に適合しようとした陸軍は、次に中国の反日運動と不況の中、世の中の影響を受け、社会改造に乗り出す機運が高まる。
    軍縮の動きの中、融和的な宇垣軍政は政党に軍改革の矛を鈍らせ、軍の特権的地位を保持することを許す。

    大正デモクラシーにおける陸軍を抑圧した動きが昭

    0
    2025年08月20日
  • 帝国陸軍―デモクラシーとの相剋

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    帝国陸軍を大正デモクラシー期から昭和にかけて見ていく書籍。日露戦争で勝者となったものの、その後国民からの冷たい視線に晒されて徐々に自壊していく。派閥争いや過度な政治介入を経て自らの組織だけでなく国そのものまでを滅ぼす戦争へと突入する。その過程においてさまざまな選択肢が存在するものの、どれを選んでもあまり明るい未来が見えないのが昭和陸軍の性格を表していると感じる。数々の選択が後々自らの首を絞めることになろうとは、全く皮肉としか言いようがない。

    0
    2025年08月03日
  • 帝国陸軍―デモクラシーとの相剋

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    太平洋戦争へ突き進む帝国陸軍。国力で遥かに日本より勝るアメリカとの戦争へ突入し、広島長崎への原子爆弾投下で降伏、GHQによる占領も経験した。後世の我々から見たら重化学工業力も資源の量(日本は石油をアメリカから輸入)も全く及ばない10倍以上の国力を有するアメリカに挑むなど、愚かな行為にしか感じられない。だが、日本がその道に進まざるを得ない歴史の下り階段は、明治、大正時代を経て確実に日本の国内に階段を数段飛ばしで駆け降りていく要因が形成されていく。
    明治維新を経て日本は海外の先進的な国々から武器を手に入れ戦術を学び、後進国ながらも確実に軍事力を身につけ始めた。まだまだ追いつかない技術力も、他国から

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    2025年09月26日
  • 帝国陸軍―デモクラシーとの相剋

    Posted by ブクログ

    例えば保阪正康の『昭和陸軍の研究』が昭和の戦争と陸軍の行動原理を外側から客観的に分析したものだとすると、本書は陸軍の内側からその行動に至る主観的動機を探るものと言えるかもしれない。
    動機の源を大正デモクラシー期から蔓延する大衆的「アンチ・ミリタリズム」おく著者は、従来の「陸軍の専横が戦争を招いた」とする歴史観に対し、政党と大衆というデモクラシーの要素と陸軍との距離感、そして陸軍内部の派閥をはじめとする人間関係の時局に応じた変遷をたどることで、「専横に至る必然」を説明しようとする。
    するとどうしても通底する反軍感情と満州事変以降の好戦的ナショナリズムという相反する大衆意識に直面せざるを得なくなり

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    2025年09月05日

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