髙杉洋平の作品一覧
「髙杉洋平」の「帝国陸軍―デモクラシーとの相剋」「1918⇌20XX 歴史は繰り返す【WOP】」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「髙杉洋平」の「帝国陸軍―デモクラシーとの相剋」「1918⇌20XX 歴史は繰り返す【WOP】」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
本書では、建軍から日米開戦までの日本史を扱っています。
①陸軍内部における将校個人の動向と、②陸軍と内閣・議会(政党)・世論といった国内政治との関係の2点が主に描かれます。
海軍や外国の描写は少なめです。
頻繁に典拠を挙げて史学的な基礎づけを行う一方、個々のアクターの思惑をかなり明快に描写することで読み物的な面白さがあります。
(私は史学についてはよく分かりませんが、p.268で書いているように、もちろん著者は歴史描写に伴う単純化の陥穽について自覚的です。)
寡兵で装備も貧弱な戦前の日本は、縦深のありすぎる日中戦争を行ったり、国力に差のありすぎるアメリカと開戦したりと、純軍事的に見ても訳の分からない行動だらけです。
(軍学校の戦史研究でナポレオンが広大なロシアを征服しきれなかったことを学んでいるはずだし、外国への留学等でアメリカの国力は承知していたはず。)
こうした行動について、本書では、その時その場の状況に限って言えば、少なくとも陸軍将校である当人たちにとっては合理的理由があったことを説明してくれます。
満州事変以降は「どうしてこうなった!」という皮肉な展開の連続です。
日中戦争の泥沼化、大東亜共栄圏という目的の後付け、ドイツの快進撃への便乗。この過程で行われる手段と目的の顛倒と自己正当化が、その後の日本の選択肢を縛っていきます。
自分が日本人であるということを忘れられれば、かなり面白い本だと思います。
でも、やっぱりこうした展開は読んでいて切なくなります。
読者である私たちも、何百万人の将兵の命こそ背負っていないものの、組織の一員として働く以上、こうした手段と目的の顛倒や自己正当化の愚を犯す危険は常にあるからです。
いわゆる戦場の霧はどんな仕事にもある以上、選択を誤ったり、何か重大な要素を軽視したりといったことを避け切れるとは限らないわけで、こうしたことに対する不安や憂鬱を抱きしめて働くしかないのですが…何ともはやです。
Posted by ブクログ
戦前史に関心のある人なら必読の書。
これまで言われてきた大正デモクラシーで出てきた民主主義の萌芽を帝国陸軍が軍国主義で押し潰し、国民はその圧政に苦しんでいたという通説をひっくり返す。
歴史がいかに皮肉と逆説に満ちたものかを感じさせる。
一次大戦後の平和主義と民主主義が軍人軽視につながり、一方で陸軍は総力戦と軍の近代化に焦りを募らせる。
社会に適合しようとした陸軍は、次に中国の反日運動と不況の中、世の中の影響を受け、社会改造に乗り出す機運が高まる。
軍縮の動きの中、融和的な宇垣軍政は政党に軍改革の矛を鈍らせ、軍の特権的地位を保持することを許す。
大正デモクラシーにおける陸軍を抑圧した動きが昭和恐慌の中、歯車は逆に動き出し、陸軍は国防への危機感と国政改革への使命感、軍人蔑視へのルサンチマン、それらが相混じり、国際情勢への読み間違いもあって最悪の道を辿った。
本来、山縣有朋が目指した統帥権独立とはこういう社会の動きから隔離された軍を目指したものではないか。
問題であったのは統帥権ではなく、政治家や国民が権力を持ったにも関わらず、軍を適切に扱えなかったことにあるように思われる。
そしてそれは戦後にそのまま裏返しとなって、自衛隊への迫害、蔑視になっている。
(個人的には小学校の日教組の教師が露骨に自衛隊員を差別していたことにいまだに憤りを覚える)
アメリカの世界支配の中であればそれも問題なかったが、これからの厳しい国際情勢の中で、日本人はこんどこそ軍を適切に扱えるだろうか。