第1章 経済の基本は「選択」と「トレードオフ」
・経済とは「限られた資源をどう使うか」という選択の積み重ねである。
・何かを選ぶときは必ず「何かをあきらめる」ことになる。これが「機会費用」の考え方。
・たとえば「残業する」にイエスと言えば「娘に本を読む」にノーを言うことになる。
・すべての意思決定にこの「イエスとノーの関係」が潜んでいる。
第2章 需要と供給が市場を動かす
・価格が下がれば需要は増える。これが「需要の法則」。
・ただし「高いほうが欲しい」という例外(見せびらかし消費)もある。
・供給側では「限界費用=限界収入」になるまで作り続けるのが利益最大化の原則。
・市場は売り手と買い手が「見えざる手」に導かれて効率的な結果を生み出す。
第3章 市場はなぜうまくいくのか
・朝食のパンやコーヒーが当たり前に手に入るのは、世界中の何千万人もの人の選択が市場を通じて調和しているから。
・だれも全体を指揮していないのに、自然にモノが行き渡る。これが市場の「見えざる手」の力。
・市場は分業と交換によって社会全体を効率化する仕組み。
第4章 市場の限界と失敗
・「取り放題」でみんなが取りすぎると資源が枯渇するように、市場には限界がある。
・気候変動も「市場の失敗」の一例で、環境コストが価格に反映されていない。
・市場は万能ではなく、共有資源や長期的影響には調整が必要。
・人は「将来より目先」を重視してしまい、環境問題を後回しにしがち。
第5章 完全競争と独占のはざまで
・理論上の「完全競争市場」では企業は誠実に行動し余分な利益を得られない。
・現実では独占・寡占が多く存在する。
・独占は悪とされるが、場合によっては「規模の経済」や「特許制度」によりイノベーションを促す。
・「良い独占」と「悪い独占」のバランスが重要。
第6章 情報の非対称性と「レモン市場」
・買い手と売り手が持つ情報が異なると、不誠実な取引が生まれる(例:欠陥車=レモン)。
・情報の不完全さは市場の信頼を損ない、結果的に全体の効率を下げる。
・気候変動問題でも複雑な情報が混乱を招いている。
第7章 労働市場と賃金の仕組み
・賃金は「労働の限界生産力」で決まる。
・どれだけ価値を生み出せるかが給料に反映される。
・賃金を上げるには「自分の生産性(人的資本)」を高める必要がある。
・新しいスキルへの投資が長期的な収入と経済成長を支える。
第8章 経済成長と豊かさ
・経済成長が人々の生活の質を大きく変えてきた。
・GDPはその成長を測る基本指標であり、「生産・分配・支出」の3つの面から計算できる(=三面等価の原則)。
・ただし生活の実感を知るには「一人当たりGDP」で見ることが大切。
・経済が成長すれば教育・寿命・生活水準が上がる。
第9章 成長を生み出す4つの要素
・経済の生産を支える4要素は「土地・労働・資本・技術」。
・土地には限りがあり、資本(機械・設備)は老朽化する。
・だからこそ技術進歩が鍵となる。
・技術とは知識や制度、発明など「生産性を高めるすべて」。
・ただし新技術は古い産業を壊し、格差を広げることもある。
第10章 分業・比較優位・貿易の力
・分業は「得意なことに集中する」ことで全体の生産性を上げる。
・国レベルでも同じで「比較優位」に基づく貿易によって双方がより豊かになる。
・イギリスはイチゴ、エクアドルはバナナのように、得意分野に専念して交換することで全体の利益が最大化する。