柳宗悦の著作は未だ読んでいないが、もの作りをする者として知っていなければならぬ人物と思い、そのガイドとなるのではと思って本書を読み始めた。
僭越な言い方をすれば、これほどの人物も西洋に気触れ、日本のアイデンティティの模索を始めている。そこに僕自身の思考過程を重ねることが出来、親近感を持ちながら読ん
...続きを読むだ。
この本から受ける柳の印象は、論理の人であると思った。西洋に対する日本の論理の構築を目指している人であって、柳自身が民藝の中に見いだそうとしていた無心さえ、論理の西洋vs無心の日本を導こうと必死であった印象を受けた。時代は異なるが岡本太郎のように直観で日本を良さを見いだす人とは真逆であると思った。極端な言い方をすると、西洋コンプレックスから、消去法で民藝を見いだしたようにさえ思えた。
作家性を廃しギルドで手仕事を行うこと、社会主義的、アナーキーなところは今の僕らにはとても理想主義なところがある。資本主義の行き過ぎた社会のなかでは柳の思想はギャップがかなりある。ヒントはこの本を読んだだけでは見いだせない。
ただ少なくとも、柳は思案に留まることなく実践した者なのだから、素晴らしい。この本を入り口として柳宗悦の著作も読んでみて、引き続き自分なりのヒントを探してみたいと思った。