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民芸運動の創始者として知られる柳宗悦.その生涯は,政治経済的弱者やマイノリティに対する温かい眼差しで一貫している.それはどのような考えからきたのだろうか? それは,「世界は単色ではありえない」という確信に由来するのではないか.文化の多様性と互いの学び,非暴力を重視し続けた平和思想家としての柳を浮彫りにする.
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Posted by ブクログ
民芸運動の旗手という狭い枠から柳を解き放ち、「複合の美」という観点からその平和思想的側面をあぶり出すという軸のもとに書かれた好著。 柳の思想的遍歴を辿りつつ、現代的諸課題への対応についての可能性を、著者は「複合の美」という視点から捉える。またキリスト教、禅宗、そして真宗への傾倒と時代を追って深まる...続きを読む柳の宗教思想家としての側面も大いにクローズアップされており、勉強になった。
「民芸運動」で知られる人物であるが、私的にはその思想に強く惹かれるものがある。彼が共鳴し、思想の根幹とも思われる二元論は今後の人間のあるべき姿を描き出しているようにも思われる。
大ファンである柳宗理氏のお父様。デザインと機能が共存する宗理シリーズの源流がここにあるのかもしれない。
伝記的な事柄を色々と勉強させていただきました。ただ、柳という人物を現代にいかに活かすか、という議論はあまりに紋切型で楽観的だったように思う。 肯定的に描くという戦略は意識的に採られたわけなんだが、その結果として論が一本調子になった面はあるだろう。 批判的な捉え方が欲しかったし、そちらの方が、人物...続きを読むの像としてふくらみが出たように思うんだ。
柳宗悦の著作は未だ読んでいないが、もの作りをする者として知っていなければならぬ人物と思い、そのガイドとなるのではと思って本書を読み始めた。 僭越な言い方をすれば、これほどの人物も西洋に気触れ、日本のアイデンティティの模索を始めている。そこに僕自身の思考過程を重ねることが出来、親近感を持ちながら読ん...続きを読むだ。 この本から受ける柳の印象は、論理の人であると思った。西洋に対する日本の論理の構築を目指している人であって、柳自身が民藝の中に見いだそうとしていた無心さえ、論理の西洋vs無心の日本を導こうと必死であった印象を受けた。時代は異なるが岡本太郎のように直観で日本を良さを見いだす人とは真逆であると思った。極端な言い方をすると、西洋コンプレックスから、消去法で民藝を見いだしたようにさえ思えた。 作家性を廃しギルドで手仕事を行うこと、社会主義的、アナーキーなところは今の僕らにはとても理想主義なところがある。資本主義の行き過ぎた社会のなかでは柳の思想はギャップがかなりある。ヒントはこの本を読んだだけでは見いだせない。 ただ少なくとも、柳は思案に留まることなく実践した者なのだから、素晴らしい。この本を入り口として柳宗悦の著作も読んでみて、引き続き自分なりのヒントを探してみたいと思った。
世界人という印象。 あまりに早く生まれすぎた感もある。 さぞかし、日本人の誰もが彼を理解しがたかったでしょう。 今の時代になってやっと、このような紹介書があって、ようやく理解できる気もする。 民芸だけの柳宗悦と思っていたけれど、ものすごい博愛主義者で、行動派で、世界の中で生きた人だったことがよくわか...続きを読むりました。
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柳宗悦 「複合の美」の思想
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中見真理
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