京都で漢方心療内科を営む91歳(執筆当時)の現役医師・藤井英子先生による、肩の力を抜いて生きるための指南書。
診察室で患者さんから、もっとラクに生きられる方法を問われた時の先生のお答え「いい塩梅を大切にしてください」。これに尽きると思う。
ほどよく忘れて、スッと一歩引き、心はカラッと。
よい距離感で、さっぱりとした心で生きていく。
先生の言われる「いい塩梅」「ほどよく」「よい距離感」を自分の中でいかに掴めるかが大切なんだと思った。人によって塩梅の加減も違うはずだから。
ずっと昔のことなのに嫌な記憶がふとした瞬間に蘇り、魚の子骨のように引っかかってモヤモヤすることが多々ある。一旦負のループにはまるとなかなか抜け出せずもがくばかり。
そんな時はまずは「10分だけ脇に置く」からはじめてみる。それに慣れたら気持ちも楽になれるのかな。先生の仰る通り、ほどよく忘れて生きていけるかしら。
先日最終話を迎えたNHKの夜ドラ『しあわせは食べて寝て待て』の中で、主人公の麦巻さんや周囲の登場人物たちのセリフと内容がダブっていて、余計に心に刺さった。物語のテーマが似ているせいだろう。麦巻さんが最終話で言ってた「やるだけやった」に繋がって驚いた。
気になったワードメモ
●人間関係の折り合いをつける前に一旦その存在を忘れる時間をつくる
●合わない人とはさっさと距離を置いて、その人の存在をできる限り忘れる。「心の境界線」を引く
●現実が思い通りでないなら「何かが違う」、のサイン。別の方法を試してみると案外うまくいくかも。
●漢方薬は自分でよくなる力、自己治癒力を回復させる薬でもある。処方を間違えない限り時間が経てば改善の兆しが見えてくる
●貯金より貯筋
●一日三回の食事を大切にする。特にたんぱく質を意識的に多く摂取すること
●青魚も大事
●「まごはやさしい」の食養生を、バランスに留意しながら取り入れる
●人生後半は無病息災より一病息災。一つくらい病気がある方がかえってからだのことを気遣うことができる
●怒りやイライラの原因は栄養不足、睡眠不足、運動不足かも
●「これがだめならこっちがある」と逃げ道をつくっておくことは「人生の大切な隠し球」を持つことであり、軽やかに生きる技術でもある。道は多い方がよい
●できないことは忘れて「今あるもの」「今日できること」をみる
●経験はものごとをおおらかに見るための羅針盤
●良かった過去もほどよく忘れる
●失敗した時に自分をすぐに許せるか。自分を責めない
●未来への心配や不安な気持ちになったら、その心配や不安を保留にしておく。今できることだけに集中する
●大人になってからの人生は自己責任
●鬱々した気分を忘れるため、気持ちを切り替えるための自分なりの方法を見つける
●時間は薬だけれど、悲しみや寂しさが癒えるには途方もない時間がかかる。時間を忘れさせてくれる「手仕事」はいい相棒になる。無心になれる趣味を持つ。手は第二の脳。手指を動かすと脳が活性化する
●年を重ねるごとに一歩引く。謙虚さは大人の証明。
●白黒つけないグレーも悪くない
●私なりに今日まで頑張って生きてきた、と自分の選んだ道を肯定する