ユーモア
もしかすると今の僕に一番不足していて、今の僕に一番必要なものだったのかもしれない。
2年以上前から読もうと思っていて、手をつけていなかった本。
今、読むべき本だったのだろう。
なぜこの本が今の僕に必要だったと感じられたのか。
それは、真面目とふざけの間にユーモアは存在すると知れたからだ
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仕事と遊びはキッチリ分けるという思考に囚われていると、仕事の時は真面目に、ふざけるのは遊びのときだけという思考になる。
しかし、ふざけることとユーモアは違う。
ユーモアはむしろ、アイデアの呼び水になる、難しい交渉を円滑にする、チームの心理的安全性を高めるなど、仕事においてたくさんのメリットをもたらす。
ユーモア自体が成果を生み出すわけではないが、仕事を進める上での潤滑油になることは間違いない。
潤滑油をささずに、仕事のエンジンをフル回転させれば、エンジンはその性能を発揮できないばかりか、最悪の場合、焼き付き故障してしまう。
本書にはコメディアンから見出したユーモアのスキルも紹介されている。
ユーモアは生まれ持った性格やセンスではなく、後天的に身につけられるものだというのが、著者のスタンスである。
ちょうどスキルの章を自宅のリビングで読んでいるとき、何気なくつけていたテレビでは、バラエティ番組が流れていた。
よくある司会者とひな壇のトークショーだ。
ユーモアの生み出し方など、今まで体系的に考えたこともなかったが、テレビの中で笑いをとるタレントの話しの組み立て方は、本書で書かれているスキルそのものだった。
それはもう「この本はお笑い1年生の教科書なのか!」というぐらい忠実に。
事実に基づき、ミスディレクションへと導いて、予想外のオチをつける。
これまで、なぜ芸能人ばかり面白い体験をするのだろうとぼんやり思っていたが、それは僕の間違いだった。僕はあまりにぼんやり見ていた。
芸能人は誰にでも起きそうな事実を、ユーモアに変換して話しているだけなのだ。しかも自身に起きた悲劇でさえ、喜劇に変えて。
これについては見事という他にない。すごい。
ただすごいと指をくわえて見ているだけなら、本書を読む前のぼんやりしている自分と何ら変わりない。
テレビや舞台で笑いをとることを目指すわけではないが、仕事で潤滑油をさせるぐらいのユーモアは身につけたい。
読み終えた今、仕事にユーモアがあってもいい、いやユーモアがあったほうがいい、と認識できている時点で、僕の心はとても軽くなっている。
ゆるしを与えられただけで、焼けついたエンジンに潤滑油を注入された気分だ。
本当は仕事中だって笑いたいのに真面目ぶってる僕のような人がいたら、今すぐ手に取って読み始めてほしい。
手に取ってから読み始めるまで2年もかけてはいけない。