作品一覧

  • ゾンビ回収婦

    小説・文芸

    3.8
    1巻1,980円 (税込)
    この世界の秘密をあなたに教えたい――。わたしはこのホテルの、たったひとりの掃除婦。殺されたゾンビの骸を拾い集めて、世界を美しく保つのだ。一気読み必至の圧倒的虚構世界〈リアルライフ〉。 AI〈やつら〉に侵食された世界で、夫とともに職を失ったわたし――の前にもうひとつの現実がたち顕れた。三十数年良い子で大人になったわたしは、これまでと変わらずに、賢明にひたむきに役割をこなしていく。 感謝されず、褒められもしない。それこそまるで「  」みたいに?
  • 家庭用安心坑夫/猿の戴冠式

    小説・文芸

    3.0
    1巻935円 (税込)
    【家庭用安心坑夫】 夫との平穏にみえる家庭に漠然とした不安を抱えた専業主婦小波が、ある日、日本橋三越の柱に、幼いころ実家に貼ったはずのシールがあるのを見つけたところから物語は始まる。小波はいまも実在する廃坑テーマパークに置かれた、坑夫姿のマネキン人形があなたの父親だと母に言い聞かされ育つが、やがて東京で結婚した彼女の日常とその生活圏いたるところに、その父ツトムが姿を現すようになって……。 【猿の戴冠式】 いい子のかんむりは/ヒトにもらうものでなく/自分で/自分に/さずけるもの。 ある事件以降、引きこもっていたしふみはテレビ画面のなかに「おねえちゃん」を見つけ動植物園へ行くことになる。言葉を機械学習させられた過去のある類人猿ボノボ”シネノ”と邂逅し、魂をシンクロさせ交歓していく。 ――”わたしたちには、わたしたちだけに通じる最強のおまじないがある”。

ユーザーレビュー

  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白かった。この一言に尽きるは尽きるのですが、受賞したとわかった時に買って読むというミーハーじみた読み方をした初めての本でした。芥川賞の本て難しいし、なかなか難読だったりするんですが、この作品はそんなことは無いと思いますね。
    ネタバレ含むかもですが、AIによって仕事をクビになった夫婦が、旦那さんは演奏会旅行という現実逃避を始め、奥さんはVR世界というAIに作られた世界に逃げるという、いやあなたがそうなったのその世界つくってるAIですよと言いたくなる状態でした。
    人は何かしら役割がないと生きていけないという主題があるんじゃないかなぁというのが強く言及されていて、だから奥さんの方は熱狂的にVR

    0
    2026年08月23日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    絶対に捨ててはいけない、捨てられない「感情」を持ち合わせているのは「人間」だけである。



    芥川賞受賞作品、ノミネート作品はその時代背景を鮮明に描き出すと言われている。
    本作におけるその危機感、こそがこの2020年代後半を照らし出す警告そのものであり、我々が密かに抱く脅威そのものなのである。

    主人公は、会社員として勤めていた一般女性、夫と二人暮らしをしていたが、ある日AIに仕事を奪われたことで生活そのものが喪失されてしまう。
    気づけば夫は失踪し、家には主人公の女性一人きり。

    そんな絶望の中、彼女が目の前に見つけたそれは、VRヘッドセットであった。

    ストーリーは空想と現実を彷徨うような展

    0
    2026年08月22日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    AIに仕事を奪われ、ゾンビとなった人々を回収する仕事についているけれど、しかし、たとえ無意識にではあっても、そしてどれほど病んでも、模範的な労働観というくびきからは逃れられない。そういうことが言いたいのかな、と思った。前作『猿の戴冠式』からテーマは変わっていないけれど、しかし、前作の安直なラストを反復せず、著者は抑制された表現に努めていると思う。

    0
    2026年08月22日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    何を軸にして読むかで印象が変わりそう。
    詩的表現でAIやVRなどのデジタル技術が題材になった作品を描いている点がなかなかに面白く、これまで読んだことがない感覚になった。
    昔、バイオハザードヘビーユーザーだったことがあるので、やっつけた敵が地面に転がってて邪魔だなとか、いつのまにか死体が消えてて不思議だなと思った、その経験も生きた。
    ゾンビ回収という仕事に、並々ならぬ思いを抱いているところなどは『コンビニ人間』を彷彿とさせる。他者に認められたいという思いが強い、真面目な主人公の苦悩や心情の吐露などは、共感できる人も多いのではなかろうか。
    キーワードとしては、AI、VR、労働、自我、身体。
    私はV

    0
    2026年08月20日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    これは傑作!芥川賞なのに珍しく面白い!
    AIとかVRのような今風なモチーフを扱いながらも、現代の労働観や社会のあり様を正面から問うている骨太の作品だと感じた。四半世紀後に成長し大人になった『千と千尋』が伊藤計劃に出会ったとでも言おうか。全体としてトーンはディストピアだし、ゾンビだし、陰々滅々としそうな要素のてんこ盛りなのだが、細部にユーモアを織り込むセンスがあって一気に読めた。
    AIの時代の労働の固有性とは何なのか、あるいは労働が人工知能に代替されるとは裏を返すと人間が人工知能を代替する状況も成立し得ることになるのではないか、などこの時代ならではの重層的な問が設定されているだけでなく、後期近代

    0
    2026年08月14日

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