【感想・ネタバレ】ゾンビ回収婦のレビュー

あらすじ

この世界の秘密をあなたに教えたい――。わたしはこのホテルの、たったひとりの掃除婦。殺されたゾンビの骸を拾い集めて、世界を美しく保つのだ。一気読み必至の圧倒的虚構世界〈リアルライフ〉。
AI〈やつら〉に侵食された世界で、夫とともに職を失ったわたし――の前にもうひとつの現実がたち顕れた。三十数年良い子で大人になったわたしは、これまでと変わらずに、賢明にひたむきに役割をこなしていく。
感謝されず、褒められもしない。それこそまるで「 」みたいに?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 AIに職を奪われた主人公は、「ザ・グランド・口唇期ホテル」なるVR空間で、ゾンビの死体を片付ける仕事に就く。しかもそれは、プレイヤーを消してまで手に入れた仕事だった。
 しかし、主人公がそこまでして仕事を求める理由は、労働への熱意からではない。「完璧に役割を果たさなければ、誰からも認められない」という恐怖心の裏返しなのだ。作中には、幼少期から身についた承認への渇望が見え隠れする。
 それにしても、「ザ・グランド・口唇期ホテル」というネーミングには思わず笑ってしまった。口唇期という言葉から連想される幼児的な欲求と、主人公のワーカーホリックや承認欲求が表裏一体であることが、巧みに示されているように感じた。
 主人公が、数多くのゾンビを効率よく片付けながらも、プログラム通りには動けず恐怖でフリーズしてしまうゾンビ「アラスカ」に惹かれていく場面も印象的だった。社会のスピードについていけず、まさに自身もフリーズしていた主人公にとって、アラスカの不完全さは救いだったのではないだろうか。
 最終的に、現実と虚構の境界が曖昧になった主人公の姿について、さまざまなことを考えさせられる。恐ろしさや身につまされる思いを感じる一方で、効率や成果ばかりを求める冷たい現実から距離を置き、自分にとって心地よい場所で「フリーズ」することに成功したのではないかとも思う。
 救いのない生きづらさが静かに描かれる一方で、働きすぎる現代社会への風刺が随所に効いており、読後にチクリとした痛みを残す作品だった。

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2026年08月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ゾンビ退治ゲームの、死体処理を誰がやってるかなど、考えたこともなかった。面白い。内容もそうだけど、文章を摂取する愉しみが得られる作品だった。
特に冒頭のスピード感、身体性がクセになる。
暗いゲームの世界観、口唇期ホテルの造り描写は静かながらも克明で、読者の私も入り込んでいける。

ゲーム世界でNPCが淡々と仕事をしているのも可笑しいのに、その立場を乗っ取ってしまった主人公、という設定も面白い。
次から次へと山積みになるゾンビの死体を片付けることに生きがいのようなことを得て、命を削りながらのめり込んでいく。

確かに会社で日々働く私たちも似たようなことをしていて、しかしそういう仕事をAIに取って代わられそうになっている。

買った甲斐がありました。
2026年のお気に入りの一冊。

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2026年08月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

頻出する比喩は豊かでありながら選び抜かれており、その一つひとつに使い手の手触りがくっきりと残っていて、感嘆した。ひらがなと比喩を用いた感情描写も、その人物の、その瞬間にしかない感覚を確かに捉えている。

「イメージと交際してイメージとしあわせな結婚をして」という一節は、作品の核心に触れているように感じられ、特に気に入った。こうした箴言(?)めいたフレーズが随所に現れるが、作者が前面に出て語っているのではなく、あくまで人物自身の声として響くため、気取った印象を受けない。

物語の設計自体は、プロットに並べてみれば、ともすれば展開を予測しやすく、平坦になりかねないものだったように思う。しかし、別の人物の視点を挟むこと、読者による世界の把握を意図的に遅らせること、さらに舞台そのものを不完全なβ版として設定することで、最後まで読者を走らせる作品になっていた。

芥川賞候補作として、夫婦、仕事、AI、VRといった現代的な題材が、観念として並べられるのではなく、一人の人間の内部から切実さを伴って示されていた。

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2026年07月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

●感想
他者に自分の価値評価を預けることの危うさの極みと、その自覚を描いた物語。

主人公が置かれている現実、VR、妄想が入り混じり、混沌と描かれているため、読者もまた、その混沌の中へ放り込まれる。

主人公は、自分の内側に作り上げてしまった架空の支配者に自分の価値を預け、「自分は〜しなければ価値がない」という価値観に囚われている。

速さやミスのなさを評価される時代から、AIにその価値を奪われ、一転して、人間らしいためらいやミスが「愛らしさ」として評価される時代へ。主人公は、価値基準のコペルニクス的転回への対応を求められる。そしてまさに私たちも。

これまではAI的に振る舞うことが評価されてきたからこそ、それを基準に努力してきた。それなのに、突然その価値を奪われ、失職した。これから、どうやって正反対の自分になり、評価されればよいのか。仕事は、彼女にとって「愛してほしい」という思いを表現する方法だったのに。

最後に彼女が自ら選び取った「現実」は、他者と共有される一般的な現実ではない。それでも彼女にとっては、主体性と平穏を取り戻せる場所となった。

評価を他者に預けたことで不具合を起こした主人公を見て、「それでは崩壊するだろう」と読むことはたやすい。

しかし、読み終わって自分自身を振り返ると、私は評価を自分の中だけで完結させすぎていることに気づき、それはそれで不具合が生じるのでは?と考えるに至った。私自身は、他者に対して自分を開き、他者からの評価を一度受け取って考える余地を意識的に作らなければ、主人公とは別のかたちで閉じ、崩れていく可能性がある…と考えた。

読書とは、自分とは異なる存在を通して、自分の輪郭をはっきりさせてくれるものだ。そのことを改めて実感できた作品だった。が、この作品が好きかと言われると、違う。それでも、この読書体験から自省ができたという意味で大いに価値を感じた。わたし自身はどうなのか?そんな問いをくれた。この作品に感謝したい。

●本概要
第175回芥川賞受賞作!
この世界の秘密をあなたに教えたい――。
わたしはこのホテルの、たったひとりの掃除婦。殺されたゾンビの骸を拾い集めて、世界を美しく保つのだ。
AI〈やつら〉に侵食された世界で、夫とともに職を失ったわたし――の前にもうひとつの現実がたち顕れた。三十余年良い子で大人になったわたしは、これまでと変わらずに、懸命にひたむきに役割をこなしていく。
感謝されず、褒められもしない。それこそまるで「 」みたいに?
一気読み必至の圧倒的虚構世界〈リアルライフ〉。


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2026年07月21日

Posted by ブクログ

人間にとって労働とは何か。
アイデンティティから労働を切り離された時、我々は何者なのか。

久しぶりにマトリックス観たくなった。

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2026年07月20日

Posted by ブクログ

デビュー作「家庭用安心坑夫」の時から欠かさず読み続け、応援してきた小砂川チトさん…芥川賞受賞、とっても嬉しかったです涙涙
今作の「ゾンビ回収婦」も圧倒。
よくわからないという人もいるかもしれません。レビューを読む限り、やっぱり文体や世界観などで、評価も大きく分かれているなあ…と。
ただ、小砂川さんのこの筆致と物語のスピード・展開にこそ、僕はボッコボコにいつも打ちのめされる。
今作の「ゾンビ回収婦」も心底圧倒、心底唖然、心底感動した物語でした…

改めて、ご受賞おめでとうございます!

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2026年07月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

AIに仕事を奪われてもなお、疑似的な労働を通して認められたいと望む主人公。くまとの対話で承認を得るための労働に気付いたこと、労働に縛られながらも必要としている矛盾も読み取れた。
仕事がなくなってしまってもあっけらかんとしていた夫との対比によってもいよいよその傾向が強調されていた。
文体についても終盤にかけてVRと現実の入交によって混乱させられた。文学的表現によって労働とはなんなのか、AI、VRといった最近の技術を混ぜ込みながら表現されているようで、芥川賞とはこういうものかと納得した。

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2026年07月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

AIに仕事を奪われたことがきっかけで、VR空間、AIとの生活に入り込んだ女性の話。人は、仕事をして褒められたいとか、生きがいに疑問を持ったり、なぜか人に期待してしまったりとかの感情の繰り返しの中で生きていることを映し出していた。

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2026年07月29日

Posted by ブクログ

AIに仕事を奪われ、仮想空間で生きる。ホテルに散らばるバラバラになった死体を回収する。昼とも夜ともなく、途方もない回数の片付けだ。たったひとりのゾンビ回収掃除婦が主人公。

AIによって、夫婦は職を失った。AIに職を盗まれた。
AIが、労働を奪い、労働をしない時代がやってきた。人間が嫌がっていた仕事は、人間がしなくて良くなった。夫は「家庭用洗濯機がやってきたことで、主婦たちが母や妻としての立場が奪われなかった。その分、自由な時間が生まれた。それは、圧倒的にいいことだ」という。夫は、本当にやりたかったことを、始めればいいといい、「しばらくのあいだ、演奏旅行にでてきまーす」と言って、出て行った。

主人公は、夫のことを何にも知らなかったことを、ぼんやりと考えた。この生活のうちのどの部分に、わたしの私性は宿っていたのだろうと思う。
夫の部屋に、VRヘッドセットが残されていて、それを装着すると、戦争の中に放り込まれた。その方が、生きるとか感じることができるのだった。私は、ザ・グランド・口唇期ホテルにいたのだ。

この口唇期ホテルというネーミングが、なんとも言えない。口唇期は、口を通してリビドーを満たそうとする時期。 1歳ごろまでは、授乳によって欲求を満たす。 食欲を満たすだけでなく、母親の乳首を吸うことによる安心や睡眠欲求も含まれる。口は最初に経験する快楽の源で、生存のためにある。

主人公の私は、社会における自身の「役割」や存在価値を見失ってしまう。失踪した夫が残したVRゴーグルを装着して仮想空間へと入り込むうちに、現実と虚構の境界が不鮮明になり、気づけばそのゲーム世界の一員として紛れ込んでいくのだった。

この口唇期ホテルにいることが、主人公の最初の快楽だった。時期は、巨大なクリスマスツリーの電飾が、ビカビカと七色の光を放ち、クリスマスソングが流れている。そして、ゾンビの死体を片付ける仕事が始まった。我らの魂を救えというモールス信号らしきものが聞こえる。

その仕事は、感謝されず、褒められもしない。そのVRゲームの中に、ゾンビがいる。主人公の私は、人間性を持っていたいと思うが、それは誰も認知してくれない。
作業服を着た中年男は、自分のことをグッドニュースさんと呼んでくれという。その男は、左脚が不自由で、それはベトナムで負った。そのグッドニュースは、AIを搭載したNPC(Non Player Character)だった。

グッドニュースは、主人公の「わたし」と同様に役割を与えられた存在であり、ゲーム世界のシステムやルールを回す側の裏方として対話し、主人公の置かれた境遇を際立たせる役割を果たす。グッドニュースは、ゾンビ回収の仕事について、私に愚痴を言うのだった。グッドニュースは、NPCとして、システムに従って同じ作業をひたすら繰り返す背景のような存在である。主人公の私が出会うグッドニュースはまた、プレイヤーから感謝されることも賞賛されることもない「システムの構成要素」としてそこに存在しており、社会から居場所を失った主人公が自身の姿を重ね合わせる象徴的な存在であり、鏡のような存在。その鏡があるから、私の存在が理解される。

ゲーム内では、プレイヤーたちが次々とゾンビを倒していく。しかし、倒された死体が放置されれば世界は荒廃してしまうため、誰かがそれを片付けて「世界を美しく保つ」必要があり、それが私と言う主人公の役割であり、グッドニュースの役割となる。

AIに効率や生産性を奪われ、「人間らしい成果」を出せなくなった主人公の私が、誰に評価されずとも愚直に決められた労働であるゾンビ死体回収作業をこなすことで、自分の生存やアイデンティティを確認しようとしている。クリーニング、清掃、ゴミ処理、あるいはAI生成物の検閲作業など、人間が生きる社会の裏で「誰かが片付けなければ回らない地味な労働」そのものを象徴的に描き出す。人間に戻れない人間としての存在。その2重構造の中で働く主人公。

効率やミスなさが求められるAI時代において、泥臭く「死骸を拾い集める」という無心になれる作業を通じて、自らの不器用な生き方や労働の意味をもう一度手繰り寄せようとしている物語だ。そこには、戦争を反対し、殺すと言う行為さえも、黙認している。

急げ、急げ、結果出せ。急げ、急げ、ミスすんな。改善しろ向上しろ発展しろ進化しろ、死んでもミスすんな、進化しろとただただ、仕事をし続け、なぜそれをするのかの意味さえも問わない。認められたいと思いながら、目の前の仕事をし続ける。そして、意味のない言葉で物語を続ける。ただ、働かざるもの、食うべからずと言う言葉が繰り返される。AIに仕事を全部奪われたのに。

人間が戦争をする。まさに力が正義だと思っている。それによって、生み出されるゾンビの死体。ただそれを回収するという罰ゲームをさせられる主人公。現実と仮想の境界がなくなって、無意味な行為を続けることでしか、永遠に続くような仕事。ゴキブリ人民党という若者たちの反乱さえも生まれない。

これだけの言葉を並べて、文学足ろうとする行為が、賞を受けるとは、明らかに文学の衰退を意味しているのかもしれない。結局、私に始まり、私に終わる。最後に夫が迎えに来ることで、暗闇の世界はさらに漆黒の世界に陥る。戦争は、相変わらず続いていて、そのことに対して無関心で居続けるのだ。

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2026年07月26日

Posted by ブクログ

最近、会社でExcelコードを組む時に、
ChatGPTを使っている。

私がこうしたいと言ったことを丁寧に汲み取る。
そしてエラーのでないコードを出してくれる。

私は「ありがとう」と言いつつも、少し思う。
「これ、GPTが直接やった方が早くない?」

一方で私は、派遣先での存在価値を探している。
結局派遣社員というのはお手伝いであって、
正社員ほどの業務も責任も持てない。
持たせてもらえないが正解かもしれない。

子供もいない、結婚してもない。

そんな私が自分の存在価値を見出せるものは、
現時点で仕事しかない。

本作「ゾンビ回収婦」は、まさにそんな話。
AIによって解雇された女性がAI機能によって自己を育てる作りをしているVRゲームにのめり込んでいく物語だ。

ゲームの中で彼女は、仕事をこなす。
NPCのはずなのに、元々設定されていたキャラを銃で撃ち殺し、自らの仕事として引き継ぐ。
爆撃されたゾンビたちを回収し綺麗にすることで、自分の存在価値を見出すし、ゾンビたちのことを同じ会社を構成する同僚社員のように思っている。

ゲームは、彼女の中では会社だ。

支配人(社長)に認められたい。
ゾンビたち(同僚たち)と完璧な仕事(ゲーム)を果たしたい。
撃ち殺した元設定の男(元々そこの業務を果たしていた先輩)が気に入れられていることが気に食わない。
無理やり解雇に持ち込んで引き継ぐ。

AIに居場所を奪われたのに、奪い返している。
自らが過去にかけられた『承認』に値する行動や言動に苦しめられながら、認めて欲しいとすがる。

VRという孤立した空間の中で、新しい平和な居場所を見出す。

一方で、ゲームの生みの親、ミーシカも仕事に対して悩みを持つ。

「そんなゲーム、おもろくないだろ」と、
自身の根幹を否定するような言葉を何万と受け、
期待に応える気力をはあれど、焦った上手くいかない。次第に誰とも触れ合いたくなくて孤独になって、ミーシカもまた、彼女と同じようにゲームの中に閉じこもって、誰にも評価されない見えない業務を淡々とこなす。

ミーシカはどちらかというと評価を受けたいのではなく、誰も見ていないような業務を静かにこなすことで、本来の自己、「自分らしさ」や「人間らしさ」を他者に左右されたくないと思っている。

誰かのためじゃない自分を探し続けている。

ミーシカも彼女も、仕事に求める対価は違えど、自分以外と誰かと上手く関わり合いたいと思っている。

AIのせいで。
AIのおかげで。
AIだけど。

機械的なものに壊されたもの。
人間の無慈悲な言葉で壊されたもの。

何が正解でもないし、どれが違うでもない。

ただ物語のラストの結末は何も解決しなかった。

結局、仮想現実は仮想現実であって現実世界とは全く違うものだと改めて知らしめるラスト。
彼女を救えるのはもはや現実ではない。
彼女はずっと居心地のいい場所で人間として生きる。

現実世界で彼女は回収されるゾンビ側となって、
同じことを繰り返しながら生きていくしかないのだ。


一見、SFディストピアかと思ってましたが、
読み出すと原題を生きる社会人の心情をすごく上手く表現しているなと。
めちゃくちゃ好きなお話でした。

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2026年07月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

AIに仕事を奪われ失業したことをきっかけに、これまで自分の存在のほとんどを会社に明け渡してしまっていたことに気付く主人公。ある事情から、VR世界で清掃婦として働くことになる。
仕事は、ゲームのプレイヤーが倒したゾンビを回収すること。

ゲームでゾンビをいくら倒しても、屋敷が死体だらけにならないのは“勝手に”消えるゲームの仕様で、誰かが掃除をしているという発想はなかった。
現実社会の「当たり前」もまた、誰かの見えない労働によって支えられている。
皆にとっては“当たり前”だから、感謝されることも、褒められることもない。それでも主人公は、この「人間じゃなくてもできる」「見えない」仕事に、次第にのめり込んでいく。

誰かから評価されないと、その仕事に意味はないのか?
誰のために、何のために働くのか?
この物語の、どこに終着点を見出すか、人によってその受け取り方は異なるかもしれない。
「ゾンビ」でも「プレイヤー」でもない、「ゾンビ回収婦」。この仕事を通して最後に辿り着いた境地は、単なる逃避場所ではなく、彼女自身が選び取った生き方のひとつだったように、私には思えた。そこが現実であっても、VRであっても。
そしてその姿は、今まさに社会の中で燃え尽きてしまいそうな“ゾンビ予備軍”への、救いのようにも映った。

また、AIを実装し、ゾンビにそれぞれの独自性を持たせようとするゲーム開発者側の視点も興味深い。ゾンビらしからぬ性格を持ち、本来期待される役割を果たせない個体を、退化ではなく進化として捉える視点には胸を打たれた。

個人的には、現実とVRが曖昧な表現が好みだった。AIと人間、ゾンビと人間、NPCと主体。さまざまな境界線を揺るがしながら、「人間らしさとは」 と問い続ける作品のように感じた。

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2026年07月19日

Posted by ブクログ

昨日、芥川賞・直木賞の受賞作が発表されましたね。
本作は芥川賞受賞作品で、VRの世界に没頭するあまり、現実の世界に戻れなくなった女性を中心に、ゲームの世界に入り込んでいき、現実の世界で経験した嫌な思い出を消していく、そんな虚構と現実が一体となった世界が舞台の物語です。 
ゲームの世界での私はホテルの中で、ゾンビを
始末しつつ、その死体を回収していく。
単純作業を繰り返しながらストーリーは進んでいく。
最終的に女性はどこに辿り着くのか、現代社会での暗闇が、ゲームの世界によって救われていく、現代人に対する救いの作品だと感じました。

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2026年07月16日

Posted by ブクログ

情熱を持って、ゾンビを回収する婦人の話し。

AIにもできる仕事を、それでもやっていたかったんです。

働くことの意味や痛み、そもそもなんで働くのか、働きたいのか。
純文学…むずかしー。

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2026年07月15日

Posted by ブクログ

表紙の絵がめっちゃ良かったので購入しました。
AIやVRが出てきて現代の物語ですが、文体が難しく人を選ぶ作品かなと思いました。
物語を楽しむというより、著者の表現を楽しむというような作品でした。

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2026年07月26日

Posted by ブクログ

夫婦そろってAIに仕事を奪われて、やがてゲームに依存していくのだが、例えが凄すぎて中々入り込めなかった。それでも無い頭をフル回転させて、最後まで頑張って読んでみた♪3割ぐらいは理解出来たつもりです(笑)

1
2026年07月26日

Posted by ブクログ

VRの世界であろうと 現実の世界であろうと
自分にとって特別な存在は欲しいし
自分にとってのやりがいは欲しい

AIは便利だけれど より人間の弱さや脆さが
わかりやすくなって疲れるし悲しくなる

僕たちは今人間を試されている

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2026年08月02日

Posted by ブクログ

VR大好きなんだが。好きだからこそ、この麻薬的な魅力は想像できる。

この小説に登場するVRは現実との境目が無くなる不良品(不良品なのか、他もすべてそうなのか)で、「私」は現実世界での綻びをそこで破裂させてしまう。

おー怖。怖、怖。近未来の私たちの姿。
映画の「レディ・プレイヤー」では、荒廃した世界の中で誰もがベッドセットをつけて仮想空間で快適に暮らしていた。
すぐ目の前の世界。もうすでにあるかもしれない世界。

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2026年07月31日

Posted by ブクログ

現実世界ではAI化によって失職、非現実世界ではゾンビを回収する労働に励む主人公。必死に話を理解しようとしても、ロケットランチャーを発射され砕かれる私の読解力...くやしいです!!
ただ、労働に関する満たされない承認欲求は共感できる人が多いのではと思う
何巡か読めば理解できるかな?でも、分からないからこそ考えを深めることが出来るのではないか。

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2026年07月28日

Posted by ブクログ

うーん…、確かに純文学でしたが、わけがわかりませんでした。
AIに仕事を奪われた主人公が、VRゲームに依存して、現実と虚構の境界線を失っていく話です。
すぐ読めますが、表現の意味を考え出すと読みにくくなってしまいそう。
難しかったです。

0
2026年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ




『ゾンビ回収婦』



第175回 芥川賞 受賞作


おめでとうございます♪
小砂川チトさん⁽⁽٩(๑˃̶͈̀ ᗨ ˂̶͈́)۶⁾⁾




うーーーん( •᷄ὤ•᷅)
途中までは 面白かったのだけど…
なんだろう…難しすぎるの( ಠдಠ)



この作品は…


突然 「解雇予告」が 夫婦それぞれに届いた。

「しばらくのあいだ、
演奏旅行にでてきまーす!!」

と、いう置き手紙と ともに夫が消えた。
導かれるように 夫の部屋に迷い込んだ私…。
天啓のように、VRヘッドセットがあらわれた。


と、いう状況 。。。


そして…

ゾンビを回収して清掃をしていく
【ゾンビ回収婦】 というお仕事に就く!


という内容なんだけども( ಠдಠ)



ぶっとんでるでしょ( ͡ ͜ ͡ )
安心してね♡ バーチャル♪バーチャル♪




もちろん 仮想空間の虚構の世界のはずなんだけど…
のめり込んで 楽しくって…
そのうちに 何が現実で何がバーチャルか…
わからなくなってきてしまうの…
そのうち、自分の性格や悩みなんかをVRに
投影していって戻れなくなってしまう…



なかなか 難しい内容なんだけど…
文体や描き方だったり、表現だったりが
よかったなぁって…( ͡ ͜ ͡ )



ただね、読んでいくうちに
訳がわからなくなったりしちゃって…‪
(  ・᷄ ᴗ・᷅ )ゝ だって…VRなんて
詳しくわからないんだもん
笑っちゃうでしょ (-^艸^-)ヘヘヘ



そんなもんだから…
150ページ程なのに…
時間がかかっちゃって(⁎⁍̴̛ᴗ⁍̴̛⁎)



偶然…

芥川龍之介 の 『蜜柑』 のあとに…
芥川賞 受賞作 を 読んだんだわ♡
なんか 感慨深い (*´艸`)フフフッ♡



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2026年07月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

AIに侵食された世界で夫と共に職を失った私。
虚構の世界でホテルの掃除婦。殺されたゾンビの骸を拾い集めて、世界を美しく保つ。

不思議な世界で、静かな感じの語りのようでなんとなく強いものを感じる。内容的にちょっと難しく理解出来たかどうか

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2026年07月23日

Posted by ブクログ

タイトルと、賞を受賞したことだけの前提知識で挑んだ。
ゾンビを回収なんてどんなフィクションの話なんだ?と思っていたけれど、なるほどそういう…

読んでいくとどこまでも労働の話。労働と労働に依存する自意識と生活の話だった。
たいした評価もされない仕事にそれでもしがみついている、どうしようもないわたしの話だった。
向き合いたくない自分のくらいところを覗き込まれる話で、だんだん息が苦しくなってくるような話だった。
そしてその描き方差し込み方がとても秀逸だった。

それにしても魅力的な表紙。

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2026年07月21日

Posted by ブクログ

VRの世界でゾンビの肉片を回収・清掃する「わたし」を描く。「わたし」の自己中心性がなんとも生々しく、現代を写しているように思う。

ゲーム内で散ったゾンビの血肉は、自然となくなるイメージがある。それを仕事にする、というのはどういうことなのか……。そんな「わたし」の視界、「わたし」の世界の解釈の仕方に自己中心性を感じる。
「わたし」には現実の身体と、VR内の身体の二つが分離して同時に存在し、普段は境目がなくなっているが、片方の刺激によって分離した身体を揺さぶられると、大きく混乱してしまう。
以前、MMOで遊んでいたときのことを思い出す。そこにいる実態のわからない人たちと、私は普通に対話し、一緒に戦っているような気になっていた。走ったり飛んだり、素早い身のこなしもできる。そんなゲーム内での出来事を、現実に持ち出す人はほとんどいないだろうが、VRや AIの発達により、その境界が曖昧になることもあるのかもしれない。

また、「わたし」の生きづらさには、共感できる人も多いのではないかと思う。自分がしている仕事や役割は「取り替えがきく」と感じる一方で、自分は「この自分」でなくてはならない。取り替えがきくようできかない自分に対するジレンマ。
NPCのように与えられた仕事を全うしていればよい。けれど「この自分」は報われたいと思っている。褒められたり、祝福されたりしたい。周囲にそれを求めるが、誰も褒めてはくれないから、怒りを感じる。
そんな「わたし」だからこそ、現実逃避としてのVR空間が馴染んでしまったのかな。

最近は自己認識のことが取り上げられる傾向がある気がする。AIの存在が、私たちの存在を揺さぶっているのかもしれない。人間としてどう生きていくのか、AIとどう付き合っていくのか、そんなことを考えさせられる作品だった。

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2026年07月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

芥川賞受賞作

AIが仕事を奪う社会。
そんな近未来を描いた物語に惹かれて手に取った1冊。

読み進めるうちに、
「今いるのは現実世界? それともVRゲームの中?」
その境界が少しずつ曖昧になっていく。

舞台となるのは、ゾンビゲームの世界。

主人公は、誰にも気づかれることなく、ゾンビの骸を片付け続ける掃除婦。

感謝されることも、褒められることもない。
それでも、誰かが必ず担っている仕事。

読後に心に残ったのは、
「人はなぜ働くのか」という問い。
そして、当たり前のように存在する仕事の裏側には、誰かの支えがあるということ。

AI時代だからこそ、人が働く意味や、名もなき仕事の尊さについて考えさせられた。

VRやゲームの知識があると、さらに世界観を楽しめそうな1冊でした。

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2026年07月19日

Posted by ブクログ

AIに仕事を奪われた主人公がVRゲームの中で自分の役割を見つけて没頭し思考していくストーリー。著者の独特の言葉の紡ぎ方が読み取りにくく、自分の読書レベルでは難解な小説でした。これを評価できる方々はすごいなと思います。何故ここで意識を失うのか、何故ここで涙したり後悔したりするのか、いろいろ読み取りにくい点がありました。

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2026年07月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公の他責っぷりがとっても良い。無能さの証明と饒舌な言い訳が雄弁。それだけでどういう人物であるかが嫌というほど理解できる。救われたいくせに救われる努力はしたくない、救われなさがとても良かった。

細かいことを言い出せばキリがないが、作者のAIに対する憧れが強すぎる。ちょくちょく現実的な(SteamだのXbox だのプレイステーションだの)実名が出てくる割に、AIに対する解像度が低い。自己崩壊と自己治癒だかが出てきたが、そういったループを回すのになぜに『わたし』との対話型である必要があるのか。ましてやゲームである。

夫がどこにいったのか、表現を見る限り常時給電HMD(要はワイヤード)な中でどう稼働していたのか、身体の限界ではないタイミングでHMDを外す瞬間等、不整合になりうる要素はいくらでもあった。まあフィクション。

主人公の自意識の途切れ目(仮想空間と現実空間の境目)を曖昧にしたいのだろうが、曖昧すぎるとも感じる。少なくとも自分の読解力では難しい。
でも芥川賞ってそういうもんか。


支配人という表現のためにホテルだったのかなというのは感じた。それこそ文学なのだからそんなに直接的な表現である必要もなかったのでは。そこはわかりやすさには寄与しているが。

外部からの承認を欲する割にアピールができない無能は、環境を変えても無能のままであるという救いの無さが常に漂うなかで、最終的には勝手に納得して(無能が故の突飛なロジックで)補強して救われるというのは結末としては良かった。

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2026年07月18日

Posted by ブクログ

今風現代風最新作の登場です。仮想空間やゲーム内の世界と言う少し戸惑うこともあるがわくわくしながら読み進めことが出来ました。この最先端の架空世界をあなたもぜひ堪能して見て下さい。

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2026年06月10日

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