【感想・ネタバレ】ゾンビ回収婦のレビュー

あらすじ

この世界の秘密をあなたに教えたい――。わたしはこのホテルの、たったひとりの掃除婦。殺されたゾンビの骸を拾い集めて、世界を美しく保つのだ。一気読み必至の圧倒的虚構世界〈リアルライフ〉。
AI〈やつら〉に侵食された世界で、夫とともに職を失ったわたし――の前にもうひとつの現実がたち顕れた。三十数年良い子で大人になったわたしは、これまでと変わらずに、賢明にひたむきに役割をこなしていく。
感謝されず、褒められもしない。それこそまるで「 」みたいに?

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

国家において人間よりも上の存在である憲法で、働くことが義務とされている。その重さというか、逃げられなさというか。
自分も仕事辞めてから次の仕事に就くまでのあいだニート生活をしていた経験があって、お金の不安とかももちろんあるのだけど、「働いていない」こと自体に罪悪感を感じたのを思い出した。
主人公はそれに加え、幼少期に親からかけられた言葉や期待によって「誰かの役に立たなければ」と強く思いすぎる人格に形成されているらしく、生きにくいだろうなあ、と。
VRの世界ではプログラミングされたことしか起こらないけど、現実世界ではそうはいかない。これは良い意味でも悪い意味でも。

それと、ゾンビ・アラスカは僕だと思った。社会で生きるというか生きさせていただくためには、何かしらで貢献しないといけない(という気がして)、それがつまり労働。それに対して僕は苦手意識があって、怖くもあって、でもやるしかないから挑戦して、失敗してまた怖くなって、クマに相談することも多々。

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2026年10月11日

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正直感想が難しい作品だ。
煙に巻かれたような、自己陶酔しているような文書で途中まで何が言いたいのか分からなかった。
最後まで読んで何か「分かった」気がしたが、それも言語化するのが難しい。
ロールプレイングゲームの中と、現実の世界の境目は一体なんなのか。仕事とはいったい何なのか。
主人公の気持ちや思想は分かるような気がするし分からないとも思う。
NPCと私達の違いはあるのか?

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2026年10月09日

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ネタバレ

主人公にかかった呪いは私にも深く刺さってるものだった。耐えて耐えて耐え抜いた先に失職して潜んでた歪みが暴走して発症してしまったと。
親の間違った愛情、成長数字とうるさい会社、病んだ自己責任社会。いつ自分が発症する側になるのかと考えた。最後数ページは読みながら呼吸が苦しくなるほど痛かった。
夫にも違う形で愛情をそそぎたかったよね。
辛かった学生時代、ネトゲにはまり操作キャラがまるで自分のように感じてたことを思い出した。ギルドには仕事を辞めてのめり込んでる人もいた。一寸先は闇だ。

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2026年10月09日

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読み進めていくと結構独特な文体だった!客観的な語り口だから、若干置いていかれる所はあったけど面白かった(^◇^)V

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2026年09月30日

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読み終えた後、まさにVRゴーグルを外して現実に戻ってきたような心地。私はこちら側に戻ってこられた、という、安堵。
読んでいて楽しい気持ちはなれないし、カタルシスはないけれど、小砂川さんの圧倒的な筆致でこの物語を「体感」できたと思う。小説を読むことも仮想現実を体験することなのだと。

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2026年09月19日

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芥川賞受賞作品&ゾンビものということで、非常に興味を掻き立てられた。
先の展開が全く読めず、一気読み!
ただのゾンビものとは一味も二味も違って、けっこう深かった〜。共感できるフレーズもたくさんあって、少しうるっと来ました。(⸝⸝⸝ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀⸝⸝⸝)
VRにハマったらどうなるかも垣間見えて、最後はちょっと切なかった。(。; ^ ; 。)

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2026年09月15日

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たまに現実の世界に戻される時があって、これは仮想世界の話だったんだと気づく。のだけど、いや、あれれ…?弄ばれたようで面白かった。

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2026年10月07日

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ネタバレ

強烈なタイトル通り、ゾンビの遺体を回収し続ける女性の話。ただしVRゲームの中で。

AIに仕事を奪われた主人公は、ゾンビゲームの中でもプレイヤーではなく裏方の汚れ仕事をしてしまう。本来はAIが行うべき仕事を奪った彼女はAIに復讐したかったのか、ただ仕事がしたかったのか。いつしか彼女はAIの世界に取り込まれてしまう。

幼い頃から優等生を演じ続けて裏切られ続けたことによる傷が、承認欲求が、彼女の心を次第に壊していく。そんな中で彼女と心を通わせていたのは、同じくAIに取り込まれてしまった「あなたたち」だったのか。

ゾンビゲームの独特の世界観と終始情緒不安定な主人公の語りが続き、正直読みづらさがあったが、人間らしさについて考えさせられる不思議な読み応えの一冊だった。









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2026年10月03日

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ゾンビ映画はかなり観てるので(WDも全シーズン視聴済み)、もうあまり目新しさを感じないことが多いけど、ゾンビ✕芥川賞は気になって読んでみた

まったく目新しかった!
てかこの物語、昔ながらのゾンビも出てくるけど、人間の身体性の話であり、物理的な肉体はそこに存在し続けているのに、その身体性は希薄化している、新たなゾンビ誕生の物語として読んだ

そして現実の世界でアンソロピックのCEOなどがAIの破局的リスクを警告している今、実際に本当の意味での生きる屍は既に生まれつつあるのかもしれない

I've seen quite a lot of zombie movies (and I've watched every season of The Walking Dead), so these days it's rare for the genre to feel genuinely new to me. But “zombies × the Akutagawa Prize” caught my attention, so I gave this a read.

And it felt completely new!
Sure, there are old-school zombies in this story, but it's also a story about human embodiment—perhaps even the birth of a new kind of zombie, one whose physical body continues to exist while its sense of embodiment gradually fades away.

And now, with CEOs of companies like Anthropic warning about the catastrophic risks of AI in the real world, maybe true “living dead” are already beginning to emerge.

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2026年09月27日

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ネタバレ

とあるうらびれたホテル館内、他の戦闘者が撃ち飛ばしたゾンビ達のカケラを掃除して回る主人公。
SF、もしくは特殊設定ものの芥川賞?と思ったのも束の間、失業のショックから「演奏旅行」に旅立った夫の残したVRゲーム内での話とわかり地に足が着く。
のかと思いきや、やはりそう一筋縄ではなく、そのにわかによじれた世界観の中で夫と同時期に失職した主人公の心の内がじわじわと明らかになってくる。

ワーカホリック症状をゲーム世界に転嫁し(しかもプレイヤー達に倒されたゾンビを回収して清掃するというNPC[non prayer character]の立場)、直接的な言葉でなく湧き立つ滑稽さから現実世界の無益さを浮き彫りにする物語。

無名性や縁の下の力持ち的な尊さを掲げながらの承認や評価を求めてしまう矛盾は身に覚えがあるもの。
また責任を全うするために、そのあらゆる能力を無理に引き上げることで「痛み」が伴うという訴えも、よくぞ言語化してくれたと思った感覚。

最後の方はなぜそんなにこねくり回すのかよく分からなくなるけどこの手の話は大抵落としがそんな感じになるのが常なので、まあ気にしない。

ユーリカの存在は役割としてもエピソードとしても面白かったけど、何の象徴なのか解し切れなかった気がする。
対立する悪ではないし、もう一つの救われるべき存在?それとも悩める神の存在的な?

第175回(2026年上半期)芥川賞。

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2026年09月27日

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AIに仕事を奪われ、怒りを抱えて逃げるように完全無欠のバーチャルの世界へ飛び込んだはずの女性が、現実世界と同じように職を求め、立ち位置を奪われそうになればまた同じように怒りを露わにするという皮肉に満ちたプロットが痛快だった。物語を抽象的にしつつランダムに配置する構成はかのリチャード・ブローディガンを彷彿とさせるもので、読んでいて心地よい。終盤の文章を見る限り著者は詩文を得意としていないようだったが、バイオハザードを思い起こさせる非現実的な舞台を用意することでこれをカバーしてみせる巧みさに思わず唸った。ここ最近の芥川賞受賞作の中では抜群に面白かったと思う。ゲームの中でAIのように完璧な仕事を求めようとする人間に対し、創造主ともいえるクリエイターがAI達に人間的に不完全であることを願う構図も面白い。文体も親しみやすく、最後まで飽きることなく駆け抜けるように読み終えることができた。

ただ惜しいかな、最初の感動に比べて後半はかなり尻すぼみしてしまっている印象だった。大きく風呂敷包を広げておきながら、最終的にありがちな幕引きへと収束させてしまっている。

作家としての力量は相当なものの、やはりこの方も「良い書き手」の域を出る人間ではないのだなと思った。

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2026年09月26日

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ネタバレ

久々に純文学作品を読んだけど、筆舌尽くして悉く文学的な表現が登場してて読んでて気持ちが良かった。
「AIによって仕事が奪われる」なんて言説は冒頭にも出てきたけど、この作品においてはただの触媒でしかなくて、本質は他人の役に立つことを渇望する主人公の内面的な葛藤が描かれたお話だった。
それを、プログラム上のルールで定められた動きしかできないゲームと、意思なんてない(ように見える)ゾンビという2つの大きな比喩を使って、現実と非現実をごちゃ混ぜにしたストーリーにしていてすごく惹き込まれた。

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2026年09月26日

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文体が圧倒的。川端康成が現代にいたらこんな感じでは?などと、ストーリーよりも日本語のふくよかさににんまりとし、ほくほくと音読を交えながら「うひょー!」と好奇の雄叫びをあげ、文章うまー!と目を爛々とさせていたら、3章は尻すぼみ。しかし、とにもかくにも文章がいい。あらゆる固有名詞への説明のなさったら、3周回って驚嘆する。過去作も買ったので読む。

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2026年09月25日

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目が潰れる。潰れてしまう。こんなに明るい世界では。

どのように受け取ればいいのかむずかしかった。
VR社会を憂うのか、希望を見出すのか。結末を見る限りは希望に溢れていた。雁字搦めにされた現実ではない、それぞれの新たな現実でこそ自分は生まれ変わって活き活きとした生を感じられる。
または、AIが発展した未来、人間は必要なくなり仕事を失った先で何をするのか。働く意味はどこにあるのか。金でも成長でも使命でもない、ただただ繋がりを求めているのか。

独特な擬音が好きだった
抽象的でもすっと入ってくる例えが好きだった
文章のリズムが好きだった

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2026年09月23日

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AIが人間の仕事を奪う世界が来たあとのことを描いているのだと思う。

生まれ育った時代のせいか、仕事がお金のためだけではなく自己実現につながるのだと思い込んでいる。しかし、一方で、貴族・大名等の持てる者と、小作人、奴隷等社会格差が今以上にあった時代には、盆暮れしか休みが取れない丁稚奉公や、それこそ、休みのない水飲み百姓であったならば、「働かないで大旦那様みたいに暮らせたらどんなにいいだろう?」と思ったに違いないとも想像するのである。

でも、仕事が楽しく充実感を与えてくれるものと刷り込まれてしまった私には、AIやフィジカルAIが人間の代わりに多くの仕事をやってくれて、ベーシック・インカムなんかもらえて、という生活を楽しそうとも思えないのであり、それはそれで、あるひと時代にしか過ぎないけれど、私が大部分を生きてきた価値観に固定されてるからとも思う。

で、新しい価値観でもって、そこがどうなるかを描いてくれてるのでは、と期待して読んだ。

「ここいらでもう労働といういち文化が終わるんじゃないかと、思うんだあ。まだ誰も生きたことない。新しい時代がこれからきっと・・・〜」

「〜だとすれば、ぼくらみんなもう、それぞれ好きなことだけしちゃったらいいってことになる。人間が嫌がっていた仕事なら今後一切人間以外が請け負ってくれちゃうんだから」

「ほんとうにやりたかったことを、ぼくらをはじめればいいじゃない!」

いやぁ、期待させてくれる文章たちである!!!

そして、主人公の前に現れるVR ヘッドセット。

VRゲームの世界でも、過酷な労働している主人公。そして過酷な労働の隙間に浮き足だった。気持ちになってりする瞬間があら、VR の中の世界でも失職の2文字が現実を帯び始めたりする。

VRの世界でカウンセラーらしきものに尋ねられる。
「〜あなたはなぜ、ご自身を痛めつけてまで、そうまでして、はたらきたいのですか?あるいはなぜ、そうしなければならないと信じておられるのですか?」

カウンセラーもどきは言う。
「発生する賃金のためにとか、生活のためにとかいうのはじつはどれも全部、体のいい建前です。それにかこつけて、誰かとかかわりあいになりたいというのがほんとうです。傷ついた大人たちはもうすでに、そうした大義なしにはこわくてまともに人間関係をつくれないから、そこにたがいの<役割>を噛ませるのです。役なのだから仕方がないと〜」

VRの世界も、古い人価値観の人間が作ったからこうなるのか?
そのような役割設定だからなのか?

仕事から解放された後に、VRの世界で、また仕事らしきものをしている姿、これが現時点での想像力の限界なのか?

もっと新しい世界を書いてると思った。 AI が仕事人間の仕事を代わりにしてくれる時代が来て、ベーシックインカムで好きなことをすればいいっていう時代が来た時にみんながどうなるか。それは昭和の価値観とかじゃなくて新しい世代 AI ネイティブの人がどう反応し感じるかを書いてるかと思ったけど、これは今までの価値観の延長で書いてると思った。AI 時代が来た後の世界を書いてるという意味では新しいのたけれど。テクノロジーは未来を描けても人間の価値観とその時代の延長でしか書けないのかもしれない。



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2026年09月21日

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難解な部分も多いけど自分にとっては感情の部分が大いに共感できる不思議な小説だった(°▽°)
文体の面白さにも惹きつけられた(°▽°)
いつかもう一回読んで見ようと思う(°▽°)

焦燥感や虚しさって誰かの役に立てている自分を確認することで解消されたりするからゲームなどの架空の世界にハマるのも分かるんだよね(°▽°)
自分の居場所を見つけようともがいて(°▽°)
でも誰も救ってくれないことは知ってて(°▽°)
だから自分がこれこそと感じる何かに縋って生きる(°▽°)
それが人間なんだよね(°▽°)

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2026年09月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白い題材と、難解なストーリー展開と、パプリカ的な現実と夢の交錯がまじりあって、不思議な読後感!

一般的なネットの評価は(現時点で)低そうです。
まあ、エンタメ作品ではないから当然だとは思いますが、導入はめっちゃエンタメですよね。

AIによって仕事を奪われた夫婦。
夫は訳の分からない言葉を残して蒸発。
目に入った夫のVRヘッドセットを装着し、まんまバイオハザードの世界へ……
しかし、突然(後で語られるとはいえ)、タイトル通りNPC『ゾンビ回収婦』となって、来る日も来る日も砕かれたゾンビの身体を回収する日々へ。
しかし、ここからどんどん難解なストーリー展開になっていきます……。

作者が文学部⇒心理学専という経歴からか、象徴や寓意が話をぐいぐいと進行させていくので、一瞬訳が分からなくなるんです~。
たとえば、『口唇期』ホテルという命名と、クマの吸てつは、いかにも示唆的です。認められたいという主人公の願望行動をみるかぎり、他者への依存を求めやすくなるという、「口唇性格」を暗に示しているのでしょうか……。
主人公だけではなく、私達現代人が。

クマと主人公が、AIのふりをした人間ということに双方気付かずにやり取りをしていたところは、いかにも滑稽ですが、アラスカを失って悲嘆にくれる主人公の独白が示す通り、ここが肝なのかもとも思いました。

『どう考えても、どこまでいっても、わたしたちはたがいに置換されうる命だ』
『世界の中心はこの場所だと、主要人物はわれわれでしかないのだと、われわれがそう言わないのなら、はたしてほかのだれが言ってくれるのだろうか?』

AI全盛の時代、自分たちの仕事、ひいては自身の価値がどんどん失われていく時代に対するアンチテーゼだと感じました。

自分たちはNPCと変わりないと確信して、口唇期ホテルに意識をすっ飛ばしていった主人公に悲哀を感じますが……。本人は幸せそうですね。

『今』の自分たちの在り方を考える、まさに『今』が旬の芥川賞受賞作だったと思います。

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2026年09月13日

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評価をつけるのが難しい。
どの文章も隠喩的で宙に浮いてるような、理解しようとすることが無駄だと思わさられるような、でもその感覚こそがAIの世界に没入してる主人公に対する私の気持ちというか。
脳みそ空っぽのまま言うと「なんかすごかったけどよく分からん」、でもその一言で片付けられる本ではなかったことは分かる。
読んでる最中からシゾの人の世界のようだと思っていたけど、最後までそんな感じで、どこまでが現実でどこからが虚構なのかの境界が曖昧な感じ、嫌いじゃない。
作者が何を思いながらこの本を書いたのかは気になる。
こういう文章、現国で読んで無理矢理理解させられそう。関係図において現実と虚構で同じようなベクトルがあり、その関係が…とか。

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2026年10月05日

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ネタバレ

文体のエキセントリックさと独特さから、最初は読みにくく感じた。ただ、読み進めるうちに昨今すごく身近になっているテーマに感じた。

労働によってしか人が繋がれなくなっている。働かざる者食うべからず=だれかの役に立たないと存在してはいけない、という現代社会の強迫観念を体現していると思った。

アラスカ(=社会規範に馴染めず一見役に立っていないように見える存在)に対して、主人公と制作者が、それ自体が人間足らしめると評価している文から、人間の不完全性みたいなものに対する寛容や救いを感じた。

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2026年10月04日

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流石芥川賞、よく分からなかった。
でも上司から愛されたい。働かざる者食うべからずという潜在意識によって労働しなければという脅迫観念は良くわかる。
AIに仕事を取られるか分からないけど、ゲームに費やす似たような光景が広がるヨドバシの土曜日の昼さがり。

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2026年10月03日

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ネタバレ

あらすじを全く知らずに読み進めていたので、物語がどのように展開しているかは、当分わからなかった。ただ読み進めていくうちに、主人公はVRにのめり込んで現実と仮想空間の境目が曖昧になっていることがつかめた。自分もゲームのやり過ぎには気をつけないと笑

主人公は臓器や肉体の破片を集めていく過程で、自分自身にストイックな一面が多々みられた。完璧こなさなくてはいけない、働く物食うべからずなど。
もしかして、この刷り込みって最後の方に出てくる父親の嫌味ったらしい呪文のせいだったりしないだろうか。しかし最後らへんに体のパーツ=自身の信念として表現されていたのがよくわからなかった。

またVRをプレイする前はAIに対して過剰に毛嫌いしていたものの、ゲーム中に出てくるAI(実際にはミーシカ)のクマに弱音を入っていたのが少しカオスで面白かった。

一周読んだ後に斜め読みをしてみたが、やっぱりまだわからないことが多いので、一度期間を空けて再度読もうと思う。

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2026年10月03日

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AIに職を奪われた現実世界からVI世界への移行。ロールプレイゲームでゾンビ回収の仕事に邁進する主人公の世界がどんどん現実を侵食して、その不可解な世界に平安を見出す。また、その悩みは現実世界でもあったような、どんどん混沌としていく。

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2026年09月26日

Posted by ブクログ

死んで別の世界で新たな人生をやり直す、そんな転生系の小説が流行っているが、本書は形を変えたそれではないだろうか。
主人公は生きていているが、社会的には死んだようなものでVRゲームの世界に逃避という希望を見出している。
だた、転生系は新世界で前の世界の不幸を帳消しにするように活躍し、幸せになっていくが、それとは逆にVRゲームの世界にのめり込むほど死に近づき世界が混沌としていく。
そんな、2つの世界で揺れ動き現実と虚構がわらなくなっていく様が怖くもあるが、惹きつけられてもしまう。

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2026年09月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これは「私の価値と仕事」を主軸に描かれていると思うので、それについての感想を書きたいが、なにせそことはあまり関係がない部分が一番印象に残ったので、まずはそちらについて。

印象に残ったのは以外。

かれのプレイするゲーム画面を眺めてあれこれ言いながら晩酌をする時間がわたしはきらいではなかったが、かれがゴーグルを装着するようになると見る間に、わたしたちの次元と空間とは完全に隔たってしまった。プレイ中の夫は、虚空にむかってぽかんとまぬけに口をひらいて、舌のうえになにかが落ちてくるのをいまかいまかと待ちかまえているみたいに見えた。その光景はどこか不気味でもあり、なぜだかかすかに不快でもあった。

この描写に強く共感した。私は家族がスマホに釘付けになっていたり、夫がショート動画やソシャゲに夢中になっていることに激しい嫌悪感がある。餌を待つだけの肉になった印象だ。本当に気持ち悪い。こうなったら人間終わりだとすら思っている。人間と呼ぶのは烏滸がましい。肉である。私はこうはなりたくない。しかし、同じようにスマホに釘付けでも、たとえば真剣に漫画を読んでいたり、泣きながらRPGゲームをしていたとしたら、それが数時間続いても気持ち悪いとは思わない。

これについて、私はたびたび考える。何がトリガーとなって気持ち悪く感じるのか。もしかしたら、理性がない、欲望が剥き出しになっている様に嫌悪感があるのかもしれない。私は人が食事を貪る様子も醜悪だと感じるときがある。コアになる部分は同じように思う。普段はその人の奥にあると思っている理性、意志、目的といった層が薄くなって、刺激→反応→刺激→反応という生物的な回路だけが表面に出てくると、失望してしまうのかもしれない。

ただ、この感情を的確に表現する言葉が見つからない。「肉になった」以外にこの嫌悪感をどう表したらよいものかと考えている⋯⋯。

それはさておき、この本の中核の中で印象に残ったのは、「人間はなぜ、そんなに進歩し続けなければならないのか」という問いだった。

主人公は「これ以上発展したくない、このままでいたい」と言う。これはとてもわかる。現状維持でいいのに、社会はそれをなかなか許してくれない。

しかも厄介なのは、社会だけではなく、人間自身も他人に進歩を要求してしまうことだ。「もっと勇敢になってほしい」「向上してほしい」と願うことは、一見すると相手のためを思っているようでいて、実際には「今のあなたでは不十分だ」という否定にもなる。愛や心配という名目で、相手を自分の望む形に改革しようとしてしまう。その描写はかなり身に覚えがあった。

仕事についての描写も印象的だった。「生きていくには仕事が必要」と考える一方で、本来仕事は、生きるためのお金を得る手段の一つにすぎないはずでもある。それなのに、いつの間にか働けること、役に立てること、成果を出すことが、そのまま自分の価値になってしまう。

現代では「こいつは仕事ができない」という言葉がかなり強い悪口として使われているように思う。本当に仕事が私を構成するいち要素でしかないなら、「料理が下手」とか「足が遅い」といった悪口と並んでいるべきなのに、仕事だけは別格だ。

私も「仕事ができない」と言われるのは嫌だ(「料理が下手」もかなり嫌だけど)。自分では「私、仕事できないもの」と言っているくせに。きっと本当はそんなこと思っていない。

なので、主人公が口では「称賛なんて必要ない」と言いつつ、心のどこかでは誰かにその矜持を見つけてもらいたがる気持ちがよくわかった。能力を褒められれば謙虚に否定したくなるのに、本当に誰からも気づかれなければ、それはそれで寂しい。「評価なんていらない」と言いながら、実際には自分がこだわった部分まで誰かに見つけてもらい、そのこだわりごと評価してほしい。言葉と思いが正反対だ。ああ、なんて面倒くさい。

だからこそ、作中の「細部」や完璧主義についての話も刺さった。時間をかけて細部まで作り込んだからといって、それに気づいてもらえるとは限らない。むしろ多少粗くても早く世に出したもののほうが歓迎されることさえある。「拙速は遅巧に勝る」と頭ではわかっていても(本当は孫子はそんなこと言っていないらしいが)、時間をかけた以上は傑作でなければならない、と思ってしまう。このあたりは創作に限らず、仕事全般にかなり通じる話だと思った。

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2026年09月25日

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最初から世界観に引き込まれて、文体も読みやすくサクサクと読み進められた。

子供の頃から感情を抑圧されながらも、周りを見回して努力して、最後には認められたいと思うのは自然なことだと思う。
自分より強い存在から向けられた言葉が身体に刻まれてしまうのも分かる。

そんな自分であっても、はっきりとした言葉ではなくても相手を思い通りに動かしたいと思うことってあるよなあと思った。

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2026年09月22日

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第175回芥川賞受賞作である。著者は3作連続で芥川賞候補となり、3度目にして受賞に至ったらしい。まあ、芥川賞とはそういうものだし、何度も候補になりながら結局受賞できなかった作家も大勢いる。だからというわけではないが、本当にこの作品が賞にふさわしいのかどうか、ぼくには判断がつかない。
そもそもゾンビものが大嫌いである。そして設定が意味不明だ。ゲームと現実が融合した世界のNPCとなってゾンビの残骸を清掃する? なんだそれ?
『SAO』をはじめ、こうした題材に抵抗感はないはずのぼくだが、本作は受け入れられなかった。

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2026年09月21日

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ネタバレ

最初、平仮名が多く読みにくい文体で元々このような文章を書く方なのかなと思っていたが、主人公が家族に現実世界へ連れ戻されてから文章がしっかりとしてきて、VRに侵食されていた表現なのかと思うと怖くなった。
最後、ずっと空想の世界で働き続け、更に同じような人たちが何人も病院に溢れ返っているのかと思うと恐ろしかった。

仕事は好きではなかったけれど、AIに仕事を奪われたと怒り、自らが機械のようになってしまい、働いて認められることを求めてしまう。AIを使っているのに進化ではなく退化に感動してしまう、そんなアンビバレンスさが人間味なのかなと思った。

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2026年09月21日

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む、難しかった…けど、理解できない虚構にいると思えば?楽しめたかも…。むしろ現実とVRの世界がごちゃごちゃと混ざっていき自分が肉体含めてどちらの世界で生きているのか分からなくなる。仕事とプライベートどちらの世界が本物か分からなくなるような感覚と同じかもしれない。こ、怖い…

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2026年09月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ゾンビ回収婦

著者:小砂川(こさがわ)チト
文藝春秋2026年9月号
初出:群像五月号(2026年)
第175回(2026年上半期)芥川龍之介賞受賞作品

30歳前半ぐらい?の夫婦がいて、2人は同じ職種だけれど、今は競合会社にいるような関係だが、2人、ほぼ同時期に失業してしまった。どちらもAIにとってかわられてしまった。上司がAI信奉者のようである。夫は口数が少ないタイプで、いつもVRのゲームを1人でしている。家具に傷がつくからと注意をすると、自室に入って続けている。妻はその逆のタイプ。妻がこの小説の主人公。

失業して、ある日の朝、夫は書き置きをしていなくなった。演奏旅行に出ます、とあったが、演奏旅行ってなに?楽器できるの?と意味不明だった。
妻(私)は、夫が夢中になってしていたVRをしてみる。そして、何日も没入することになる。妻はその世界にある「ザ・グランド・口唇期ホテル」でゾンビ回収婦をして働く。NPC(ノン・プレイヤー・キャラクター)としてのゾンビ回収婦である。これは、ゲームの制作者がプログラムしたように動くキャラで、ゲーム参加者ではない「その他」のキャラ。街の人だったり、店の店員だったり・・・

どんなゲームか、意味不明のナラティブが展開していくのであまり想像できないが、どうも参加者がゾンビで、戦争をするようである。そこで死んだゾンビの死体を回収する仕事のようだが、ゾンビは元々死んでいるので、戦闘で撃たれても死なないはずだが、ある程度までいくと本当に死ぬようである。ゾンビゲームをしたことがないのでよく分からない。

ゲーム部分の展開がなにがなんだかさっぱり分からないが、この小説のテーマは案外分かりやすい。口唇期ホテルの支配人による彼女への評価、批判、こき使われ方・・・いろんなことが、現実の社会でのありかたに通じていて、例えばリアル社会でのどんなシーンのことを言っているのか、よく分かるのである。いろんな名前や物質が出てくるが、そのひとつひとつが何を意味するのか、なんのメタファーなのかは1度読んだぐらいでは分からないが、分からなくてもまったく問題ない。AI失業が現実味を帯びているなかで、これまでAIなんてなかった社会で働いてきた自分、いくら男女平等とはいえ、若い女子が会社のなかで戦力として働く場合の行きづらさ、そんなこんなが伝わってくる。

書いてあることは意味不明でも、言いたいことが伝わってくる。著者はなかなかの名文家じゃないかとも思う。

彼女がVRのなかでなんとなく恋心を持ってしまうのは、アラスカというゾンビである。それが、リアル社会での夫とダブらせているのかどうかは、まだちょっと理解できないが、なぜアラスカなのか、終盤に種明かしもある。このゲーム(AIへのプログラミング者)の作者が言う。
なあきみ、イヌイットって知ってるか?
アラスカに住んでる先住民族。かれらがかれら自身のことを自称するとき、こんなふうに名乗るのだ。
なあ。俺がきみに与えた最初の言葉。なんだと思う?
【人間らしく(イヌクティトゥット)】

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2026年09月18日

Posted by ブクログ

【ゾンビ回収婦】

AIの登場によって仕事をクビになった夫と主人公。夫は演奏会旅行に出かけ、主人公はVRゲームの世界に逃避する。
人は無意識のうちに必要とされたいという感覚があるというけれど主人公の労働に対する考えもここに行き着くのかなと

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2026年09月13日

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