葛藤や苦労ももちろん沢山あったけど、ずっとアザラシの事が大好きで、アザラシのそばにいて、彼らのためになることをするための努力を絶やさず行える人なんだと思った。
印象に残ったのは、筆者の経歴、保護個体の話、普段の業務の話。
経歴として、高校生の時からアザラシに関わりたいと思って進路選択をし、大学でも努力を続けて獣医師免許取得。それでも、アザラシの保護をしている水族館が少なく?狭き門。で、1回は動物病院で働いてから、アザラシセンターへ行った。という経歴がすごいと思った。そこまでの強い愛情を持ち続けて、実際に行動に移せる人はそう多くないと思う。
あとは、行動力がすごい。
大学の際、当初教授に否定されても別の実習として実習の機会を確保した。どうすればその場所で働けるか分からなくて、水族館に何度も電話、しかし繋がらずFAXで聞いた。オランダへ3泊4日へ行った際も主題はアザラシで、アムステルダム以外ほとんどアザラシを見ていた。勉強も、大学の普通のに加えて博物館の授業なんかの+αもだけど、実習の際の、餌作り、給餌、掃除、個体識別。なんかの膨大な知識と実践。動物病院では、苦手なイヌネコにきちんと関われるように努力してた。
こんな感じで、長期的に自分の望みを自覚して努力を続けられる、という目的と手段を真摯に実行する姿と、必要で意味があることを何でも行動に移す姿はかっこいいと思った。
こういう筆者の経験を聞くと、「好き」は最強だと思う。そして、好きだけじゃなくて、その好きをどう活かすか、どんな風に生活したいか、関わっていきたいか。という現実的な面も踏まえて、進路を選択してきていて、そしてこのように本も書いている。という決断と努力と長期的な見通しが作者のすごさだと思った。
保護個体は、名前を付けない、片道1 2時間を行って確保する、生存率70%くらいでその死因は食べ物が無くて砂利や砂?まで多く飲み込んでしまうことと寄生虫、まずは水に入れずに地上でスノコの上で生活してもらう。などが心に残った。個体ごとの事情や様子に合わせて、餌やどうするかを臨機応変に変えているのは、判断が難しく大変な仕事だと感じた。
普段の業務は、来客対応やショー、餌関係と掃除なんかで力仕事もあるらしかった。かなり大変らしいけど、充実しているようだった。
あとは水族館の各アザラシの特徴や、筆者の思いも沢山書かれていて、愛が詰まっていた。
まおめ
この人じゃないと書けない、アザラシへの思いや知識、経験だと思う。
生きている生物と関わって、彼らのために身を粉にして働いている。その大変な中でも、アザラシに色んな反応をされたり一緒に過ごすことに、充実感や喜びを感じていることが伝わった。努力をして、アザラシのために活躍することに幸せを感じられるのが素敵だと思う。
筆者の経歴、経験の話はあるけど、その他の趣味や筆者についての話がほとんどなく、ほぼ全部アザラシ関連の話なのも、この人のアザラシ愛故のものだと思う。
北海道の上の方?ということで、私の場所からは遠いけど、いつか一回は行ってみたいな、アザラシを近くで見てみたいなと思った。