日本SF作家クラブ編の作品一覧
「日本SF作家クラブ編」の「2084年のSF」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「日本SF作家クラブ編」の「2084年のSF」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
『ポストコロナのSF』に続く日本SF作家クラブによるアンソロジー。オーウェルの『1984年』の100年後、というお題で書かれた23編。『ポストコロナ』もだいぶ面白かったがよりぶっ飛んだ設定が多くて大変良かった。『1984年』をどこまで意識したりオマージュするかもそれぞれで、想像力を解放してくれればどちらでもいいんだけど、それでもやっぱり『R___R___』の二重思考をあれだけ表現した筆致は凄すぎてニヤけた。あとは短編だからこそではあるんだけど『男性撤廃』は長編にするか『女性撤廃』との二本立てで楽しんでみたくなった。
事実が小説より奇なりなんて、ぶっ飛ばせ。
・「小説よりも奇妙な現実なんて、誰も求めてないよ!」
・「僕は今幸せなんです。現実ってそんないいものですか?この世界で歌っていてはいけませんか?
誰にも迷惑かけてません。一人でいるだけなのに」
「現実だって、それほどいいものじゃない。だがなあんたがそうやって現実から逃げているあいだも、
現実を支えるために必死で戦ってるやつらがいる。誰にも迷惑をかけてないと言うが、
あんたの幸せは、彼らの犠牲で成り立ってる」
・効率優先、生産性第一の社会、即ち若いことが価値だとされる社会では、
人間的な豊かさや幸せは二の次になりがちだ。
・人類が到達した「無眠社会」。それは人が起きたまま睡眠できるようになり、
圧倒的な生産性を手に入れた社会。しかし、そんな世界の中でシステムに適合できない(睡眠せざるを得ない)者、
適合しすぎた(「夢」から出られない)者がいた。
・生物にとって睡眠は欠かせないもの。自然界では、たとえ脳がない生物であっても寝る。
・人口睡眠装置『アウェイク』は30分の睡眠で、記憶の整理、免疫機能の調整、肉体的休息の効能を得られる。
・働くにせよ、学ぶにせよ、1日8時間、年間4か月のアドバンテージが得られる、というお題目のもとに実現した
超高度生産社会の中で、福祉のお世話になることは、公共の敵と看做されることを意味した。
・「みんなはただ奴隷のように働く自分たちが、かつての人間よりも優れたものだと思いたいだけなんだよ」
・「人は眠りを無駄なものだと決めつけてしまったけれど、本当は違うんだって。
どんなに人生に生きがいを感じている人でも、本当は、自分が世界から離れる時間が必要で、
それが眠りなんだ、って思った。眠って、活動して、眠る。それがセットなんだ」
・「みんなにとって今の世界は悪夢なんだよ。どこにも逃げられない。
ずっと現実が絶え間なくて、勉強することと働くことに追われている。だから30分の夢の世界にずっといたいんだ」
・残そうという努力をしなければ、消えてしまうものも多い。
Posted by ブクログ
SF好きにとって最も象徴的な年号である1984年、その100年後を現代SF作家達はどう描くか?という視点のアンソロジー。
逢坂冬馬「目覚めよ、眠れ」は、有名作家なだけあって世界観の魅せ方が上手い。SNSが急速に発展した現代において、超効率社会というディストピアはジョージ・オーウェルの時代より更にリアリティを伴った絶望感があった。
安野貴博「フリーフォール」は、攻殻機動隊を彷彿とさせるようなテクノロジーをテーマにしていて、男心をくすぐられた。その技術が当たり前になった時代に登場人物がもつであろう価値観を描くという点で、他の作家と一線を画していた。この人、政治家やってないで小説家一本で十分食っていけるのでは?
人間六度「星の恋バナ」は、往年のロボットアニメの雰囲気を感じられる設定。上手く表現できないけど、文体がすごく自分好み。JK主人公の内心のドメスティックさと、ガンダムばりの練られた設定の温度差が心地良い。この人の作品をもっと読みたい!と一番思った。