作品一覧

  • 太平記史観 日本人の歴史認識を支配した物語

    太平記史観 日本人の歴史認識を支配した物語

    ビジネス・実用

    3.8
    1巻1,100円 (税込)
    新田義貞と足利尊氏は同格?→違う。新田が明確に格下 両氏は別の一族?→誤り。実は同じ一門 中世から現代まで、数多の作品の種本になり続ける『太平記』。 武士像はじめ、実は日本人の歴史認識を縛ってきた物語である。 その虚実に加え、「史観」の影響力を気鋭が最新研究で暴く! 司馬史観よりも強い「太平記史観」 足利尊氏、新田義貞、楠木正成、高師直をはじめ、『太平記』で描かれた武士像、話の構成は中世から近世、近現代まで何百年も日本人の歴史認識を縛り、現実にも影響を及ぼした。 例えば、徳川光圀の『大日本史』も『太平記』に依拠しており、その楠木正成像を筆頭に、尊王攘夷・皇国思想に「太平記史観」は繋がっていったのである。 重要史料だが、虚実ないまぜで取り扱いが難しい物語。高師直=悪玉の修正はじめ、歴史学と国文学の格闘の成果を示しながら、我々の歴史認識まで問い直す。 続々と塗り替えられる鎌倉末期から南北朝の世界像 ■山名宗全も、徳川家康も、「足利一門」だった ■楠木正成は、鎌倉幕府の関係者だった ■尊氏との戦いは足利一門の分裂戦争。義貞は第三極を目指した ■鎌倉期、得宗は九代でなく「八代」とされていた ■源義経主従の話には『太平記』がベースのものがある ■鎌倉幕府滅亡の理由はいまだに不明 ■新田氏と北条氏の関係は密だった ■吉野攻撃は高師直の独断ではなく足利直義の判断 【目次】 はじめに 第一章 太平記史観とは何か 第二章 『太平記』の基礎知識 第三章 太平記史観の諸相 第四章 太平記史観を超えて おわりに あとがき 参考文献
  • 分裂と統合で読む日本中世史

    分裂と統合で読む日本中世史

    ビジネス・実用

    3.7
    1巻1,980円 (税込)
    網野善彦以後の20年、「日本論」の現在と未来を考える――。気鋭の中世史家が歴史から現代を読み解く新たな方向性を導き出す! 「じつは東西南北に広く、その国土も意外と大きい日本列島では、長い歴史のなかで豊かな地域的・文化的多様性が育まれてきた」ことを、中世史を中心に日本史全体の研究最前線からあらためて提示し、「いくつもの日本」の姿を紹介する。 さらに上記の多様性を踏まえつつ、「南北朝」「応仁の乱」など、分裂と統合を繰り返す中世史の実態から、「多様な社会を統合する」契機を提示し、国家における「分裂と統合」の普遍的な意味を探り、現代を考える手段を提示する
  • 鎌倉幕府と室町幕府~最新研究でわかった実像~

    鎌倉幕府と室町幕府~最新研究でわかった実像~

    ビジネス・実用

    4.7
    1巻946円 (税込)
    鎌倉幕府が滅亡したのは偶然が重なり合った結果だった。あるいは室町幕府は応仁の乱ののちも強かに存在感を発揮し続けていた――いずれも、最新の日本史研究で議論されている論点であり、従来の日本史の常識を覆す研究が近年次々と発表されている。本書では、新進気鋭の中世史研究者たちが、それら最新の学説を整理して二つの幕府の実像を明らかにする。巻末には、どちらの幕府が強かったかを議論する座談会を収録。

ユーザーレビュー

  • 鎌倉幕府と室町幕府~最新研究でわかった実像~

    Posted by ブクログ

    鎌倉幕府と室町幕府を最新の研究から、制度や権力構造に
    重点を置いて比較し、研究者の視点から解き明かす。
    ・はじめに――熱い時代の先に
    ・旧国名地図 ・鎌倉幕府将軍略系図
    ・得宗略系図 ・足利家系図
    第一章 【鎌倉幕府と公家寺社】部分的な存在としての鎌倉幕府
    第二章 【室町幕府公家寺社】公・武の関係をどうとらえるか
    第三章 【鎌倉幕府の地方支配】
            鎌倉幕府の「守護」とは何だったのか
    第四章 【室町幕府地方支配】守護は地方にいなかった?
    第五章 【鎌倉幕府の滅亡】滅亡は必然か?偶然か?
    第六章 【室町幕府の滅亡】存亡よ滅亡をめぐる問い
    座談会 鎌倉幕府と室町幕府はどちらが強かったのか
    各章ごとに参考文献有り。

    史料の掘り起こし、新たな史料発見などによって、
    従来の研究の通説を批判する、新たな研究が登場する。
    鎌倉幕府は、幕府と公家政権、寺社勢力の協調。
    室町幕府は、公家社会と寺社、そして幕府等の内部の主体と
    人脈が関わっている。武家側と公家側での視覚でも注目。
    鎌倉期の守護は任国へは下向せず、守護代と名代を派遣。
    地方と中央の守護と非守護勢力との協調での支配、
    弱体化した国衙や東国守護の設置についてなど。
    室町期の守護は、在京して幕政を担う有力者。
    遠国との境界の守護は在国。地方を支配する守護以外の存在も。
    鎌倉幕府の滅亡は、説明のつかない珍事。
    「金沢文庫古文書」研究の進展が待ち遠しい。
    室町幕府は、将軍独自の政治機構によって存続。
    幕府政治を補定する大名も。だが滅亡の研究はこれから。
    様々な研究の変遷と最新の研究が提示されて、お腹いっぱい。
    興味をそそる研究内容の多さに、迷走しながら読みました。
    気になる部分を書き出して思ったのは、
    実に研究者も、群雄割拠の時代になったなぁと。
    それでもまだ、解明されない歴史が多いこと。この先、
    新たな史料での発見や覆ることもあるかもしれません。
    研究者たちの動向に注視しながら学んでいきたいです。

    0
    2025年02月06日
  • 鎌倉幕府と室町幕府~最新研究でわかった実像~

    Posted by ブクログ

    制度や権力構造に重きを置いて両幕府を比較することで、その特徴を浮き彫りにしようとする内容。テーマ毎に研究史と現在の到達点が分かりやすく整理されている良書。

    0
    2023年02月07日
  • 鎌倉幕府と室町幕府~最新研究でわかった実像~

    Posted by ブクログ

    気鋭の若手日本中世史研究者4人が、鎌倉幕府と室町幕府を比較しながら、両幕府に関する近年の研究成果を整理。
    自分は日本史好きであるものの、鎌倉・室町時代は最も興味がない門外漢だが、鎌倉・室町幕府を巡る研究史の流れがよく理解できたし、通説が塗り替えられていく歴史学研究のダイナミズムが感じられ、かなり面白かった。
    従来の通説が階級闘争的・二項対立的なマルクス主義歴史学の影響を強く受けていて、冷戦終結後にそれを超克せんとする多様な実証的研究が開花したという研究史の流れを再認識した。
    ただ、64頁の天皇家系図で室町時代の最重要天皇ともいえる後小松天皇が漏れているのは玉に瑕であった。

    0
    2022年05月13日
  • 太平記史観 日本人の歴史認識を支配した物語

    Posted by ブクログ

    よく、司馬史観による坂本龍馬は虚像であるといった評価を目にしますが、あれはそもそも坂本竜馬だし、物語として楽しいのでとても大好きです。本書に書かれる太平記や平家物語も同様で、変に政治利用や思想教育に使われるのでなければ、それはそれ、学術的研究は研究で別物であってよいかな。
    先週観た幸四郎・染五郎の密告と、原作の密告、吉右衛門のテレビスペシャル密告が、それぞれまったく別物であるのに驚いたのを想起しました。
    2026-029

    0
    2026年07月13日
  • 太平記史観 日本人の歴史認識を支配した物語

    Posted by ブクログ

    歴史は時代と共に変わっていく。過去は変えられないから、歴史自体は変わることがない、そう考える人も中にはいるかもしれないが、新たな文献の発見や歴史研究家達の日々の研究努力の中で、新しい説が生まれたり、今なお数多くの歴史研究のテーマは完全解決したとは言えない状況にある。少なくとも私が小学校時代に習った聖徳太子の様々な実績は、構成の作り話であるとか、呼び方さえも「厩戸皇子」に変わったりしている。必死に語呂合わせで覚えた年号もいくつかは変わってしまった。何より、「記録する」という行為自体が歴史を遡る程に技術面に於いても、体制面に於いても現代とは比べものにならないくらい未発達、かつ情報伝達力がメールに写真画像を貼り付けてボタンを押すだけの世界では無いから、話として伝わるまでにかかった時間に比例して歪められていくのは間違いない(結局人の記憶に頼る)。そして、最も影響を与えるのは、それを歴史として記録した人の立場や心情、思惑では無いだろうか。
    中国は易姓革命の国として古くから何度も権力者が代わってきた。その様な国でも歴史の編纂事業は過去から何度も繰り返されてきたし、大凡国家事業として行う以上、時の権力者に批判的な内容は記載できない。加えて、皇帝などは自分の権威を高めるために、過去の支配者を散々にこき下ろす様な事は日常茶飯事に行われるから、益々事実とはかけ離れていく「新しい歴史」に変わる機会に溢れる。
    そして本書が扱う「史観」。皇国史観や作家の名をとって司馬史観などよく耳にするが、一定の方向からの力が働いて、史実とは異なる内容で描かれていく、言わば思惑に支配された歴史観などがいくつか知られている。文学作品を書く事を生業にする作家が描く歴史ドラマは、特にヒーローイメージ、(倒したくなる)悪役の存在、神がかり的な知恵や武力などの能力を持つ人物など、面白さを重視した脚色、作り話に溢れている(勿論歴史物として描かれる以上、全体的に見れば合っているとしても)。本書はそうした中で、現代日本人が縛られている歴史観として「太平記」をテーマにしている。太平記はそもそも作者、成立年などがはっきりしない創作物であるが、これを多くの人は史実と読み違えて考えている。足利尊氏や新田義貞、楠木正成、後醍醐天皇、護良親王など歴史上実在する登場人物は勿論描かれているが、太平記自体が複数のバージョンが存在し、その後の研究者の説自体が複数存在するから、私たちが認識している彼らの活躍の一体どれが真実かははっきりわからない。私個人で言えば間違いなく幼い頃観たNHKの「大河ドラマ太平記」史観に支配されている。よって吉川英治=吉川史観とでも言うのだろうか。因みに話は逸れるが、柄本明演じる高師直、陣内孝則演じる佐々木判官(道誉)、高嶋政伸演じる足利直義、大地康雄演じる一色右馬介など、ハリウッドでも活躍する真田広之の足利尊氏を支える助演陣の演技が凄すぎた事、脇を固める俳優陣の演技力の高さが記憶の大半を占める。間違いなく私の中での大河ドラマNo.1は太平記である。
    思わず大河に逸れてしまったが、本書タイトル「太平記史観」とは、現在の歴史記述や物語に大きな影響を及ぼした(物語なのに史実に影響を及ぼしてしまった)太平記について、筆者が様々な角度から分析を試み、我々の認識の誤りを訂正していく内容となっている。一例を挙げると、本の帯にも示される通り、新田義貞が尊氏といかにも縁のない同格の敵役に見えるが、新田義貞は足利尊氏の一族の諸派であり同格に扱うべき人物に有らず、と言ったものだ。確かに私はてっきり足利一族に敵対する成り上がりの武将といったイメージを新田に持っていたから、だから本書を手にしたと言っても良い。それだけでなく自分の知っている太平記と比べながら読むも良し、太平記は知らずとも鎌倉幕府滅亡から室町幕府へと変遷する動乱期を知る目的でも良し、楽しめる内容となっている。
    我々が知る歴史とは自分が学んだ歴史であり、その教科書(私なら山川の日本史)の歴史だ。そして実は自分が歴史だと思っていたことが、実は創作物であったり、せっかく覚えた歴史がいつの間にか新説により変わることなど日常茶飯事だ。だがそれこそが歴史の面白さであり、誰もその過去を見た事が無いような古い時代なら、尚更難解なパズルのピースを繋ぎ合わせ、足りないピースを探したり予想したりする事が歴史の楽しさでもある。またいつか筆者の様な人物が何処かから新しい発見を齎す事に期待する一冊だ。
    個人的には楠木正成にもう少し触れても欲しかった。

    0
    2026年05月17日

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