狩撫麻礼の作品一覧
「狩撫麻礼」の「初期のURASAWA 完全増補デジタル版」「青の戦士」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
著者の代表作であり、急逝から半年後というタイミングで出版されたため、「急逝により残念ながら絶筆となった永遠に未完成の作品」と思われがちな本書。実際は、著者が亡くなった時点ですでに連載終了から4年以上経過しており、その間に著者は別の漫画の連載もこなされていて、これが最後の仕事ではない。連載終了についても、著者が自らの判断で自主的に申し出たものであり、著者にとっては完成していたとも考えられる。そのため、もし仮に急逝されなかったとしても、本作の続きが描かれていたと想像することは難しい。ということは確認しておきたい。
70年代COMの青春マンガを思わせるリリカルな物語で、獣人がまるでふくやまけいこ作品を再解釈したかのようなデザインで超かわいい。とにかく線画がものすごく良い。中期以降のよつばとを先取りする丁寧なフリーハンドの背景画が美しい。完璧な下書きを要求する過酷な職人技を一人で描きこなすからこそはじめて可能な自由すぎるカメラアングルと、緊張感を高める大胆な省略表現、予想のつかないリズムが渾然一体となり、誰にも真似できない魅力として永遠に屹立している。名作
神話眼
・「確信犯(ギイルティ)め。…このシナリオを誉めても貶しても無意味だろう。
人類の創生以来、ある《眼球》がこの世界を輪廻している。ムー大陸、旧約の大洪水、キリストの磔刑、ロシア革命、ヒトラーの大虐殺…
だが決して《人格》や《魂》ではなく《眼球》だけが輪廻したのだ。
その《眼球》は現在、日本人のある少女に宿っている。彼女が主人公だ。まだ当人はその事実に気付いていない。
その《眼球》の無限大の情報価値。某国の超ハイテク集団の魔の手が忍び寄る。主人公の恋人との逃避行…そして…」
・「映画化は絶望的だ。オレ以外のプロデューサーならばだ。
ただしオレは人殺し以外は何でもやる男だ。それが映画ってものさ」
・「このオレには決定的に欠けてる要素がある。夢見る能力、物語る資質がな。ギイルティ、あんたのシナリオが必要なのさ」
・「シナリオの変更、10代の少女でなくても…ブロンクスのアパートに訳ありの日本人OLが、致命的な片目の損傷。
手術を担当する邦人医師。だがその眼には、いまだかつてない人類の秘密が」
・「天空には黒い太陽が…その時、風が凪いで不吉な予感…栄華を誇ったムー大陸が烈風と大地震と津波で瞬時に水没するのだ。
その光景を目撃した《眼球》が、輪廻して輪廻して…やがて現代に…」
・「交通事故で片眼を損った女と、それを治療した男。
数か月後の再会。摘出した片眼は冷凍保存されている。
現在、女の片眼は精巧な義眼だ。
人類創生以来、めくるめく輪廻してきた《眼球》を持つ女。
男は信頼していた医局長に打ち明けるが、その線から秘密は漏れる。
《組織》は生きたままの女の片眼を要求する。男の栄達と交換条件だ。
だがすでに二人は恋に落ちている。…ただ向き合って…そして抱きしめる」
・「第四の火。常温核融合。海水に無尽蔵に存在する水素からエネルギーを得られれば、現在世界を動かしている”石油”の価値は地に堕ちる。
パニクった某国の石油相X氏は、己の隠し資産を、将来の保険のため、米映画産業に投入する決意を固めた。
その資産は5億ドル(約500億円)」
LIVE
・「真に覚醒せし者、選ばれし者、才能ある者は、いつの時代も多数者の理解を超える。
ギイルティとは、たったひとりで最後まで戦争をするっていうあんたの決意表明だよなあ」
・「誰よりも映画を愛しているあんたは、誰よりも映画界を憎んでいる。
豚どもがはびこるバビロンシステム…だがな、超一流のミュージシャンも芸能界を憎んでいるぞ」
・(なぜだ、なぜ俺に近づく‼お前の目的は?)
(あんたと同じさ)
(返答になってねえぞ)
(世界を屈服させたい‼)
(俺は俺の幻視を映像化したいだけなんだ)
(あんたひとりじゃ…ふふっ…無理だぜ)
(お前いったい何者だ)
(世界を股にかけたグレートでハイパーな詐欺師、そしてオレもギイルティだ…どうだ、オレと組まないか?)
(よし!OKだ‼)
・「LIVEでオレと以心伝心したろうが!俺と組むって」
無人島の10年
・「俺はドロップアウトしたかった。メジャーデビューした映画の失敗ばかりが理由じゃねえ。
そのころ、行き当たりばったりのややこしい女関係と借金、密かに自惚れていた俺の才能とやらも、所詮見栄っ張り。飽きっぽい癖に負けず嫌いのアホな性格が、映画で一旗揚げようとしていただけかもしれねえと気付いたのさ。
一区切りつけたかった。社会や親兄弟と折り合いのつかねえこの俺が、なぜか子供のころから勝手にこの世の楽園と決めていた沖縄…南西諸島」
・「俺はサバイバルの本を読みまくった。無人島で10年生活する技術をモノにしたくて。
米や麦はもちろん、およそ食えそうな植物の種子はすべて持って行ったのさ。何しろ周りは海だ。タンパク質には不自由しねえ」
・「一度死にかけた。それはコカインやマリファナ、麻薬よりもさらにぬるくて深い感覚だった。
薄れゆく意識…。白状する。俺は本当はシナリオを書く目的など忘れていた」
・「あれは島に上陸して3年経ったころ。満月だった。
ついに持参した酒も煙草も尽きて、ギブアップ、負けたぜ、所詮俺はこの程度の男、と思ったときのことだ。女がやってきた」
・「その完全に熟れきった肉塊。こんなうまい話があるわけねえ。
…近くの島に住んでる若後家?出戻り女?欲求不満を持て余し俺の噂を聞きつけてやってきたのか」
・「5日に一度は小舟を漕いでやってくる美女。
その夜から7年間、俺は酒も煙草も、無人島では食えない食料にも不自由しない身に…楽園…このままアホのように一生この島にうずもれてもいい、とおもった。
だが、約束の10年が近づいた台風の季節に、俺は自分の目的を思い出してぞっとした」
・「とにかく最後の一週間でシナリオは書き上げたぞ」
Posted by ブクログ
myベスト漫画の一冊です。
漫画を描くのが好きな少女ネムは、断筆状態の漫画家ゴローと出会い恋心を抱く。
ゴローはネムの漫画を見て、今の自分にこんな作品が描けるのか悩み、姿を消す。
そしてネムも高校卒業後、ゴローを追い東京?へ…。
登場人物は全て猫耳(というより宮崎アニメの犬のホームズの猫版というべきかな)。
スクリーントーン無し、アシスタント無し、ホワイト修正無しの一発描き!だったそうで、この絵は本当に驚異的です。
アスキーのコミック誌の連載を読んで衝撃を受け、単行本1巻を購入しましたが、続きが発行されることはありませんでした。
それもそのはず、作者の木崎ひろすけさんは、少女・ネムを含めた3作品をそれぞれ1巻づつ出して、35歳の若さで亡くなっています。
アスキーからでた単行本ではネムの上京前まででしたが、復刻版ではその後の話も掲載されていて、内向的なネムの都会での生活があまりに切なくて辛い。
続き描けなくなってもしょうがないと感じる。
おそらく機会は少ないと思いますが、古本屋で見かけたら、ぜひ手にとってもらいたいですし、こういった作品こそ電子書籍化して、絶版無しで後世に残してほしいと切に願います。