あらすじ
漫画家を目指す高校生の女の子・ネム。
元漫画家のゴローと出会ったことから、作品を生み出すことの貴重さを学んでゆく。
一人の少女のイノセントな輝きを描写した、瑞々しい青春グラフィティ。
●木崎ひろすけメモリアルエディション●
夭折した無垢な魂が遺した3つの宝石。
今なお後続の漫画家からの熱いリスペクトを集める、
氏の数少ない長篇作品の愛蔵版シリーズ、他2タイトルも好評発売中。
A・LI・CE [アリス]
グランドゼロ [GOD-GUN世郎<グランドギア>]改題
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
myベスト漫画の一冊です。
漫画を描くのが好きな少女ネムは、断筆状態の漫画家ゴローと出会い恋心を抱く。
ゴローはネムの漫画を見て、今の自分にこんな作品が描けるのか悩み、姿を消す。
そしてネムも高校卒業後、ゴローを追い東京?へ…。
登場人物は全て猫耳(というより宮崎アニメの犬のホームズの猫版というべきかな)。
スクリーントーン無し、アシスタント無し、ホワイト修正無しの一発描き!だったそうで、この絵は本当に驚異的です。
アスキーのコミック誌の連載を読んで衝撃を受け、単行本1巻を購入しましたが、続きが発行されることはありませんでした。
それもそのはず、作者の木崎ひろすけさんは、少女・ネムを含めた3作品をそれぞれ1巻づつ出して、35歳の若さで亡くなっています。
アスキーからでた単行本ではネムの上京前まででしたが、復刻版ではその後の話も掲載されていて、内向的なネムの都会での生活があまりに切なくて辛い。
続き描けなくなってもしょうがないと感じる。
おそらく機会は少ないと思いますが、古本屋で見かけたら、ぜひ手にとってもらいたいですし、こういった作品こそ電子書籍化して、絶版無しで後世に残してほしいと切に願います。
Posted by ブクログ
読んだ瞬間にわかった。
あ、これはきっと本棚にずっと置いておく一冊になる、と。
小説で「行間を読む」ということばがあるけれど、
漫画の場合には「余白を読む」ことで
その作品の奥深さを味わうのだと思う。
その点でも、この作品は秀逸だ。
無駄なものは一切描かれていない。
その代わり、描きこむところはしっかりと描きこまれている。
少ないモノローグとセリフのないシーンに
想像力を掻き立てられる。
完結していないのは残念だけれど、
1コマ1コマに木崎ひろすけという人間が
にじみ出ている気がする。
無口で穏やかで内面にはものすごい熱を抱えているような。
ただ、その熱は漫画を描くことでしか昇華されないというような。
けれど、結局その熱をもてあましてしまうといったような。
木崎さんありがとう。
何度も読み返す大切にしたい一冊ができました。
Posted by ブクログ
線の一つ一つが表すもの…
キャラの表情、小物の陰、柔らかで温かな質感が
とてもキレイでいとおしい漫画。
全作品の中で、それをもっとも生かしたと思われる、
少女の狭くて、だけど未来への予感を感じさせるすばらしい原作が付いている。
漫画は話が一番大切だと思っている。だけど、木崎氏は絵だけで感動させてくれた数少ない漫画家の一人であった。
ご冥福をお祈りするが、本当は天国から帰ってきて続きを描いて欲しいです。