あらすじ
10年間無人島にこもって映画のシナリオを書いた男の物語! Vol1.平成を知らぬ男/Vol2.怪力/Vol3.怪男児/Vol4.空白の10年/Vol5.志保という女/Vol6.テレフォン・コール/Vol7.第3の男/Vol8.楽園の10年戦士/Vol9.満月の小舟/Vol10.ジム・ジャームッシュ/Vol11.手のひらサイズの夢機械
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無人島の10年
・「俺はドロップアウトしたかった。メジャーデビューした映画の失敗ばかりが理由じゃねえ。
そのころ、行き当たりばったりのややこしい女関係と借金、密かに自惚れていた俺の才能とやらも、所詮見栄っ張り。飽きっぽい癖に負けず嫌いのアホな性格が、映画で一旗揚げようとしていただけかもしれねえと気付いたのさ。
一区切りつけたかった。社会や親兄弟と折り合いのつかねえこの俺が、なぜか子供のころから勝手にこの世の楽園と決めていた沖縄…南西諸島」
・「俺はサバイバルの本を読みまくった。無人島で10年生活する技術をモノにしたくて。
米や麦はもちろん、およそ食えそうな植物の種子はすべて持って行ったのさ。何しろ周りは海だ。タンパク質には不自由しねえ」
・「一度死にかけた。それはコカインやマリファナ、麻薬よりもさらにぬるくて深い感覚だった。
薄れゆく意識…。白状する。俺は本当はシナリオを書く目的など忘れていた」
・「あれは島に上陸して3年経ったころ。満月だった。
ついに持参した酒も煙草も尽きて、ギブアップ、負けたぜ、所詮俺はこの程度の男、と思ったときのことだ。女がやってきた」
・「その完全に熟れきった肉塊。こんなうまい話があるわけねえ。
…近くの島に住んでる若後家?出戻り女?欲求不満を持て余し俺の噂を聞きつけてやってきたのか」
・「5日に一度は小舟を漕いでやってくる美女。
その夜から7年間、俺は酒も煙草も、無人島では食えない食料にも不自由しない身に…楽園…このままアホのように一生この島にうずもれてもいい、とおもった。
だが、約束の10年が近づいた台風の季節に、俺は自分の目的を思い出してぞっとした」
・「とにかく最後の一週間でシナリオは書き上げたぞ」