窪田啓作の作品一覧
「窪田啓作」の「異邦人(新潮文庫)」「転落・追放と王国(新潮文庫)」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「窪田啓作」の「異邦人(新潮文庫)」「転落・追放と王国(新潮文庫)」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
読み出してすぐに不安定さを感じる。それは別に冒頭でママンが亡くなったことから話が始まるからではなく、その周辺を淡々と描写していくムルソーの一人称がそう思わせたんだと思う。判決まではどこか他人事のような一人称だけれど、判決後はある種の興奮状態のように思考が鋭くなっていく。判決がでるまで、愛するママンが亡くなったことを受け入れられず、ずっと彷徨っていたのかもしれない。
ムルソーの人間性は、証人尋問が終わったあとに彼が捉えた街の様子にあるんじゃないかなと思って思わず涙が出てしまった。
ママンのこともマリイのことも絶対大好きだったよね。言葉で表現されなくても伝わってきたよ。愛する表現が一般的な人と違
Posted by ブクログ
アルジェリアの太陽と海の描写が美しかったです。
ムルソー氏の思想も、最後の司祭の思想も、あるいは検事や陪審員の思想も、それぞれの実存により形成されたものなので、本来的には、宇宙的に見れば優劣はない。
あくまで、私の価値観から見れば、ムルソー氏には、太陽や海を愛し、友や彼女、隣人を、そしてママンのことも大事していたように思えるし、誠実な面も多いにあった。だから、殺人は犯して欲しくなかったし、犯すべきでなかった。しかし、彼にはそうしてしまうような危うさが常に付き纏っていたように感じた。それは虚無感や気怠さであり、希望の欠如でもあると思う。
作中の最後に彼が見た希望は、出来れば、私的には、別の形
Posted by ブクログ
深い小説だ。そして人間存在に対する深い救済の小説だ。
そう思った。
アルベール・カミュ『異邦人』を読んだ。よく読後の感想で語られるように、確かに不条理といえばまことに不条理な話である。アラブ人殺しの罪ではなく、ママンが亡くなった時に涙ひとつ見せなかったことを理由に有罪、しかも死刑を宣告される主人公。死刑執行の方法は公衆の面前での斬首刑。被告人の主張はろくに聞き入れられず、国家によって罪を一方的に作られ、彼はただただ執行の日を待っている。
不条理といえば、殺人の動機を「太陽のせいだ」と主人公が主張するのもまた、不条理なのかもしれない。誰かを恨んでいるとか、仕返しをするとか、そうした明確な殺意