ウィリアム・S・ヘスタリーの作品一覧
「ウィリアム・S・ヘスタリー」の「[新版]企業戦略論」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「ウィリアム・S・ヘスタリー」の「[新版]企業戦略論」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
下巻は、全社戦略編として、垂直統合や多角化、提携、合併・買収を扱う。
非常に興味深かったのは、提携、合併・買収である。提携とは何で、何のためにやるのか、それがどのような経済的価値に裏付けられているのかは意外と考えたことがなかった。そこには、
・既存事業のパフォーマンス向上
(1)規模の経済の活用
(2)競合からの学習
(3)リスク管理とコスト分担
・優れたパフォーマンスの確保に有利な競争環境の創出
(1)技術規格の成立を促進
(2)暗黙的共謀の促進
・業界や業界セグメントからの低コストの参入又は撤退の促進
(1)業界や業界セグメントからの低コストの撤退
(2)不確実性への対処
(3)新たな市場への低コストの参入
が経済価値を生み出すパターンとして取り上げられている(P.145)。
他方、これらよりも面白く現実では起こり得る事象として、提携相手が裏切る場合を取り扱っているのも面白い。
合併・買収では、範囲の経済がその経済価値の源泉だとされている。M&Aが行われる根拠として、
(1)生き残りへの欲望
(2)フリー・キャッシュフローの存在
(3)入札企業の経営陣と株主の間のエージェンシー問題
(4)経営陣の傲慢
(5)少なくとも一部の入札企業はM&A戦略の実行によって経済的利益を得る可能性があること
が挙げられている(P.232)。面白かった(うえに現実に生じ得る)のは、M&Aは利益を生まないものの、他の(設備)投資よりはマシと(選択肢の中では最良だが、絶対的な利益水準の確保という意味では疑問)いうことが往々にしてあることに言及している点であった。
Posted by ブクログ
中巻に当たる本書は、上巻での内部・外部環境分析を受け、事業戦略を扱う。具体的には、コスト・リーダーシップ戦略と製品差別化戦略を取り上げる。一方で、ここでも経済学を踏まえて、「戦略的柔軟性」と「共謀」といった類書には無い概念を導入している。
「戦略的柔軟性」は、戦略を選択したり、転換したり、そもそもそれらが自由にできることが経済的価値にどのような影響を与えるかを分析するために導入している概念である。他方、「共謀」は、カルテルが典型例だが、他社と(結果的に)歩調を同じくすることの意義を述べる。
もちろん、コスト・リーダーシップ戦略と製品差別化戦略の方も、VRIO的観点(稀少度など)や競争優位性などの概念から一貫した論理で分析しており、論理が一貫しているという意味で読みやすい。
Posted by ブクログ
バーニーの有名古典の上巻。この巻は、戦略を「ある企業が持つ、競争優位を獲得するためのセオリー」(P.16)と定義し、そこで競争優位を獲得するために、『「業界内における競争が今後どう展開していくのか」と「その展開をどう利用すれば利益につながるのか」』(同左)をテーマとして、SCP(Structure, Cost, Performance)モデルやVRIOフレームワークを導入しながら、それらを使って外部環境および内部環境を分析していく。
米国の教科書らしく、本当の初学者が0から学べるように説明がきっちりとしている。特に、経営学がミクロ経済学から敷衍していることを反映し、競争優位といい、経済的価値がより高いことを起点に、それが何故生まれるのかという観点から様々な概念を導出している点が、読みやすさを生んでいる。
Posted by ブクログ
【メモ】
・企業の戦略=競争に成功するためのセオリー
→業界の構造として重要な部分はどこで、競争優位を獲得するにはその業界構造をどのように活用すべきか
・競争優位=その企業の行動が経済価値を生成しており、かつ同様の行動を取っている競合企業がほとんど存在しない場合に成立する
・創発戦略=企業がある業界や市場で事業運営している最中に時間の経過ともに「現れ出る」戦略のこと
・企業のパフォーマンス=実際に創出された利益と期待された利益を比較することによって定義される
・SWOT分析
→脅威に着目したのがポーターの5つの競争要因
①新規参入の脅威②競合の脅威③代替品の脅威④供給者の脅威⑤購入者の脅威
・参入障壁=規模の経済、製品差別化、意図的抑止、政府による参入規制
・戦略グループ:同一業界内において、他の企業とは異なる、ある共通の脅威と機会に直面している企業群
・SCPモデルの限界
①企業利益と業界参入に関する前提
②非効率な企業戦略の役割
③限定された企業異質性の前提
・企業はそれぞれ違った経営資源とケイパビリティを持っており、その違いは長期間にわたって持続的に存在する
・VRIOフレームワーク
①経済価値
②希少性
③模倣困難性
④組織
Posted by ブクログ
上巻では外部環境分析及び内部環境分析について書かれており、この中巻ではその分析結果を活かした戦略について書かれている。上巻を読んだ後に読む本であることは言うまでもない。コストリーダーシップ戦略、差別化戦略という2つの戦略から始まる。コストリーダーシップ戦略、差別化戦略の両立の例や、各戦略を実現するための組織構造も学びが多く。戦略は組織に従うという考え方がベースにあるのかもしれない。その後にあるリアル・オプション戦略の考え方は企業経営のみならず人生の戦略への示唆も大きいのではないかと考える。オプションという英語を日本語にすると選択肢となる。また、金融のオプション理論から来ているため難解な数式も登場するがその考え方は非常にわかりやすく、数式の内容を深く理解することができなくてもその方程式が意味する通りに現在価値を高める方策を考えることができる。それを別の言葉で行ってしまえば、小さく始める、などのよく聞く言葉になる。オプションプレミアムとはオプションを手に入れるために購入する手数料だが、小さな失敗はオプションプレミアムであると考えて現在価値が高いオプションを戦略的に実行し、その中からは多数の失敗が生まれようともオプションの不確実性が解消された時点で特定の戦略に全振りすることで最終的に大きな利益を得ることができるというのは、幸せになるための生き方そのものではないだろうか。失敗は誰しもにとって恐ろしいものであるが、それはオプションプレミアムである。そう考えることで様々なオプション、つまり未来の選択肢を人生や経営の中に保有し、自らが望む未来の期待値を高めながら行きていく事ができるという意味で、個人の幸福にも同じような考え方が言えると思う。最終章の共謀ではいわゆるカルテルのような利益確保の動きの働きについて述べている。競争に勝つだけではなく、競争を緩和することで利益を得るという考え方は、競争社会で疲弊した現代人の生き方へも示唆があるのではないだろうか。特に、人の人生というものは、皆が幸せになることができる。本書では戦略毎に組織構造を示しているのが特徴的である。