ジョセフヒースの作品一覧
「ジョセフヒース」の「資本主義が嫌いな人のための経済学〔新版〕」「啓蒙思想2.0〔新版〕 政治・経済・生活を正気に戻すために」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
非常に示唆深かった。
啓蒙思想の限界を指摘した上で、集団と時間を使ったバージョンアップを意図した著書だと理解したが、私は特に前半を興味深く読んだ。
近年日本では左翼的・リベラル的な思想や運動の価値が問われていると感じている。じっさい、多くの左翼的な主張は非現実的な理想論であることがおおく、どちらかというと左翼に同情的なわたしもうんざりすることが正直多いと感じている。
本書は左翼の衰退について主に問題としているが、私にとって、本書は、「じゃあ保守・右翼ばかりの社会でいいのか」ということを考えさせてくれた本だ。あきらかにそうではないだろう。断続的に左翼的・理想主義的・共和的思想は大きな変革をもたらしてきており、それはトータルとしては評価されるべきものだろう。
・・・この本の内容については、しばしば立ち戻って考え直してみたい。
Posted by ブクログ
本書の中心的なテーマは、政治における右派(保守派)と左派(改革派)の根本的な非対称性
進歩的な社会変革は、複雑で達成しがたく、妥協、信頼、集団行動が求められ、膨大な量の「頭」を使わなければならない。それに対し、右派の運動は、直感的で感情に訴える方法で形成することができる。例えば、税金に関する政策に対して「皆さんが苦労して稼いだお金を政府は奪うんです!」といった直感的に誰もがイメージできる言説で大衆の賛同を得るような運動をイメージすればわかりやすいかもしれない。
本書は人間の脳がいかに合理的な思考を行うのが難しく時間がかかるか、従来の社会改革が人間の理性を過大評価してきたかを述べ、私たちの脳が得意なことと苦手なことを理解した上で、それでも人間は理性によって正気を取り戻すべきであるとし、理性を個人に求めるのではなく、人間の合理的な判断を促すような社会設計、制度設計が必要であると説く。
実際に政治家の発言やテレビのワイドショーなどは、インパクトのある扇動的な表現を繰り返し、多くの人の感情を揺さぶるように設計されているなと思った。本当は熟考型の議論こそが必要であるはずが、多くの人の心を動かし、政治的な票につなげるためには上記のようなやり方が最適解として実行され、SNSの浸透でその流れにさらに歯止めが効かなくなっているというのが昨今どこの先進国でも見られる現象であると感じた。
個人的には「学校とは、カリキュラムだけではなく、“社会環境”として機能している」という内容の箇所が印象に残った。著者は、学校は知識を得るための場所であると同時に、社会的な環境を提供する場所であり、 教室管理、読書課題、しめきり、テスト、成績評価は、集中力や計画性、目標達成に向けたセルフコントロールの不足を補うための外部足場であるとし、教室というリアルな場での対面の授業を評価している。オンラインによる授業スタイルが、コロナ禍を経て再び盛り上がりを見せているが、「授業を録画して配信することで、学校教育を届けることができる」というプロジェクトは、過去に完全に失敗しているとし、また独学者は、確証バイアスと陰謀論に陥りやすいということも述べている。これらは学校教育が子どもの理性的な思考の形成過程において必要な環境を提供する場であることの説明として説得力があると感じた。
Posted by ブクログ
結構な量の論述。
カウンターカルチャーの表面的な批判では決してなく、未来に対する理想を抱き、前向きかつプラグマティックに論を展開していく。
消費主義がカウンターカルチャーが生み出した側面である個性化や競争性を内包しつつ、現代まで大きく肥大してきたという隠された面にメスを入れるあたり頷かされた。
もちろん、カウンターカルチャーの文化左翼的活動がもたらした正の影響は否定し得ないし、自分が摂取してきた芸術を真っ向から否定する気はないが、この社会という枠組みの中でどのように個人性や自由を追求していくのか、その終わりのなさそうな永遠のテーマに、僅かながら思考する時間を作れて感謝感激雨嵐です。
Posted by ブクログ
自分は基本的にはルールを守る人間で、体制というシステムそのものに反抗を持つことはなかった。そんな自分でもこの本を読んでいるうちにうぎゃ~と痛いとこを突かれた気持ちになった。幼いころからジブリやガンダムやその他沢山の物語に触れてきたことによって、カウンターカルチャー賛美の価値観がいつの間にか自分に育っていたのだ。
この本はどちらかというと実際的なことに重心を置いて書かれているので(あたりまえだ)、作品そのものの価値にはあまり触れていないが、解説でそのあたりを拾ってくれているのでいつもは早川のSFを読んでいる人もある意味救われる・・・のかもしない
Posted by ブクログ
「反体制はカネになる」との副題は挑発的だが、本書のキモはそこ(だけ)ではない。カウンターカルチャー(左派)の目指す理想と実現のための手段が乖離していることで、理想が実現しないばかりか現実的な改善からも遠ざかっている点が繰り返し力説される。著者はその原因としてナチによる大衆動員のトラウマを指摘する。個人を解放し自主性を発揮させればあらゆる抑圧がなくなりユートピアが到来するというわけだが、確かに抽象的空論(例えば渋滞問題に対して信号や標識を撤去し運転者がアイコンタクトで道を譲ることが提案されるような)が行き過ぎたことで、現在のアメリカの分断を生んでしまったとも言えるだろう。その意味で本書の警告はすでに時期を逸してしまったのかもしれない。