作品一覧

  • ケアしケアされ、生きていく
    4.1
    1巻880円 (税込)
    他人に迷惑をかけていい!!★ケアは弱者のための特別な営みではない。社会の抑圧や呪縛から抜けだして、自分のありのままを大切にするような、お互いがケアしケアされるそんな社会を目指そう!★ 〈著者からひと言〉この本は、ケアから逃げてきた私が、ケアと出会い直すことによって見えてきた世界を、みなさんにも馴染みがある3つの視点から考えてきた本です。1つめは20歳の大学生の世界です。私は大学生を20年近く定点観測してきました。その上で、今の学生が「他人に迷惑をかけてはいけない憲法」に縛られて、生きづらさを抱えているように思えます。それは一体どういうことなのか、を考えてみました。2つめは6歳の子どもの世界です。私の娘は今、6歳なのですが、「迷惑をかけまくって」楽しく生きています。安心して迷惑をかけられる環境で、のびのび生きています。でも、ちゃんとしなさい、と叱り続けると、そのうち親や教師を忖度する大学生になるのではないか、と心配しています。なぜ、のびのびした子どもが、その十数年後には「他人に迷惑をかけてはいけない」と縮こまる大学生になるのか? その背景を考えるうえで、3つめの世界、「昭和98年的世界」を生きる48歳の私の世界を考えています。昭和が終わって30年以上経っても、日本社会の基本的なOSは昭和時代のままです。理不尽な労働環境でもがまんする、抑圧的環境に「どうせ」「しゃあない」と諦める。それが、女性の管理職や政治家比率が低く、イノベーションが生まれにくい「失われた30年」の背景にあると私は考えています。そして、この世界は「ケアレス」な世界です。この閉塞感をこえるためには、日本社会がケア中心の社会に変われるか、が問われています。能力主義や男性中心主義の呪縛の外にある世界です。それは、共に思い合う関係性が重視されるし、そのためには自分自身の「唯一無二性」とも出会い直す必要があります。そんなの無理だよ!と理性の悲観主義に陥らず、ではどうやったらケア中心世界は可能なのか、について、できる一つの可能性を模索したのが、本書です。中高生にも読んでもらえるよう、わかりやすい文体を目指しました。よかったら、読んでモヤモヤしてくださると、嬉しいです。 竹端寛■【目次】 第一章 ケア? 自分には関係ないよ!/一 「迷惑をかけるな憲法」/他人に迷惑をかけてはならない/都合のいい子!?/大人から学んだ「いい子」/二 しんどいと言えない/意見を表明する権利/他人の顔色をうかがう/苦しいことと苦しみ/三 自分自身を取り戻す/ゼミで涙を流す学生/ペラペラしない他者/ about-ness からwith-nessへ/四 面倒な中に豊かさがある/ケア不在を超えるために/自分の魂に迷惑をかける?/第二章 ケアって何だろう?/一 確かに面倒なのだけれど/めっちゃ可愛く、めっちゃややこしい/存在をぶつける/意見表明の主体としての子ども/一方的にケアされる存在ではない!/二 自分へのケアと他人へのケア/子どもの「開かれ」/自分の人生へのリミッター/忖度の危機/作られた悪循環/偽解決を超えるために/三 他者へのケアの前に/支援か支配か?/関係性のダンス/同調圧力に異を唱える/誰へのケア?/四 互いが気にかけあう/自分へのケア/共に思いやること/ with-ness で生活を回す/何を見ようとしてこなかったのか/第三章 ケアが奪われている世界/一 ケアのないわたし/ケアレスとはなにか/同調圧力と「空気を読む」/自己責任とわきまえ/ケアレスな社会/二 「昭和九八年」的世界/労働ファースト/最も眠れていない国/頑張れば報われる、の呪い/前時代の大成功、ゆえに/三 標準化・規格化の「大成功」の陰で/昭和の成功を支えたもの/銀行型教育システムへの囚われ/「正解」幻想/昭和的価値観の限界/四 ケアの自己責任化を超えて/「発達」の「障害」?/置き去りにしてきたケア世界/自分が学んだことはこれなのか!/「ちゃんと」のリミッターを外す/第四章 生産性至上主義の社会からケア中心の社会へ/一 生産性とケア/誰のための、何のための効率?/男性中心主義の外にある世界/能力主義の呪縛/「生産離脱者」の排除/二 責任の共有化で楽になる/依存先を増やす/関係性に基づくケア/懲罰ではなくエンパワーする責任/切り分けるのではなく、分かち合う責任/三 共に思い合う関係性/中核的感情欲求と向き合う/生き様の理解と支援/迷惑をかけるな、より大切なもの/他者の他者性に気づくこと/四 ケア中心の社会へ/己の唯一無二性とも出会い直す/魂の脱植民地化/葛藤を共に味わい社会化する/できる一つの方法論
  • 福祉は誰のため?
    3.7
    1巻935円 (税込)
    支援が必要な人は「困った人」じゃない。元気な人も誰かの助けが必要になることもある。私やあなたを追い詰める自己責任論を超えてケアし合える社会を目指そう! 【目次】第一章 あなたの一段は他人の十段?/第二章 なぜ人は追い込まれていくの?/第三章 家族が支えるのが当たり前?/第四章 ともにケアし合う社会とは?
  • 能力主義をケアでほぐす
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    竹端さんは正直な人である。 正直さは研究者にとって必須の知的資質である。 本書を読むと、正直さが知的離陸を可能にすることがわかる。 ──帯文・内田樹 ケアから考える家族、学校、社会、制度、そして資本主義。 長らく成果主義と自己責任論の呪縛に苦しんできた著者が、自らの子育て体験を経てケアに目覚めた。その過程で読んできた本、出会ってきた人々とのエピソードで語る、ケア中心社会への見取り図となる思索エッセイ。 能力は個人に備わったものではなく、他者との関係性のなかで立ち上がるもの。能力主義の軋轢に対しては、ケアの精神でときほぐす! “僕自身が「仕事中毒」だったときには、生産性至上主義の塊で、業績を出すことに強迫観念的に縛られていた。そのことに自覚的になったのも、家事育児に明け暮れた一日が終わって、「今日は何も出来ていない!」とため息をついている自分に気づいた時期からでした。そこから、自分を解放するためにも、少しずつ「能力主義批判」がはじまったのでした。”(「はじめに」より) 【目次】 第1章 能力主義のなにが問題なのか? 学力偏重は「やめたくてもやめられない」アディクション 能力主義をいかに相対化するか あなたはそのままで生きていい 信頼関係の基本はただ話を聞くこと 第2章 ケアについて考える 「弱さ」を基軸とした強いつながり 「交換」から「使用」への価値転換 ケアの世界は「巻き込まれてなんぼ」 「無力さ」でつながり直す面白さ 「決められた道」の外にある想像・創造力 第3章 家族がチームであること 第一優先は家族、第二優先が仕事 お父さん「も」支える言葉 家族丸抱えと社会的ネグレクト 子どもを中心にする視点 ケアを軸にした社会をどう生み出すか 「まっすぐなキュウリ」こそいびつなのだ 第4章 学校・制度・資本主義 資本主義経済の裏で隠されているもの 「平均の論理」は「社会的排除の論理」 「学力工場」と偏差値序列 チームがあれば孤独は乗り越えられる 隷従しない勇気と決意 シンバル猿にならないために ゆたかなチームで生きていく

ユーザーレビュー

  • ケアしケアされ、生きていく

    Posted by ブクログ

    前半は他の竹端さんの本でも書いてあるような内容だったが、後半よかったなー。
    迷惑かけてはいけない憲法。めっちゃ現場にいます。先生たち真面目すぎん?と思う場面めちゃくちゃあります。誰のためにというか、文句言われないためにやってる仕事多い。
    迷惑かけていいから。とよく思う。謝らなくていいですよ。とよく思う。
    そのために夜8時以降も残って仕事して、身体壊して、疲れて、自分の元気や余裕が子どもたちの元気と余裕につながることを共有したい。
    時間がないじゃなくて、箇条書きとかの短い記録でいい。言葉でいい。楽していい。

    子どもたちと「今、ここの満足」を共有できる関係でいたい。
    昨日の比較で何かができるよう

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    2025年11月09日
  • 能力主義をケアでほぐす

    Posted by ブクログ

    著者が能力主義とケアに関連した本を読んだ感想が書かれていた。
    ケアを仕事にしていることもあり、「能力主義」と「ケア」は常に頭にあるキーワードで、見かけてから気になっていた本。

    最も印象に残ったのは精神科医の話。投薬治療をしても治らない患者さんに対して、治し方が分からない、だから治療を続けるしかなかったという告白。
    しかし専門職を交えてチームを組み、チームで治療にあたることで治療の道が開けていったと書かれていた。

    様々なケアについて書かれていたので、もう一度頭を整理しながら読んでみたい。
    著者が読んだ本も読んでみたいと思った。

    0
    2025年11月06日
  • 福祉は誰のため?

    Posted by ブクログ

    著者の「ケアしケアされ生きていく」「能力主義をケアでほぐす」と読んできたが、本書はそれをさらにバージョンアップした書であった。署名の福祉という文字に惑わされるが、最終章にその意味が分かるが、つまりは誰もが生きやすい社会、それはトロントに通じる、ともにケアする社会ということだが。コロナによりケアについて関心が高まったが、コロナ後は予想通り何もなかったように社会は動いているが、激動の社会は何も変わってないわけではなく、だれもがこのままではいけないとうごめいている社会と思う。そうした今後の社会を見据えるうえでの羅針盤ともなる書と思う。ケアの定義で小林氏の「ままならぬものに巻き込まれること」ということ

    0
    2025年10月03日
  • ケアしケアされ、生きていく

    Posted by ブクログ

     子育てや介護は、する側がされる側に一方的にケアするものとして論じられやすい。でも実は、自身もまた、子どもや老いた親にケアされている側でもあるのだ。自らに子や老親が与えてくれているものに気がつくとき、ケアが双方向性を持つ行為であることがみえてくる。それを感じないまま一方的に自分が相手を支援していると思い込みつつケアをしていると、支援ではなく支配となっていく。労働を何よりも尊び生産性を至上のものとする昭和的価値観は、たしかに昭和においては焼け跡からの復興のために有効だった。ただし女性や障害者や性的マイノリティーなど多くの人々に犠牲を強い、社会から追いやるという結果も伴った。日本はとっくに衰退して

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    2025年08月24日
  • 能力主義をケアでほぐす

    Posted by ブクログ

    能力主義、生産性向上主義を追い求めた筆者が子育てというアンコントロール下で気付く不自由な社会。

    常々モヤモヤしていたことがある。
    日本はなぜ幸福度がこんなにも低いのか。
    自分自身のことを考えても、
    不幸ではない。
    しかし、幸福だと断言することもできない。

    それが何なのか。
    自由とは何か。
    知らず知らずのうちに、私たちは、不自由な人間を量産している。
    そりゃ、幸福度低いわ!

    0
    2025年07月10日

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