能力主義をケアでほぐす

能力主義をケアでほぐす

1,870円 (税込)

9pt

竹端さんは正直な人である。
正直さは研究者にとって必須の知的資質である。
本書を読むと、正直さが知的離陸を可能にすることがわかる。
──帯文・内田樹

ケアから考える家族、学校、社会、制度、そして資本主義。
長らく成果主義と自己責任論の呪縛に苦しんできた著者が、自らの子育て体験を経てケアに目覚めた。その過程で読んできた本、出会ってきた人々とのエピソードで語る、ケア中心社会への見取り図となる思索エッセイ。
能力は個人に備わったものではなく、他者との関係性のなかで立ち上がるもの。能力主義の軋轢に対しては、ケアの精神でときほぐす!

“僕自身が「仕事中毒」だったときには、生産性至上主義の塊で、業績を出すことに強迫観念的に縛られていた。そのことに自覚的になったのも、家事育児に明け暮れた一日が終わって、「今日は何も出来ていない!」とため息をついている自分に気づいた時期からでした。そこから、自分を解放するためにも、少しずつ「能力主義批判」がはじまったのでした。”(「はじめに」より)

【目次】
第1章 能力主義のなにが問題なのか?
学力偏重は「やめたくてもやめられない」アディクション
能力主義をいかに相対化するか
あなたはそのままで生きていい
信頼関係の基本はただ話を聞くこと

第2章 ケアについて考える
「弱さ」を基軸とした強いつながり
「交換」から「使用」への価値転換
ケアの世界は「巻き込まれてなんぼ」
「無力さ」でつながり直す面白さ
「決められた道」の外にある想像・創造力

第3章 家族がチームであること
第一優先は家族、第二優先が仕事
お父さん「も」支える言葉
家族丸抱えと社会的ネグレクト
子どもを中心にする視点
ケアを軸にした社会をどう生み出すか
「まっすぐなキュウリ」こそいびつなのだ

第4章 学校・制度・資本主義
資本主義経済の裏で隠されているもの
「平均の論理」は「社会的排除の論理」
「学力工場」と偏差値序列
チームがあれば孤独は乗り越えられる
隷従しない勇気と決意
シンバル猿にならないために
ゆたかなチームで生きていく

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能力主義をケアでほぐす のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    著者が能力主義とケアに関連した本を読んだ感想が書かれていた。
    ケアを仕事にしていることもあり、「能力主義」と「ケア」は常に頭にあるキーワードで、見かけてから気になっていた本。

    最も印象に残ったのは精神科医の話。投薬治療をしても治らない患者さんに対して、治し方が分からない、だから治療を続けるしかなか

    0
    2025年11月06日

    Posted by ブクログ

    能力主義、生産性向上主義を追い求めた筆者が子育てというアンコントロール下で気付く不自由な社会。

    常々モヤモヤしていたことがある。
    日本はなぜ幸福度がこんなにも低いのか。
    自分自身のことを考えても、
    不幸ではない。
    しかし、幸福だと断言することもできない。

    それが何なのか。
    自由とは何か。
    知らず

    0
    2025年07月10日

    Posted by ブクログ

    著者は精神障害は福祉の研究者でありながら成果主義のもと、学歴偏重、家父長制に基づいた能力主義から脱却できなかった状況を子供が生まれたことを契機にケアの世界に目覚めた様子を、書評という形で綴られた書である。著者の考えることと共通するのか私も同じ所を読み、同じ感想を持っていたので、著者の考えに共感した。

    0
    2025年03月13日

    Posted by ブクログ

     勅使川原さんは、コンサル会社で能力開発業務に従事した後、今は独立して組織開発の仕事に従事し、2人の子どもを育てている。ただ、2020年に授乳中の違和感から乳がんが発覚し、あちこちに転移している。そんな闘病中の彼女は、子どもたちにメッセージを残したいと、あえて「自分が死んだ後」の2037年に、成人し

    0
    2025年10月04日

    Posted by ブクログ

    能力主義について、さまざまな角度から考察することができる良書。
    著者自身が試行錯誤されてきた軌跡がよくわかり、共感することも多かった。
    特に現代日本の教育システムに対する考察にはとても考えさせられた。
    周囲に忖度し、自発的に奴隷になっていないか、自分に問うてみよと思った。

    0
    2025年09月30日

    Posted by ブクログ

    この本を読んで、「能力主義からの距離の取り方」と「ケアの本質」、そして「自分の意思を取り戻すための内面的な闘い」に強い共感を覚えた。

    日本で「普通の人」として生きることがいかにレベルの高いことを要求されるか、自らもそれを無意識のうちに目指しながら、うまくはまらないことに苦しんできたか、その呪いを今

    0
    2025年08月14日

    Posted by ブクログ

    かなりよい本だった。
    社会福祉学の大学教授が、子どもをもって世話に追われて1日何もできなかったと落胆する。これってめちゃくちゃ能力主義じゃんという自覚から始まっているから信頼できる。

    0
    2025年05月16日

    Posted by ブクログ

    ここに挙げられた本を読んでみたい。ただ著者が実体験も交えながらわかりやすく解説してくださっているので「読みたい」と思えるのであって、実際読むと手に負えない本もたくさんあるのかも。
    体験や自分の思いを包み隠さず書いてくださってるようで、とても信頼できる感じがした(内田先生が帯文で「正直な人」と書いてお

    0
    2025年05月03日

    Posted by ブクログ

    知人とやっているクローズドの読書会でみんなで読んだもの。竹端さんのブログが元になっており、能力主義やケア、その周辺の話題をテーマごとに編集し直して適宜加筆修正されています。竹端さんと同じように子育ての経験や家族との関わりから能力主義の歪みについて感じるところのある方もいれば、わかってはいるけれどその

    0
    2025年10月24日

    Posted by ブクログ

    従来の伝統的な社会では、たとえば、長男が社長を継ぐことに多くの場合、異論は挟めなかった。
    ただ、時代が進んで、そんな伝統よりも能力主義が重視されるようになってきた。が、そもそも能力って何か?学歴・資格・成績・・・
    あやふやなままな価値観で判断が生きづらさにつながっている感じがする

    0
    2025年08月12日

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