これまで(性差別という点で)炎上してきたCMを、成功例であるCMと対比しながら分類分析する本。ただCMに語らせながらも、そういうCMを生み出してきた日本のジェンダー事情をとてもわかりやすく説明してくれて面白かった。
特に筆者が出発点としているモットー?として、男女平等であることのみならず、個人それ
...続きを読むぞれが性別から自由であることが重要であるという基本が繰り返し述べられていて、これに基づいて考えれば、自分の発言や考えのどこに歪みがあるのか分かり易いなあと思った。
ちなみにこれまで読んできたジェンダー関連の本は女性が作者であることが多く、世の中には「また女がギャーギャー言っている」という層も少なからずいたのではないかと思う。これは、自分が男女差別について考えを述べるときにも、相手の男性や年配の女性からの反応でよくあること。その点、筆者は男性として自分が履いてきた下駄の高さを認識した上で、その世界における女性の住みづらさを代弁してくれている。悲しいかな、この筆者の言うことなら男性も耳が痛いわと感じて聞いてくれそうだと期待してしまった。
またCM論とは関係ないが、終章で筆者が述べてくれる、女性が出発点から課せられる圧力(地方の女子学生は、地元に通え。浪人するなという圧力が未だにある等々)については、かつて女子学生であった自分と、娘たちの将来をそこに重ね合わせて読んだ。ぜひこの部分だけでも、次世代の教育に関わる人全員に読んでほしいと思った。