ユーザーレビュー ぼくはなにいろ 黒田小暑 交通事故で大きな傷を負って以来、人目を避け孤独に生きてきた祥司は、行きつけの居酒屋で1人の女性・千尋と出会う。 彼女もまた人に言えないトラウマを抱えていたが、祥司といれば普通で心穏やかにいられた。 だが何かを隠しているかのような祥司に気づいて…。 祥司の職場での苦しい様子や千尋と離れて福岡で父と暮...続きを読むらす妹の絵美の様子が交互に描かれている。 どの場面もけっして幸せに見えなかったのだが、次第に心のうちを曝け出すことでお互いの距離が縮まっていくのがわかった。 生きるのは難しい…だけど一生懸命に生きてる。 わかりあい寄り添える人が必ず近くにいるということで、人はこんなにも勇気を貰えるんだと思った。 Posted by ブクログ ぼくはなにいろ 黒田小暑 YA文学として、「自分が好きになれずに孤独を選ぶも、やはり誰かに愛されたいし、その気持ちを捨てきれない」という設定は珍しいものではありません。 物語の展開も、決して奇をてらったものではなく、結末もある程度予想することができます。 それでも、胸に響くものがある素敵な作品でした。 どうしても人間は外...続きを読む見や第一印象といった表面的な要素で他人を評価しがちです。そして他人からの評価によって、自分の価値を低く見積もって自己肯定感を失うことも少なくありません。誰からも愛される「すごい自分」になろうとしたり、本当の自分らしさを探そうとしても袋小路に迷い込んでしまうだけ。自分が「いま持っているもの」を大切に育てていくことが、必ずしも完全無欠のハッピーエンドとはいかずとも、「幸せに生きる」ための唯一の手段なのかもしれません。 Posted by ブクログ ぼくはなにいろ 黒田小暑 「ぼくはなにいろ」 ひらがなのタイトルに、綺麗な紫色の可憐な花が描かれた表紙。 ほっこり、温かい涙を誘うような物語を想像していました。 でも、それは全くの思い込みであって、タイトルの意味が分かった時にはもう心が痛くて仕方がなかった。 物語は章ごとに語り手が変わってゆくのだけれど、表紙の彼の語る言葉は...続きを読む、読んでいてとても苦しくてなかなか読み進めることができなかった。なので、語り手が変わるととても気が楽になる。 でも、登場人物の共通点は、自分の入れ物…外側、外見を受け入れられない若者たち。外側だけで判断され、苦しみ、違和感を持つ若者たち。 本当の自分とは、もちろん中身のはず。 美しくとも醜くとも中身が本当の自分。 その中身を受け入れてくれる相手に巡り会えた時が、一番の幸せなんだろうな。 Posted by ブクログ ぼくはなにいろ 黒田小暑 フォロワーさんの評価が高かったので購入。 これは素敵な本だった(*^▽^*) こういう文章、とても好きだなぁと感じられる本。 交通事故で大怪我をし、自分の入れ物を化け物だと感じている祥司。 ある日、外で夕飯を食べている時に、千尋と出会う。 人間を作る外観と中身。 美人だったりイケメンだったり。...続きを読む それは基本的には殆ど変わらない。 反対に中身の方は自分で作っていくものだ。 人生の岐路で選択するのは自分次第。 その選択によって中身はどんどん変化していく。 だから本当は中身の方が重要なはず。 でも他人には自分の外身しか見えない。これって神様の設計ミスって気がしませんか? 的な話をする千尋。 うんうん、本当にそう。 小説もそう。 矢鱈と容姿の綺麗な人間が登場するが、それはあくまでも外見なんだよね。。。 自分だって、大きく外見に左右させられていると思う。 でもこの本は本当に素敵だったな。 大きく2編の物語が交互に綴られているのだが、どちらもとても清々しく、ちょっとうるうるきてしまう。。。 主要登場人物、みんないい人で、小野寺さんの、まちとか、ひととかみたいに、本当に素敵な人で、心洗われるような物語だった。 あらすじは忘れてしまうかもしれないが、この物語がとても良かったというのは覚えていられそう(*^▽^*) Posted by ブクログ ぼくはなにいろ 黒田小暑 交通事故で自分の本体が壊れていると感じる祥司。 居酒屋で隣に座った千尋もまた、心の傷を負っていた。 自分の外見ではなく内面を見て欲しい、こんな自分を受け入れて欲しいと切に願う二人のお話。 内向的で穏やかで暗い雰囲気の祥司と、明るく気さくな千尋は、互いの交流を通してその距離を少しずつ縮めていく。 た...続きを読むだ、祥司の理性は鉄壁なバリヤード。 千尋の太陽な暖かさに身を委ねてしまえばともやもやするものの、 長い年月を通して築き上げた傷つかないための防御壁は強固だった… 自分のダメなところ、弱いところ、未熟なところも含めて、 そのままで良いと、好きだと言ってくれる人に出会い、 その先の未来を一緒に歩めるって、本当に素敵なことだなと思わせてくれた本だった。 Posted by ブクログ 黒田小暑のレビューをもっと見る