作品一覧

  • 武漢病毒襲来
    4.3
    1巻1,900円 (税込)
    妻子の待つ武漢へ、新型肺炎が蔓延し封鎖された中国をゆく男の決死行。 中国からの亡命を余儀なくされた作家が放つ渾身のコロナ文学。 本書は2通りの読み方ができます。まず、新型コロナ発生源となった中国で何が起きていたかを描くものとして―― 反骨の亡命文学者が、コロナ禍下の民衆の悲劇と、それを隠蔽する国家の罪を暴く告発の書として。そしてまた、 いち早くコロナ禍に正面から挑んだ現代小説として――封鎖された大地を旅する艾丁を通じて、現在の「中国」が、 スリリングに、ときに大らかに描かれてゆきます。病毒の街・武漢で、艾丁を待ちうける運命とは……。
  • 銃弾とアヘン :「六四天安門」生と死の記憶
    4.5
    1巻3,564円 (税込)
    1989年の天安門事件は、現在の中国の「姿」を決定づけ、世界史に刻まれた大事件だったにもかかわらず、殺害された人びとの名前や人数のほか、北京のどこで、どのようにして「鎮圧」が行われたのか、なぜこのような悲劇に至ったのかなど、その詳細は未だ明らかになっていない。 本書は、「六四天安門」にかかわって懲役刑を受けた一般市民へのインタビューを中心に、著者自身のエッセイも加えた証言文集である。現場にいた者にしかわからない、細部にわたる生々しい目撃証言が次々に飛び出すばかりではなく、取材対象者たちがその後の人生において経験した差別や官権の横暴、刑務所内部の実態、また人権がないがしろにされる社会の恐ろしさなどが白日の下にさらされる。 事件直後はもちろん習近平体制下の今に至るまで、中国社会においてこうした取材や聞き書きをする(またはそれに応じる)こと自体きわめて危険な行為であり、実際、著者はその過程で中国脱出を余儀なくされている。聞くのも、話すのも、書くのも、まさに命懸けの、門外不出のドキュメント! 序文=イアン・ジョンソン(ジャーナリスト)

ユーザーレビュー

  • 武漢病毒襲来

    Posted by ブクログ

    昔、友人の一人が佐藤優『国家の罠』を貸してくれたことがある。彼は本を手渡す際にこう言った。

    「これはあくまでも"フィクション"だからね。」

    その言葉通り、あくまで虚構=小説として読んだが、とても面白く夢中になって読んでしまった。
    書籍が面白くなるかどうかは、著者がどう構成するかによって決まるのであって、真実か否かなど些細な問題にすぎない。
    自然主義文学の大家エミール・ゾラは、「ありのままに描こうとしても必ずそこには自己のフィルターが介在する。」と語っている。つまり完璧な真実など存在しない。本を心から楽しむのであれば、真実を求めるメガネを外して読まなければならないと思う。

    0
    2025年09月02日
  • 銃弾とアヘン :「六四天安門」生と死の記憶

    Posted by ブクログ

    天安門事件で、中国公安当局に捕まった人たちを訪ね歩き、当時の状況、その後の有為転変を聞き取ったものをまとめている。もう30年も経過してしまったのかと思うと、未だに民主派追求の手を緩めない中国のしつこさは、万国の公安当局共通のことと改めて認識する。敢えて他国のことに手を突っ込み、劉暁波の救出を試みたメルケルをはじめとするドイツの政治家たちの、自らの思想に忠実な矜持には驚く。

    0
    2019年11月13日
  • 武漢病毒襲来

    Posted by ブクログ

    どこまでがリアルで、どこまでが虚構なのか。実在する人物、事件を散りばめながら、その境界線を曖昧にし、臨場感を煽る。しかし、読み手はスッキリとノンフィクションとして受け止められないため、何を信じれば良いか、後味の悪い読後感を引きずる。人は、信じたいものを信じる。作者の思想を混ぜながら、あくまで小説という形で描き切る。

    一方では、そうとしか扱えない話だという事。あとがきで訳者も書いている。コロナ禍の武漢におけるロックダウンや病床のリアル。警察とのやり取り。失踪する人たち。蝙蝠を食用にする事で感染症が広がったのか、研究用途が漏洩したのか、そもそも武漢発祥では無いとシラを切り続けるのか。

    思い出す

    0
    2022年11月15日
  • 武漢病毒襲来

    Posted by ブクログ

    小説としては正直読みづらいと感じる。今のある程度コロナウイルスが制御されてきたような時期から見るとここで書かれる武漢の状況そのものがデマのように感じてしまいそうになるけど、ここに書かれていることはそれなりの真実を写しているのだろう。そしてコロナウイルスの有無に関わらず中国共産党の抑圧的な社会で生きるということのむずかしさ、そしてそのような世界は現実に今も数多くの人が生きているという現実に目が眩む。それを難しいと感じないように見猿聞か猿言わ猿的に生きていく人はおそらく多し、それはそれほど難しくなくできてしまうのだろうけど、そんな社会を垣間見ることができる。

    0
    2021年10月24日
  • 銃弾とアヘン :「六四天安門」生と死の記憶

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    銃弾とアヘン
    ~「六四天安門」生と死の記憶

    著者:廖亦武(リャオ・イーウー)
    発行:2019年7月10日
       白水社

    天安門事件というと、わたしなんかは周恩来への弔いがらみで起きた1976年(高校生の頃)を思い浮かべるけど、今では戦車が出てきた1989年の方が一般的らしい。前者を四五天安門事件、後者を六四天安門事件と呼ぶというのは、今回、初めて知った。この本は六四に絡んで逮捕されて刑務所に入れられた人たちへのインタビューで構成されている。

    著者は詩人、民間芸人、亡命作家。自らも、詩の朗読と映像詩の撮影で逮捕され、4年収監されていたが、凄絶な拷問を受け、2度自殺を図った。それでも4年で出

    0
    2021年03月29日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!