著者は、大学に籍を置く「専門」研究者ではないが、マクルーハンの遺著『メディアの法則』の訳者。
活字によって全面的に展開した視覚的=論理的=分析的な近代知に対して、触覚聴覚的=発見的=連結的なマクルーハンの方法知を対置する。
マクルーハンが多方面に影響を与え熱狂的に受け入れられた一方で、専門家に評
...続きを読む判が悪かったことから始まり、
文学研究からスタートしたキャリアや、ドラッカーなどとのメディア論発表前夜の個人的な知的交流エピソード、
そして、彼が描いたメディア論の歴史まで、
視覚的知と触覚聴覚的知との「知の抗争」という枠組みによって描き出している。
マクルーハン解釈として妥当かどうかは門外漢なのでわからないが、「知の抗争」という軸からマクルーハンを描き切っているので、入門書としてはオススメできるのではないかと思う。