E・H・カーの作品一覧

「E・H・カー」の「歴史とは何か」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 歴史とは何か
    3.8
    1巻1,056円 (税込)
    歴史とは現在と過去との対話である。現在に生きる私たちは、過去を主体的にとらえることなしに未来への展望をたてることはできない。複雑な諸要素がからみ合って動いていく現代では、過去を見る新しい眼が切実に求められている。歴史的事実とは、法則とは、個人の役割は、など、歴史における主要な問題について明快に論じる。

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ユーザーレビュー

  • 歴史とは何か

    Posted by ブクログ

    1962年に第1刷が発行された本です。
    私が手にしたのは2022年6月発行の第93刷でした。
    過去の事実を集めただけでは歴史にならないこと。
    「歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、過去と現在の間の尽きることを知らぬ対話であります。」という第1章の最後の言葉が一番よくこの本を表していると思いました。
    また、歴史の研究方法は、実験ができないという違いはありますが、私が思っていたよりもずっと自然科学の研究方法に近いことを知りました。

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    2024年07月09日
  • 歴史とは何か

    Posted by ブクログ

    現代史の扱いは難しい。何故なら出来事に利害や未練を有する人たちがまだいるからである。
    歴史を決定論として捉える説、偶然の連鎖として捉える説がある。いずれにせよ歴史家康とは因果経過を選択し価値観に基づき体系化する。
    過去に対する建設的意見を持たぬ者は、神秘主義かニヒリズムに陥いる。
    進歩史観は幻想である。唯一の絶対者は変化である。優れた歴史家は狭い視野を乗り越え、未来から過去を深く洞察する。
    歴史家は勝利を占めた諸力を前面に押し出し、これに敗れた諸力を背後に押し退けることによって、現存の秩序に不可避性という外観を与えるものである。

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    2023年12月18日
  • 歴史とは何か

    Posted by ブクログ

    20世紀のイギリスを代表する歴史家の1人であるE・H・カー氏が1961年の1月~3月にかけてケンブリッジ大学で行った連続講義「歴史とはなにか」が書籍になったものです。本書を読んだ私の理解は、一貫して「相対性」「相互性」が強調されていることかなと思いました。例えば過去と現在、未来の相対性。個人と社会の相互性などです。また歴史を語る歴史家自身も、少なからず自分の生活している環境に影響を受けているので、純粋に客観的な存在としての歴史家など存在していない、と断言しています。絶対的な存在としての歴史家はいない。「まず歴史家を研究せよ」というのは非常に重要なメッセージだと思います。彼はどんな時代のどんな国

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    2023年04月28日
  • 歴史とは何か

    Posted by ブクログ

    歴史は、過去の経験を糧にしながら未来をよりよく照らすための学問である、とぼんやり思っていた私の考えを大きく変えてくれた。
    歴史は単に事実の集積ではない。歴史における解釈はいつでも価値判断と結びついている。過去とは、現在の光に照らして初めて私たちに理解ができる。歴史は直線的ではなく、逸脱や後退、明瞭な逆転を伴い、後退の後に行われる前進も同じ点から、同じ方向で始められることは考えられない。
    これらの考察は50年も前に披歴されたものであるが、現在の世相を鑑みても、全く色あせていない。

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    2021年01月02日
  • 歴史とは何か

    Posted by ブクログ

    初めて手に取ったのは、大学生時代(1990年代)での最初の概論でのテキストにて、
    確か、1961年のカー氏の、ケンブリッジ大学での講演録を基調にしていて、

    日本での初版が1962年ですから、訳語としての言い回しはやや古めで、
    正直とっつきにくい部分もありますが、内容としてはよくまとまっているかと。

     - 歴史家の機能は、(中略)現在を理解する鍵として過去を征服し理解すること

    その上で、、

     - 歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、
      現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話

    との点は、私にとって非常に肚落ちのする内容で、今でも(2020年代)、
    各種の物事に対し

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    2024年05月18日

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