作品一覧

  • 11月に去りし者

    11月に去りし者

    小説・文芸

    4.1
    1巻1,202円 (税込)
    1963年、世紀の暗殺事件の秘密に近づきすぎた悪党(ギャング)がいた―― ハメット賞受賞作。 1963年11月、ニューオーリンズ。暗黒街で生きる男ギドリーは、ケネディ大統領暗殺の報に嫌な予感を覚える。数日前に依頼された仕事はこの暗殺絡みに違いない。ならば次に死ぬのは自分だ、と。仇敵を頼って西へ向かう道中、夫から逃れてきた訳ありの母娘と出会ったギドリーは家族連れを装いともに旅するようになる。だが組織が放った殺し屋はすぐそこに迫っていた――MWA賞受賞作家の話題作。
  • 7月のダークライド

    7月のダークライド

    小説・文芸

    3.6
    1巻1,229円 (税込)
    23歳の夏――この罪を見過ごすことはできなかった。 MWA賞受賞作家が放つ瑞々しい青春ノワール。 「ルー・バーニーの最高傑作」S・A・コスビー 「最後のページまで心を掴んで離さない」ドン・ウィンズロウ 遊園地で働く青年ハードリーはある日、煙草の火傷痕の残る幼い姉弟を見かける。 行きがかり上、虐待を通報するも当局に相手にされなかった彼は、証拠を掴むため素人探偵まがいの調査を開始する。 見えてきたのは裕福なのに荒れ果てた家と、弁護士の父親の背後にちらつく麻薬組織の影。 23年間、面倒を避け気ままに生きてきたハードリーは、幼い命を救うため人生で初めて壮大な賭けを仕掛けるが……。 解説:吉野 仁 ■著者既刊 『11月に去りし者』

ユーザーレビュー

  • 7月のダークライド

    Posted by ブクログ

    23歳の夏——この罪を見過ごすことはできなかった。MWA賞受賞作家が放つ瑞々しい青春ノワール

    ✎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    23歳のハーディ。大学を中退し 寂れた遊園地のお化け屋敷(ダークライド)で働き 給料は奨学金の返済でカツカツ。出来の良い兄にハードリー(めったに~ない)とあだ名をつけられるほど、頭を使わず 頑張らずにその日を気ままに生きている。

    面倒なことは先延ばしにするハードリー。その日も駐禁の違反切符を延長する為に市役所を訪れていた。
    そこで出会った幼い姉弟。
    その身体に煙草の火傷痕を見つける。

    どう行動するか逡巡するも、そのうちに母親が姉弟の手を引き 車で去ってしまう。

    児童保護サービスに相談したが、そこはお役所仕事。その後 なんの音沙汰もなし。

    ハードリーは部屋に貼られたポスターを眺める。
    『イカロスの墜落のある風景』
    海から出たイカロスの足に気づいている人は誰もいない。羊飼いも、農夫も、漁師も、誰も助けようとはしない。イカロスに一番近くにいるのは漁師だ。あとは「顔を上げて海に飛び込むだけ」

    「姉弟の虐待に気づいているのは、僕だけだったら?」

    幼い命を救うために、ハードリーは行動を起こす

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    「正義」「勇気」そして「若さ」について考えさせられます。

    役所の窓口で働く「ゴス娘」ことエレノア(可愛いっ!)
    お化け屋敷のアルバイト仲間で 少し知的障害のあるサルヴァドール(愛おしい!)
    血の繋がらない兄のプレストン(深い愛!)
    そして元私立探偵の大人な女性フェリス(知的でエロ!)

    様々な人の力を借りながら、兄妹を救う方法を探るハードリーは、素人探偵のような調査をし、やがて兄妹の父親に弁護士の裏の顔がある事に気づきます。

    しかし、そこは素人!かなり危険な目にもあい…。
    自分の命も失いそうに!!

    そんな時 ハードリーは幼い頃に亡くなった母の言葉を思い出します。
    「でも、大丈夫だった!」

    いやいやいやいや
    確かにお母さんはあなたが挫けそうな時に何度も言ったよ。「でも、大丈夫だった!」
    でもそれは、自転車で転びそうになった時、虫を追いかけて迷子になりそうになった時よ!
    けして悪い男から銃口を向けられた時じゃないの!!!

    もうみんな天国で見守る母親の気持ちで読んで欲しい!
    ハードリーの無鉄砲さにハラハラドキドキ。後半はずっとずっと!

    痛い目にあって いつものようにイケナイお薬に逃げたり、フェリスとイケナイ時間を過ごしたり…。

    でもハードリーは諦めないのです。

    何故?! 何がハードリーを突き動かすの。

    ハードリーは無事、兄妹を救うことができるのでしょうか-。


    これ、再読なのです。
    で、二度目の今回も ラストシーンに放心するのです。

    七月ギリギリにレビューできてよかった!







    0
    2026年08月01日
  • 11月に去りし者

    Posted by ブクログ

    クライムノベルでありロードノベル

    裏社会の幹部がボスに命を狙われる
    逃げる
    殺し屋が追う
    新しい生活を目指して夫から逃げる子連れの女性と出会う
    追手をまくためにこの女性を利用しようと考える

    というなんだかどこかで聞いたようなストーリー
    だがちょっと違う
    それは逃げる男に訪れる好ましい変化ゆえか

    安心感の中にこそ驚きがある
    好きなやーつ

    そしてなんだか悲しいような嬉しいような終わり方も良かった

    0
    2024年06月20日
  • 7月のダークライド

    Posted by ブクログ

     久々のルー・バーニーという作家の名前だけで、冒険小説好きの好奇心が全面反応してしまう。ちなみに若かりし頃、冒険小説のフォーラムを主宰していたとは言え、ぼくは軍事オタクでもスパイオタクでもない。冒険小説とは日常生活の中から逸脱してあるアクションをやむを得ず選択してゆく勇気や意志を描くもの。ぼくはそう理解している。題材ではない。あくまでそこに介在する人間とその魂を描くフィクションのことを冒険小説と呼ぶのだ。

     さてルー・バーニーだ。何年ぶり? 何と5年ぶり。しかも第三長編。何とも寡作である。でも書けばただじゃおかないとばかりに骨のある作品を提供し、ミステリー界をどよめかせる作家である。その理由は何だろう? 騒がれたのは『11月に去りし者』だけだから、データは少なすぎる。しかし『ガット・ショット・ストレート』と併せて過去二作品を見る限り、何と言っても登場人物の人間の魅力、そしてその心の魅力であり、それらを束ねたクライム小説としての語り口だろう。

     出版社も自信があるのだろう、昨年のベストをかっさらったS・A・コスビー「ルー・バー二ーの最高傑作」、巨匠ドン・ウィンズロウ「心を摑んで離さない」と、わくわくするような言葉が並ぶ。これではずるいではないか、と思いながら期待感たっぷりで読み始めた本書。それは危険な導火線に火をつけたようなものだった。

     何と本書の主人公は、ルー・バーニーとしては珍しいくらい若年、一人前にさえなっていないと言える平凡な23歳の青年である。働く場所がなんと<呪われた西部開拓地>と奇抜である。西部開拓時代を背景とした体験型スリラー施設なのだ。ゾンビのならず者、食屍鬼の住民、ブート昼墓場の幽霊たち。そこを巡る恐怖の時間と、主人公がこの作品で図らずも出会ってしまう現実世界の幼児虐待犯罪が、どちらもタイトルの<ダークライド>にかかってくるという構図なのだ。

     主人公ハーディは、幼い姉弟と運命的に出会ってしまう。それは、両親に連れられた小さな姉弟だったが、彼らの胸に刻まれていたのは、煙草と見られる複数の火傷痕だった。彼らは親たちから虐待を受けているに違いないとハーディは確信する。以来、ハーディは幼い姉弟を放っておくことができず、思い悩むと同時に、あらゆる解決策を模索する。本書の真のスリルがスタートし、そして徐々に闇は色濃く彼を脅かすようになる。それは、両親に連れられた小さな二人の男女の幼児の胸に刻まれた煙草と見られる複数の火傷痕だった。ハーディはその子供たちが親たちから虐待を受けているのではないかと想像する。

     彼らを救い出す手はないだろうか? また子供たちを虐待する見も知らぬ親たちの罪を何とかして暴くことはできないのだろうか? 子どもたちを救い出すとしても、少年以外の誰一人としてそれを知らないし、救い出そうとも思っていない。では自分がそれをやらねばならないのだ。ハーディはそのように心の絶対絶命状況を自覚してゆく。

     相談相手の伝手を辿りつつ、専門家などにも意見を聴くものの、証拠も正体もわからない子供たちを救う手立てがなく、ハーディは悶々とする。闇を行く日々。ダークライドがスタートしたのだ。手を貸してくれる者もいれば、相談を聴いてくれる専門家も何とか接触するが、具体的な解決策には至らない。ハーディの冒険はこうしてスタートする。探り、対策を練り、実行する。そう、これぞ冒険小説の基本構造。久々に血が沸き立つような興奮を覚えた。

     結末は書けない。ハーディは仲間を得て救出作戦を実行する。結末は書けない。それはあなた自身がこの本を通じてダークライドを体験すべきだから。この春、ぼくが最も興奮した作品なんだ。結末を書けるわけなんてないじゃないか。

    0
    2024年05月02日
  • 11月に去りし者

    Posted by ブクログ

    「あらゆる決断によって新しい未来をひとつ作る、他の未来を全て潰して」
    随所に、なかなかの哲学的な名言が刻まれている。

    一九六三年十一月ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件は、ミステリーな点が多くフィクション、ノンフィクションとも数多くの作品が世に出ている。
    この小説は、事件の謎解きではなく、事件によって人生が動き出した人々の物語。

    追う側、追われる側、それに巻き込まれる人たち
    疑心暗鬼の中、それぞれにドラマがあり、人生が動き出す。
    それは、先に確かなことなど何ひとつないドラマ……

    登場人物が魅力的で、ラストを読み終えたあとの余韻が映像的に残る。
    わたしには、シャーロットの撮ったギドリーの長い影だけの写真がエンドロールとともに……ほんと、良いドラマでした。

    0
    2021年06月24日
  • 11月に去りし者

    Posted by ブクログ

    ケネディ暗殺事件の真相が明らかになるという意外性はあるものの、ありがちな犯罪小説でありふれた恋愛小説であり非常にアメリカ的な小説。であればこそ、エピローグでハリウッド世界に収斂させたストーリーテリングが見事でした。もし映画化されることがあれば、母親が遺した写真の入った箱をいつしか娘達が開けたときにあの男の人を思い出す瞬間をエンディングにしてもらいたい。

    0
    2020年12月16日

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