きっと多くの社会人の方が触ることが有るエクセル。
まあ便利っちゃ便利です。履歴書に使えたり、貢献評価シートとして使ったり、まああの「枠」はいろいろ使い勝手がありますね
ただ、何ていうんでしょうか。
こと数字の集計のお仕事をしている方は、どうにも煩雑になる、マニュアル作業が入る、ピボットテーブルがいう事を聞かない、まあ平たくいうと「うまくいかない・時間がかかる」ってことが多いのではないでしょうか。
加えてですよ、そのデータも、システムが多くあり過ぎてデータが散逸している、しかもデータの形がバラバラ、正規化されていない、等々多くのご不満をお持ちになることも多いと思います。かといってACCESSを導入するほどでもないし(というかそんな時間もないし)、マクロは難しいし…。結局、毎月力業でレポートをまとめる、みたいな蟻地獄のような集計作業をしている作業をしている方、いると思います。
そうした方には本書は朗報かもしれません。
簡単ではないのですが、エクセルで集計作業をしている方に、作業効率化の提案となると思います。
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では本書のキモは何かと言えば、ズバリ3つにまとめて言えば、
・エクセルでRDBを構築する。
・データ取り込み時にデータ整形をルール化する。
・必要な項目を論理的に設定(以降自動化)する。
だと思います。
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システムに携わる方が多い中で下手に馬脚をあらわさなければと肝を冷やしていやしますが、Relational Data Baseです。
通常DBを構築するときは、複数のマスターテーブルがあり、個別レコード(例えば売り上げデータとか注文データとか)は顧客名とか商品名はなく、商品IDとか顧客IDとかあれば十分で、これらを材料にクエリを作って必要なレポートを作る、みたいな手順かと思います。
エクセルでこれをやります。
まあ、主旨は皆さんもいちいちごもっとも、とご理解いただけるかと思いますが、なかなか重い腰が上がらないのもまた事実ではないかと思います。
ただ、今後の自動化のためには是非とも取り組みましょうというのが本書のポイントの一つと読みました。そして完璧でなくてもいいのです。特に最初は。
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さて、マスタテーブルなどをそれぞれエクセルに取り込むのですが、ここで一つ新機能(というか私が知らなかっただけ)。
なんと、データ取り込み時にデータの整形ルールが細かく設定できるのです。
これはかなり大きいと思います。
例えば取り込み時に行列を入れ替えるとか、一行目は項目として取り込むとか。
取り込むマスタの生データの形が同じだとすれば、以降、このマスタデータを上書きしたうえで、そのデータを本エクセル上で再取り込み(更新・リフレッシュ)すれば整形ルールは以前のものを使ってキレイな更新後のデータが再度取り込まれるという事になります。
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そしてこちら。
私の今までのデータ操作といえば最川下の収益データに必要に応じて列(カラム)を力業で作成し、その上でピボットテーブルを作るというものです。
でも、本書ではそれぞれ取り込んだテーブル上に論理上の列を設定することが解説されています。いわゆるDAXという構文を使って行います。
これにより、これまでVlookupやマクロで作成してた追加行がエクセル内に設定され、更にマクロを組むよりかは透明性を得られる形となります。
既存の列から計算して新しい項目を作ったりできるというのが従来のピボットテーブルしか知らなった自分からすると、この設定は自由度や柔軟性が爆上がりの目から鱗の情報でした。
何となくイメージとして、DBのクエリ≒ピボットテーブルで、このピボットテーブルにつかう列をDAXで合成するという感じ、でしょうか。
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それ以外にもスライサーの使い方やグラフとピボットテーブル、そしてスライサーを連結させた自前ダッシュボードの作成など、できそう・だけどちょっと(かなり!?)難しそうな内容ながてんこ盛りでありました。
勉強になります。
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ということで、エクセルのまだ知らない機能大全、みたいな本でした。とりわけ効率化・自動化を考えている方には一読の価値があると思います。
少なくとも私にとってはかなり参考になりました。ただ、マクロに逃げた方がまだ楽だなあという印象はちょっとあります。他方で透明性の確保のためには今後覚える必要あり、と判断しました。
因みに一つ気になるのは最近Power BIというアイコンがデスクトップ上に出てきたのですが、本書でぐりぐりエクセルを使い倒すのとPower BIとどう違うか、どちらかを勉強すればよいのか、両方勉強していたほうがよいのか、等々を加えて考えねばならないと思っています。