作品一覧

  • 10歳の放浪記

    10歳の放浪記

    小説・文芸

    4.0
    1巻660円 (税込)
    NHK「わたしが子どもだったころ」で大反響! 10歳のわたしはホームレスだった――お父ちゃん、明日はご飯を食べられる? 昭和35年、10歳の著者は、父とともに、東京・池袋でホームレスとして暮らしていた。健気に生きる少女を支えてくれたのは、貧しくも心優しい人々だった。40年以上も胸に秘めてきた、つらく悲しい記憶を辿る著者の心の旅。生きる人すべてを勇気づける、児童作家の壮絶な自叙伝。
  • 月と珊瑚

    月と珊瑚

    小説・文芸

    3.7
    1巻1,265円 (税込)
    「わたしは、六ねんせいになったので、べんきょうをがんばります。」ひらがなだらけの作文を、クラスメートに「あなた、ほんとに六年生?」ってばかにされた。私は、「勉強をしよう」って、本当にそう思った。まず、どうすればいい。そうだ、漢字を書けるようにしよう。日記だ。日記を書こう。これはちかいだ――。勉強ができないことを恥ずかしいと感じ始めた少女・珊瑚のクラスに転校してきたのは、まるで『ベルサイユのばら』のオスカルのような、男の子か女の子かわからない月(るな)という子でした。珊瑚の日記に描かれるのは、エイサーを舞う姿がかっこよかったり、ひいおばあちゃんが辺野古に座りこみに行ったり、耳をつんざくような戦闘機の轟音で機体の種類を当ててしまったり、その逆に轟音が聞こえると耳をふさいで動けなくなってしまったりする同級生たちの姿です。珊瑚の「月と仲良くなりたいな」と思う日常を描いた、たどたどしい日記からは、沖縄の子どもたちが、いま、目にし、感じていることのすべてが浮かび上がってきます。子どもの貧困、学力の差、沖縄文化の継承、そして米軍基地問題……。沖縄に移住した作者があたためてきたテーマが、いま花開きます。新たな児童文学の可能性がここにあります。【対象:小学上級以上】

ユーザーレビュー

  • 月と珊瑚

    Posted by ブクログ

    沖縄に住む6年生の珊瑚は勉強は苦手。
    一緒に住んでいるルリバーは沖縄民謡歌手で、珊瑚も小さい頃から民謡を教えてもらっている。

    お母さんは九州で働いて、お父さんはいなくて、
    ときどき恥ずかしい気持ちで子ども食堂でご飯を食べさせてもらっていて、珊瑚の家は正直貧しい。

    同級生の詩音にひらがなばかりの作文をバカにされ、珊瑚は漢字の勉強を始める。
    そんな頃に、本土から転校してきた月(るな)のミステリアスな雰囲気に、珊瑚の心は釘付けとなる。

    月のボーイッシュな姿とさりげない優しさ。
    詩音のちょっぴり偉そうだけど相手を思う気持ち。
    くるみの貧困に関係なく付き合ってくれる友情。

    日常の上空を飛ぶ戦闘機の音、辺野古に米軍基地建設の話、
    悲惨な沖縄で起きた戦争、貧しくてジュリとなった珊瑚のひいおばあの話
    6月23日の沖縄で慰霊の日に向けて、沖縄で暮らす子どもたちのそれぞれの思い。

    沖縄が抱えている問題がぎゅっと詰まっていながらも
    重くない感じで優しさに包まれている一冊。
    色んな人がいて良い。戦争や平和について。
    2020年高学年むけ課題図書。

    0
    2023年01月03日
  • 10歳の放浪記

    Posted by ブクログ

    【本の内容】
    「お父ちゃん、明日はご飯を食べられる?」―昭和35年、10歳の著者は父と共に東京・池袋でホームレスとして暮らしていた。

    健気に生きる少女を支えてくれたのは、貧しくも心優しい人々だった。

    40年以上も胸に秘めてきた、つらく悲しい記憶を辿る著者の心の旅。

    生きる人すべてを勇気づける児童作家の自叙伝。

    [ 目次 ]
    放浪への序章(椎名町;大塚;狭山貯水池;鮫洲;滝野川;高尾山)
    放浪の始まり(九十九里村;根津八重垣町;池袋;秋津;房総へ)

    [ POP ]
    芸人なら自分の境遇をネタにできるが、一般にはハードルが高い。

    惨めさ、辛さを客観的に語るには、主観(=親)の死を待たなければならないからだ。

    著者は1950年生まれ。

    小学校教員を経て、児童文学者に。

    長年封印してきた記憶を解き放つ自伝だ。

    時は昭和35年、舞台は池袋周辺。

    戦争未亡人の母は戦後、父と一緒になり、主人公「なこ」を産んだ。

    事業に失敗した父は、酔っては高学歴で気位の高い母を殴り、やがて生活は困窮。

    なこは日雇いの仕事をする父と簡易宿泊所を転々とする。

    子供は学校に行くのが仕事とはよく言ったもので、なこには行く所がない。

    お父さんを捜すという名目で映画館に潜り込み、いよいよお金がなくなればパチンコ屋の床から玉を拾い、親切な従業員の操作で現金を稼ぐ。

    極道のあんちゃん、床屋のお姉さん、食堂「もうからんや」の店員など、西のじゃりン子チエ周辺には負けるが、関東ローム層にだって人情味の幾ばくかはある。

    “人間の価値は学歴で決まる”というリフレインはわびし過ぎるが。

    なこが新聞で読むように、昭和35年は17歳の少年が浅沼社会党委員長を刺殺した年。

    その山口二矢繋がりで、以後の2号を続けます。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

    0
    2014年10月26日
  • 月と珊瑚

    Posted by ブクログ

     沖縄に住む小学6年生の女の子、「珊瑚」主観で書いた日記形式の物語には、勉強ができないことを気にしていた本人が、漢字を覚えるために日記を始めたという設定に微笑ましさを感じながら、時折、田中海帆さんの凜とした絵が加わることによって、シリアスな雰囲気も醸し出しており(表紙の楽しそうな絵も裏表紙を見てみると・・・)、そんな本の作り方には地元の人達の視点だからこそ見えてくる、沖縄の様々な素顔や切実な思いがたくさん込められていたのであった。

     ジェンダーレスや貧困問題、多様性など、現代ならではの様々な要素が自然と取り込まれた学校生活に於いて、昔から変わらないと思われる沖縄ならではの部分を感じることで、それは過去だけではなく今や未来にも影響を及ぼすのだということを、東京から転校してきた「詩音」や「月(るな)」の率直な反応によって、自然と読み手にもそれが伝わってきて痛感させられる展開には、きっと本書で初めて沖縄の事情を知る子ども達にとっても入りやすいのだと思う、物語を通して自分事のように感じることの大切さである。

     「珊瑚」という名前には、『沖縄は戦後、血と涙と珊瑚礁の上にできた島といってもいいくらい、悲惨な戦争を経験した』という認識を持つ、珊瑚の祖母で民謡歌手の「ルリバー」自身の人生が込められていて、そうした思いを、時に珊瑚は重く感じるものの、次第とルリバーの過去を知ることによって、当時の彼女の気持ちを慮るようになることが未来の沖縄へと思いを馳せることに繋がり、やがてはそこで珊瑚が何をしたいのかといった未来像を、気の合う友達同士で一緒に描くまでに至る展開に見られる爽やかさには、胸に焼き付けられた沖縄の実情の中にも明るい希望を灯してくれたようで、そんな読後感にしたことには、作者の上條さなえさん自身の思いも見え隠れするように感じられた。

     それは珊瑚たちの話だけではなく、ルリバーの世代の話も一緒に入れることによって、沖縄の歴史を知ることが日本人にとって如何に大切であるのかを教えてくれたようで、それは辺野古の座り込みにも見られる沖縄の基地問題や、糸満市の摩文仁にある平和祈念公園には、敵味方関係なく沖縄戦で亡くなった人の名前が24万人以上刻まれていること、「ジュリ馬まつり」が今と昔で意味合いが異なることなど様々だ。

     中でも私が言葉を失ったのは、「島唄」を歌いながら歩く女の人のエピソードで、そこには本書に書かれた沖縄の島言葉について、『先祖が愛したことばをなくしたら心までなくしてしまう気がする』を、必死に表しているようにも思われて、かつては琉球王国として存在していた、先祖から受け継がれた文化や人としての誇りまで戦争は奪ってしまうものなのかと、憤らずにはいられないものがある。

     そして沖縄にとっての戦争の終わった日は、米軍が沖縄に上陸して日本軍が全滅させられたのが6月23日で、その日から米軍の下での生活が始まったことから、私が認識していた終戦記念日とは違うということ、この事実はこれからも決して忘れない。

    0
    2025年06月14日
  • 月と珊瑚

    Posted by ブクログ

    小5の娘に薦められて読んだ。

    子供向けの友情ものかと思いきや、沖縄のリアルな話を子供目線で書かれた物語だった。まぁ子供向けの本であることに変わりはなかったけど。

    頑張り屋で、貧乏な境遇に少し劣等感を持つ珊瑚が、華やかな転校生、月に憧れを抱きつつ仲良くなっていく。
    また一緒に二人で住んでいるおばあちゃんの、過去も段々とわかってくる。それを受け止められるように成長する珊瑚。
    物語の途中にそれとなく沖縄の現実や、過去の苦しみも描かれる。なかなか重い。

    うまく文がまとまらなかったが、ちょっとジーンときたり、そうなんだよなー、と真剣になったり、を繰り返した。
    良い話だった。

    0
    2022年08月06日
  • 月と珊瑚

    Posted by ブクログ

    那覇の小学六年生の女の子、珊瑚が主人公。家は貧しい。子ども食堂で食べるカレーがひそかな楽しみ。勉強が苦手。祖母は酒場で歌う民謡歌手。珊瑚も民謡を習っている。
    祖母や曾祖母の過去、地域の人たちの暮らし、育まれる友情、初潮を迎えたときのこと、東京からの転校生をベルばらのオスカルに重ねて憧れる気持ち、等々がつまった物語。
    特に印象に残ったのは、東京からの転校生(ややこしいがオスカルとは別人)である詩音が、戦闘機の音を聞いてパニック状態になるシーン。慣れっこでちっとも怖くないし「戦闘機は落ちない」と信じている珊瑚は、「戦闘機は落ちないからだいじょうぶ」と、その音に負けないように大きな声で言う。戦闘機が去ったあと、詩音は「あのねえ、オスプレイは名護の海岸に落ちたのよ!知らないの?ニュースを見ないの?」と怒ったように言った。珊瑚は知らなかった。ひとりで家にいるときはお笑いやアニメを見る。実をいうと、テロが起きたとか虐待で親が子を死なせたとかそんなことを聞かされるニュースを、怖くてひとりで見られないのだ。そして詩音とのこの会話以降、珊瑚も戦闘機の音が怖いと思うようになる。
    「基地と隣り合わせの日常」については、「そういうことなんだ」と目が開かれる思い。「ニュースが怖いから見ていない」については私も同じで、たまにものすごく恥をかく(あるいは明らかに恥をかかないように口をつぐむ)ことがある。変なところで共感してしまった。
    ちょっと世界が広がる良い読書だった。

    0
    2022年04月16日

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