「労作」という言葉がこれほど合う本もそうそうないんじゃないかってくらいの労作!
自分はデータを見ることに慣れている方だと思うんだけど、それでもこの本を書くだけのデータってどのくらい膨大なんだろ!?って、皆目見当がつかない(・・;)
ただ、著者は以前にもこのテーマで本を書いていて、これはその新書版みたいなことを書いているので。
この本は、それらの本の内容をもとに書いたものなのかもしれない。
この本は、「労作」という言葉がこれほど合う本もそうそうないんじゃないかってくらいなんだけど、「公平な視点」という言葉がこれほど合う本もそうそうないんじゃないかって思うくらい、日本による朝鮮統治を統計データから公平に書かれた本でもある。
よって、統治する日本人側、統治される韓国人(朝鮮人と言った方がいいのかもしれないけど韓国人で統一する)側の情緒的な面にはほとんど触れていない。
一つの国として成立している国(李朝朝鮮→大韓帝国)を、大日本帝国が併合するまでにはさまざまな軍事的な暴力(=侵略行為)があったのは事実だろうし。
西欧によるアフリカやアジア、アメリカ大陸での「植民地」とは微妙に異なるものの、大日本帝国が朝鮮半島を植民地としたのも厳然たる事実だろう。
だから、常に韓国(人)寄りに「日本=悪」という風に見る人は、経済的な統計データのみで日帝の韓国統治を語ることに反発を覚えるだろうし。
逆に、日本寄りに見る人は、これこそが「正解」だと思うんだろう。
個人的には、この本に書かれていることは紛れもない「事実」だと思う。
ただ、当時、まさにその場で起こった多くのことに対する、統治される側の韓国人の感情と、統治する側である日本人の意識という視点では書かれていないのも確かだと思う。
だから、この本の内容だけで日帝の朝鮮統治を知ったと思うのは早計で。
政治や軍事的な面からの韓国併合、あるいはそこで起こった出来事の経緯や背景について書かれたものも読まないと片手落ちになるだろう。
現在も日本人にある、韓国人や中国人、その他アジア諸国の人やムスリム、アフリカ諸国の人たちへの上から目線の意識を思えば、当時の日本人は韓国人に対して相当苛烈なことをしたであろうことは容易に想像できる。
でも、それは日本という「国」というよりも、むしろ現場の「個々人」の思惑や意識の方が、当時の韓国の人たちを酷く傷つけた面があるんじゃないだろうか?
とはいえ。
当時は西欧列強が旧態然とした国や内政が混乱している国、そもそも国として成立していない地域を武力で侵略して植民地にするのが当たり前の時代…、つまり現在の世界情勢と同じく、ウクライナに侵略戦争を仕掛けたロシア、パレスチナで民族撲滅を目的としているイスラエル、金儲けのために圧倒的な軍事力で他国を侵略するアメリカのような、強国による弱肉強食が当たり前の時代だったし。
当時の日本(人)も、明治維新によって起きた戊辰戦争や西南戦争という内乱鎮圧を経て、日清戦争と日露戦争、第一次大戦、日中戦争→太平洋戦争と戦争に明け暮れていた時代だった。
そういう殺伐とした時代だからこそ、軍人(軍部)を国民が支持することで軍部による政治の専横があったこと等もあり、軍部に都合のいい政策が優先された。
また、日本人特有の「(今で言う)日本スゴイ」的な島国根性で、今も続く日本人のアジア蔑視が強い時代でもあった。
そういうアジア人蔑視は、おそらくは庶民こそ強烈だったはずで(それは、ヘイトデモやヘイトスピーチをする人たち、あるいは首相が中国に対して強行発言をすると支持率が異常に上がる現在の日本の状況を見ても明らかだろう)。
この本を読む限り、(西欧列強による植民地が当たり前、戦争が常態化していて軍部が力を持っていたという、そもそも弱者に苛烈な時代だったというのはあるにせよ)当時の日本は、例えばイギリスがインドや清でやった植民地経営と比べれば全然マシな植民地経営を行ったのみならず、その前の李朝朝鮮の儒教による国民支配よりも国民が豊かに暮らせる政策を実行していたのに関わらず、まるで「暗黒政治」のように言われるのは、おそらくは個々の現場(個々の日本人)での朝鮮人対する蔑視や差別意識が酷かったからなんじゃないのかな?って気がするんだけどどうなんだろう?
もちろん、韓国人(朝鮮人)の特徴とされる、“気位が高く、負けん気が強い”ということや、儒教による“中華帝国が親。朝鮮は子ども(兄)。日本は末弟”という意識があることで、末弟が兄に酷いことをするのは正義に反する(それも儒教的な考え方)”により、「韓国人にとっては、(末弟)の日本に支配されることが絶対許せないことだった」というのも大きいのだろう。
いや、日本人である自分だって、他の国に支配されるのはもちろん嫌なんだけどさ。
でも、そのことの韓国人の「嫌」という感情と、日本人の「嫌」は全然違っていて。
日本人の自分では想像出来ないくらい、韓国人のその「嫌」は絶対的な感情…、というより「原理原則」に近いくらいのものになっているんじゃないのかな?
そして、それは日帝による併合を経て第二次大戦、さらに朝鮮戦争と南北分断。
その後の韓国人大統領による強権政治や弾圧と苦難の時代がずっと続いたのに、当の日本(人)は隣でGDP世界2位(今は落ちて5位w)という経済繁栄で豊かに暮らしていやがる…、みたいな一種のやっかみがあることで、より強くなっているんだろう。
……と、まぁこの本の内容と全然関係ないことをズラズラ書いたのは、この本の内容が濃すぎるからだ(^^ゞ
変に自分の気になった部分だけ掻い摘んで、これこれこうみたいな感想を書くのはおこがましい…、というかー、やっぱり、この本は一人一人がちゃんと読むことに意味があるんだと思うんだよね(…と書いて逃げたいw)。
たぶん、日本(人)と韓国(人)の関係というのは、現在はこれまでより一歩進んでいて。
お互いに意識的、あるいは無意識的に相手のいい面を見ようとすることで、関係を築くことが楽しいことだと気づいた段階だという気がするのだ。
ていうか、今風にタイパに「楽しいから、いい関係を築けていた」と言った方がいいのか?(^^ゞ
さらに言えば、現在のまるで20世紀の歴史を初めからやり直している世界情勢の中、個々人というより国同士が「お互いに協力し合わないと20世紀前半のように大国の好き勝手にされかねない」と認識し始めた。
それが、現在の日韓関係だと思うのだ。
そういう時代だからこそ、我々日本人こそが、日本が自分の国をロシアの脅威から守るために隣国を植民地化せざるを得なかった「あの不幸な時代」を公平な視点で知る必要があるんだと思う。
あの時代の日本が自分の国を守るために韓国(朝鮮半島に住む人たち)を切り捨てたように、今の韓国の人たちだって、自分の国を守るためには日本(人)を切り捨てることだってあるのは当たり前なわけだ。
それは軍事的なことに限らない。
経済的なことだって同じだ。ていうか、そもそも経済においては日韓はライバルだ。
お互い、相手の不幸は自分の国の利益になる。
日韓関係というのは、そういう関係でもあるのだ。
そういう時代、そういう関係だからこそ、我々日本人は相手の言い分にばかりおもねてばかりではなく「正当な日本側の言い分」をちゃんと認識しておかなきゃいけないし。
相手との対等で良い関係を築くためにも、自分の言い分をキチンと主張することは必要だろう。
その意味で、この本はうってつけの本だ。
著者は、終章の後にある「コラム⑤」で、韓国の韓永愚という人(ソウル大学名誉教授)が著書で“日帝強占期に産業施設が多かった北韓「北朝鮮」の経済がなぜ、産業施設が劣悪だった南韓に遅れを取ったのか説明できない“と書いていることに対して、“ある国の経済・停滞が、前代の遺産だけで決まると考えるのであろうか。”と書いているが。
それを読んでいて思い出したのが、北京オリンピックの頃にやっていた「関口知宏の中国鉄道大紀行」というテレビ番組だ。
それは関口知宏が鉄道による一筆書きで中国を一周するという内容なのだが、その関口知宏が中朝国境の寒村にある駅に降りた時、その村のお年寄りが以下のようなことを言っていたのだ。
「(日中)戦争が終わった後、私たちの暮らし(中国の暮らし)は貧乏で酷い有様だったのに、国境の向こう側(北朝鮮)を見ると、人々が豊かな暮らしをおくっていて羨ましく思ったものだった。でも、今は逆で、私たちの暮らしは豊かになったのに、向こう側(北朝鮮)の暮らしはあの時の私たちの暮らしよりも貧乏だ」
上記は記憶で書いているので、細かい違いはあるはずだ。
でも、そのお年寄りが言っていたことは、まさにそういうことだった。
つまり、この本で著者が書いているように、戦争に負けた日本が引き上げた直後こそ、北朝鮮は日帝時代の遺産やインフラで豊かだったけど。
金日成の共産主義は、そのデタラメな経済運営でそれらをたちまち食い尽くしてしまって。
中世のような国民に極貧を強いる国にまで落ちてしまったということなんだろう。
それは、北朝鮮の国民に向けたスローガンが「白いメシと肉のスープがたらふく食える暮らし」というのを見ても明らかだ。
済州島出身の呉善花は韓国を批判する本を書いているせいか、(「韓国の主張こそが正しくて、日本は悪」の)最近の日本ではあまり本が読まれていないようだが。
(これもずいぶん前に読んだので、あくまで記憶だけど)その著書『韓国併合への道』の中では、“儒教支配の李氏朝鮮の時代と比べ、日本による統治で国民の暮らしは豊かで自由だった”みたいなことを書いていたはずだ。
ただ、(最初にも書いたように)この本はあくまで経済の統計データから見た、日帝の韓国統治なので。
政治的、軍事的な面での「韓国併合」の実態について書かれた本も読んでおく必要はあるだろう。
いずれにしても、想像もつかないくらい膨大な統計データを読み込んで、日帝の「朝鮮併合」の経済的実態をわかりやすく本にしてくれた著者には感謝の言葉しかない。
以下は本の感想とは関係ない話。
去年くらいから「流域面積世界最大の川」の古本がやけに高くなったこともあり、最近は本屋で買うことが増えた。
e-honで買えば新品だし。カバーもかけてもらえる。
本屋受取りで買えば送料とられないし、地元の本屋に貢献も出来る(^^)/
…と、いいことだらけなんだけど、ただお財布にはキツい(爆)
「世の中インフレだし。古本屋さんも大変だろうから、仕方ないのかな?」とは思いつつ。
新品より100円くらいしか安くないのに、今まで通りに「見るからに古本!」って状態の物が送られてくると、ちょっとムカッとくる。
かと言って、★の評価を下げるのも、なぁ〜んかちょっと申し訳ないよーな。
古本の値段が急に上がったのはなぜなんだろ?
もしかして流域面積世界最大の川としては、もっとキンドルを普及させたいから、古本屋さんに値段を上げるよう要請してるのかな?、みたいなことも思ったりもするんだけど、どうなんだろうね┐(´д`)┌
ていうか、妥協してそれなりの価格で買った本を、再度流域面積世界最大の川で見てみるとずいぶんお手頃な価格に下がっていることも多くて。
あー、これは、人によって自動的に価格を高くしたり安くしたりしてるってことなのかな?なんて思ったりもして。
いっそ、以前のように「本は本屋で買うもの」としちゃえばいいんだろうけど、とはいえ、最近の本は馬鹿みたいに高い(゜o゜;
高くても、その価格に見合った面白さがあればいいんだけど、最近の本ときたらまぁ……
今の日本って、何に併合されちゃったんだろ?(爆)