宮崎嶺雄の作品一覧
「宮崎嶺雄」の「黄色い部屋の謎【宮崎嶺雄訳】」「ペスト」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「宮崎嶺雄」の「黄色い部屋の謎【宮崎嶺雄訳】」「ペスト」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
Posted by ブクログ
印象深かったのはパヌルー神父の演説の変化。主語が「あなたがた」から「私ども」に変わったことが感動。他人事でなく「我々のこと」なのだと忘れてはならないと思った。
「すでに大病等に悩まされる人は、他の病気からは免除される」というコタールの考えも印象的。
リウーさんは囲いの中の人であると同時に、囲いの「外の人」としての役割も兼ねていたように思う。彼の妻が遠くで療養している、という設定は、「オランの町の外の人の気持ち」も読者に味わってほしかったから与えたものなんじゃないのかなと思った。
てか正体不明の「語り手」、あんたか〜い! 予想がことごとく外れてた。最後のほうで「分かった、この人しかいない!」って思った人がいたのに、普通に違って笑ってしまった。
後半になるにつれて目が離せなくなっていった。タルーが、自分の過去を訥々と語るシーンから。
やはりこの話、ペストという災害はあくまで比喩で、作者の訴えたいことは「人が引き起こす悪」についてなんだと思う。記録の最後があの一件で終わることで、なおさらそう思う。ってそんなことは裏表紙のあらすじに書いてあるんだけどね。改めてね。疫病収束、ヨカッタネで終わらないのが世界の理ってやつというか。人は皆ペスト患者、と言った某人物の言葉が重く響くラストだった。
ところで! ある人物が「死刑」という単語を繰り返す場面がある。それは死刑がこの人物の行動原理に絡むからなのだが。
死刑というとカミュの『異邦人』の主人公ムルソーが「死刑執行を見て吐ける人」を羨ましがる場面を思い出す。
『ペスト』のこの人物は、「死刑で吐ける人」何だろうか。そうなる側の人にもそうなる側の苦悩があるのだな……なんてことを思った。
Posted by ブクログ
作中のペストの災厄は、経験したコロナパンデミックとよく類似していて驚いた。
そして、そのリアリティ、解像度の高さに感嘆。
パンデミックの不条理の中で、様々な人が何を感じ、あるいは感じなくなっていくか、本当にコロナで見た光景だった。
文体は、原著は読めないですが、本訳を読んで感じるところは、正直まどろっこしい感じで好きではないです。これがフランス文学流?
ただ、主人公医師のリウーの倫理観、というより作者カミュの誠実さ?は大好きです。どうしようものない不条理、絶望や虚無、無意味が取り巻く中で、愛や倫理を失わず、生きようとする様は、そうあるべきだと深く共感できるところです。
その観を、パンデミックの世界で遺憾無く表現された名作ですね。
タルーの独白あたりから、ぐっと引き込まれます。
もっともっと語っていい。思想の語り、対話がもっと欲しい。ドストエフスキーくらい聞かせて欲しかった。という気持ちもあります。