フィンランドの特徴
スウェーデンとロシア、以後、ドイツとロシアのパワーバランスに翻弄された北欧の小国
・アジア起源の民族であるという風評があるも事実ではない
・北欧4国(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、アイスランド)の言語が、印欧語系であるに対し、フィンランド語は、フィン・ウゴル語系、なの
...続きを読むで、フィンランド人は、ヨーロッパとは異なる民族であるとの印象が強い。
・第二次世界大戦までは、フィンランド人も、自分自身をアジア系であって、ヨーロッパの外の存在と考えていた。
・日本人にとっては、シベリウス、ムーミン、ノキアの国
・第二次世界大戦では、ドイツの友好国として対ソ連戦に参加した枢軸国の一国であった
本書は、13世紀のスウェーデン王国の統治下から物語が始まる。
(スウェーデン統治時代 1155?~1809)
・北の十字軍の遠征を3度受ける
1155年 スウェーデン王 エーリク
1249年 スウェーデン貴族 ビルイェル・ヤール
1293年 スウェーデン 東カレリア地方まで拡大
・1323年 パハキナサーリ条約 スウェーデン・ノヴゴロド間でカレリア地峡の国境画定
・1362年 スウェーデン王選出の権利を得る⇒フィンランドはスウェーデンの一部と認められた
14世紀に、ペストまん延するも、フィンランドには影響がなかったようだ
スウェーデン統治下でのおきた戦争を 〇〇の怒りという
1495~97年 古き怒り モスクワ大公との紛争
1570~95年 長き怒り ロシアとの紛争、フィンランドが舞台に
1713~21年 大いなる怒り ロシアに占領 (1700~21年 北方大戦争の一部)
1808~09年 スウェーデン・ロシアによるフィンランド戦争勃発 ハミナ講和条約の結果、フィンランドはロシアへ割譲される
(ロシア統治時代:フィンランド大公国)
1809~1850年代 ロシア統治時代初期 経済はロシアと分離して扱われる
1850年代~1870年代
自由化の時代 広範囲の自治の時代 ロシア皇帝アレクサンドル2世の銅像がいまもヘルシンキに残る善政の時代
我々はもはや、スウェーデン人ではない、さりとて、ロシア人にはなれない、フィンランド人でいこう
ロシアにとっても、フィンランドをスウェーデンから分離することで統治を容易にするというメリットがあった
大叙事詩 カレワラの収集と編纂の時代
1880年代~1914年 ロシア化政策の時代 自治の制限、ロシア帝国に組み込むための政策が実行 ニコライ2世の時代 対ドイツの時代
1914年~1917年 独立期 第2次ロシア化政策、シベリウスのフィンランディア
(独立、内戦)
1917年~1930年代 独立宣言 その後、親ドイツ派(白衛隊)と、親ロシア派(赤衛隊)との内戦に突入
1917年 レーニンのボリシェヴィキ政権が、ブレスト=リドフスク条約により、フィンランド国内のロシア兵2万5千人をロシアへ撤収
白衛隊が勝利し、赤衛隊は、旧フィンランド領であるカレリア地方に退却、これが、大フィンランドにつながっていく。白衛隊はカレリアをも統合しようとしている(1918年)
1922年 オーランド諸島の帰属をめぐって問題化、新渡戸稲造が国連事務局次長として解決に関与
1939年 第一次ソ連・フィンランド戦争勃発 冬戦争
1941年 第二次ソ連・フィンランド戦争勃発 継続戦争 大フィンランド カレリア奪取を計画、
1944年 ソ連・イギリスと休戦条約 フィンランドの第二次世界大戦は終わる
以後、ソ連崩壊まで、親ロシア路線の中立国として冷戦を生き抜く サウナ外交とフィンランド化
1989年 ソ連崩壊にともない、ロシアと新友好条約を締結、EU加盟へ、さらに、2022年NATO加盟へ
目次
はじめに
第1章 スウェーデン王国の辺境 13世紀~19世紀初頭
第2章 ロシア帝国下の「大公国」 19世紀~第一次世界大戦
第3章 揺れる独立国家フィンランド 内戦~1930年代
第4章 二度の対ソ連戦争 第二次世界大戦下、揺れる小国
第5章 苦境下の「中立国」という選択 休戦~東西冷戦期
第6章 西ヨーロッパへの「接近」 ソ連崩壊~21世紀
終章 フィンランドという価値
あとがき
主要参考文献
付録