石野裕子のレビュー一覧
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フィンランドの特徴
スウェーデンとロシア、以後、ドイツとロシアのパワーバランスに翻弄された北欧の小国
・アジア起源の民族であるという風評があるも事実ではない
・北欧4国(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、アイスランド)の言語が、印欧語系であるに対し、フィンランド語は、フィン・ウゴル語系、なので、フィンランド人は、ヨーロッパとは異なる民族であるとの印象が強い。
・第二次世界大戦までは、フィンランド人も、自分自身をアジア系であって、ヨーロッパの外の存在と考えていた。
・日本人にとっては、シベリウス、ムーミン、ノキアの国
・第二次世界大戦では、ドイツの友好国として対ソ連戦に参加した枢軸国の一 -
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フィンランドの歴史を通覧する一冊。政治体制から文化まで幅広く書かれている。近代の記述に重きをおいているので、19世紀までは駆け足だけど、全体的に読みやすい。
個人的には第二次大戦後にソ連と結んだFCMA条約が印象的。条文に「大国間の利害紛争の外に留まりたい」という一文を入れさせることで内政干渉に対抗したという下りは、ギリギリの選択の中で中立たらんとしたフィンランドの姿勢がよく出ている。
スウェーデンやロシアといった強国に取り込まれたり、付かず離れずの位置に収まったり、複雑な歴史があったんだな。ムーミンやサンタ、北欧雑貨やハイテク産業以外のフィンランドを知られて良かった。 -
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コンパクトに一刻の通史が学べる物語シリーズ。今まで読んだものはレベルが高く、安心して読めるシリーズである。今回は私が訪問した中でも最も好きな国、フィンランド。なんどか歴史の本も読んだが、本書がいちばんよくまとまっていてわかりやすいと思う。とくに著者の得意とする国際関係学からみた、対ソ戦の「冬戦争」から冷戦期の乗り切り方が、外交視点からわかりやすく解説されている。ソ連に配慮しながら、実質的な独立を維持した手法は、今後のアジア情勢の中で日本も参考にできそうだ。夏に行くと非常に明るい国で70年前からつい最近まで、こんな苦労してたんだと驚き、彼らの国民性”シス”を感じられる。
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13世紀よりスウェーデン王国と帝政ロシアの統治下に置かれ、20世紀初頭の独立後もヨーロッパ西側諸国とソ連との対立に翻弄されながらも巧みな外交術で中立を貫き、経済的にも成功を収めたフィンランド。本書はその歴史を主に独立後の近現代を中心に記述する。中でも長きにわたるロシアとの関係に関する記述に興味をそそられる部分が多かった。
まず注目すべきなのは北欧・ヨーロッパとロシアの中間に位置するという不安定な地理的条件がフィンランドの国家的・民族的アイデンティティの醸成に一役買ったという点だ。
たとえば、中近世に栄華を極めたスウェーデン王国が「フィランド戦争」でロシアに敗れて以後、フィンランドはロシ -
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興味のある国から「物語」シリーズを読み進めています。
フィンランドは、林業が盛ん、世界全体がきな臭い情勢下、長年の政策を転換しNATOへ加盟申請した等のニュース、枕元にムーミンのぬいぐるみが置いてある(妻と付き合ってすぐに行ったアウトレットのゲームセンターのクレーンゲームで2,000円掛けて取った)等、遠い国でありますが、よく名前も聞くし関わりもある国です。先進的で良いイメージもありますが、歴史についてはよく知らないと思い、「物語」シリーズのフィンランドを手に取りました。
かつては欧州の後進国であったことや、スウェーデン統治時代、ロシア統治時代から先の大戦、そして冷戦、大国に挟まれ翻弄さ -
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中公新書の「物語 XXの歴史」シリーズにやっとフィンランドが加わって嬉しいことこの上なきかな・・・「物語 北欧の歴史」が出たときは、それはないんじゃないの!?と思ったものですから。北欧は、どうしてもひとまとまりにされますが(その最たるものが旅行用ガイドブック)、それぞれに違った歴史もあり、どこからの目線で何を見るのかがとても重要。ヨーロッパは、現代になってからでも、国境線が変わっている国が多いですが、少なくとも、北欧の国々は、第二次世界大戦後は、落ち着いているわけですから、各国別の「物語 XXの歴史」があってしかるべき。特にフィンランドは、スウェーデン王国に支配され、ロシア帝国に支配され、独立
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ネタバレフィンランドの政治や歴史についてまとめられた本。
ドイツ、ソ連、スウェーデン。フィンランドは周囲の国の介入を受け、幾たびも戦場となり、翻弄されながらも舵取りをしてきた歴史を持つ。ハンザ同盟に参加し、デンマークを筆頭とするカルマル同盟と競った時代。
フィンランドのエリート層はスウェーデン語を話し、シベリウスもそうであったことを知った。
対ソ連対策のためナチス・ドイツと近接するも失敗し、反省からヨーロッパとソ連の間でバランスをとった20世紀。フルシチョフとのサウナ外交、ヨーロッパとの緩衝地。
高齢化、移民問題、放射能汚染を抱えていること。製紙業のノキアが情報産業に特化し、ゲーム産業で盛り返そうとし -
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フィンランドのロック・バンド、レニングラード・カウボーイズと
ロシアの赤軍合唱団とのジョイント・ライブ「トータル・バラライカ・
ショー」が行われた時、またロシアがフィンランドに嫌がらせに行っ
たのかと思った。
実際は非常にフレンドリーで素敵なライブだったし、赤軍合唱団の
主席ソリスト、ヴァレリ・ガッヴァなんてめっちゃいい笑顔で歌っ
ていた。実は映画された際のDVDを持ってるのだ、私は。
そう言えば、レニングラード・カウボーイズはレニングラードが
現在のサンクトペテルブルクに改称された時、「俺たちのレニング
ラードを返せ!」と歌ってな。
フィンランド繋がりでくだらないこ -
Posted by ブクログ
ネタバレ「物語 フィンランドの歴史」
石野裕子著
中公新書
2017年10月25日発行
来年2019年、フィンランドと日本は国交樹立100周年。で、驚いたことに、フィンランドという国が出来たのは去年から100年前の1917年であり、それ以前はフィンランドとしての統一国家は成立していなかった。
それ以前の100年間は自治権のあるロシア領であり、さらにその前の500年間はスウェーデンが統治していた。
日本人にとって、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの違いがなかなかイメージし辛い。とくにフィンランドについて問われると、ほとんど何も答えられない。首都ヘルシンキの名も、すっと出てこない。
クイズ。