作品一覧

  • 大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済
    4.3
    1巻1,045円 (税込)
    海外の研究者が「世界初の先物取引市場」と評価する江戸時代、大坂堂島の米市場。米を証券化した「米切手」が、現在の証券市場と同じように、「米切手」の先物取引という、まったくヴァーチャルな売り買いとして、まさに生き馬の目を抜くかのごとき大坂商人たちの手で行われていた。このしばしば暴走を繰り返すマーケットに江戸幕府はいかに対処したのか? 大坂堂島を舞台にした江戸時代の「資本主義」の実体を始めて本格的に活写

ユーザーレビュー

  • 大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済

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    江戸時代の市場経済の実証的研究
     名著。P138の立用米は立物米、P164の損毛は損耗の間違ひ。
     徳川時代の経済史としておもしろかった。先物取引については井上ひさしの『黄金の騎士団』での知識しかなかったのだが、この本でどういふものかよくわかった。少くとも17世紀までには米市場があったとは知らなかったし、幕府が試行錯誤しながら市場を望ましい状態にしようと躍起になってゐた事もわかった。
     市場経済について不案内な人も不信的な人も、徳川時代からあったと知ればいい入門になるのではと思ふ。

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    2022年10月01日
  • 大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済

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    大阪堂島にあった米市場について書かれた本。当時の資料を詳細に分析し、まとめ上げられており、学術的で論理的内容である。行われていた米取引は現物のみならず、先物も行われており、世界初の先物市場と言われていることを知った。当時の商人のみならず、監督者である幕府や、訴訟対応に当たった大阪奉行所など、その金融リテラシーの高さは、驚くべき事実だと思う。大きなお金の動く市場を安定的に運営する方法の研究は、素晴らしい着眼だと思うし、とても勉強になった。

    「日本の大阪米市場は、世界初の組織的先物取引市場であるとする海外の方も少なくない。なかでも著名な人物としては、CMEグループの名誉会長であり「先物取引の父」

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    2022年07月03日
  • 大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済

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    世界でも先駆的な先物取引市場とされる江戸時代の大坂堂島米市場の実態と、そこで生起した市場経済に対峙する江戸幕府の政策的格闘を描写。
    優れた経済史のケーススタディ的入門書であり、ポイントとなる史料が逐一、現代語訳と原文で紹介されているのが出色。

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    2020年05月17日
  • 大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済

    Posted by ブクログ

     前著『近世米市場の形成と展開』の内容を,新書レベルでわかりやすく解説するに留まらず,その後進捗された新たな研究の内容も踏まえた力作。前半では,大坂堂島米市場の取引システムに対する説明を詳細に描き,後半では,そこを舞台として繰り広げられる「江戸幕府と市場との格闘を観察,考察」(170頁)している。
     副題として「江戸幕府vs市場経済」と付されているが,けっして幕府が市場経済に反抗的・対立的であったのではない。むしろ幕府は,時の政府として,法令や制度,あるいは大坂町奉行の判例を通じて,市場の失敗を保護,是正する役割を果たしていた。徳川時代が「幕藩体制」という近代法治国家以前の政治経済システムにあ

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    2019年02月25日
  • 大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済

    Posted by ブクログ

    実証的な経済史学に基づき、市場経済と政府(江戸幕府)との対抗関係を興味深く描いている。300ページくらいの新書でありながら、これだけ高度な内容をわかりやすく堅実に著述できた名著であると思う。

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    2018年11月11日

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