佐佐木幸綱の作品一覧
「佐佐木幸綱」の「NHK「100分de名著」ブックス 万葉集」「角川短歌ライブラリー」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
万葉集はご存じ、現存する日本最古の歌集です。7世紀前半から130年の長きにわたる歌を集めた万葉集について、わずか171ページの中で活き活きと伝えてくれていて、解説の書ではありますがとても楽しく読めました。
著者は歌人ではあるのですが、読み終わって印象に残ったのは、個々の歌よりもむしろ万葉集が作られた時代背景や、その時代に生きた人々の生活ぶりや心情のことでした。
あとがきを読むと、著者自身も「万葉の時代がどのように展開し、歌がどのように影響を受けていったかについて」書いたと述べていますので、
そのとおりの本になっていると思います。そのことで万葉の歌がさらに楽しめるようになりました。
万葉集には、宮廷での儀式としての歌、宴会での座興としての歌、個性が開花する歌人による歌、防人や方言の混じる東歌などいろいろな歌があることもあらためて理解できました。
万葉集というと素朴で、表現はおおらかで直裁的というイメージですが、政の儀式上の表現や戯れ歌、第4期あたりからは繊細な表現も見えるなど時代の流れも分かりました。
また、柿本人麻呂や山上憶良など名前のよく知られた歌人たちの多くは当時身分が低かったこと、編纂に当たった家持自身についても万葉集編纂後の人生についてはは全く足取りがつかめないという事実もわかりました。
もうひとつ面白かったことは、この日本最古の歌集について近代の研究家や著名な歌人がどのように評価していたのかについても書かれていたことです。斎藤茂吉、塚本邦雄など人によって評価ポイントが違うところが面白かったです。
最後の章で相聞歌の特集を載せていますが、万葉人の大胆な表現、繊細な表現に驚きました。
天皇から無名の庶民まで、男も女も、若い人も老人も、都の人も東国の人の歌も載っている万葉集、やっぱり魅力的だと思いました。
Posted by ブクログ
昨年ブク友さんの影響で短歌作りに再び興味を持った私、
年末に立ち寄った本屋さんでこの本を見つけ、購入しました。
前から著者の作風には惹かれるものがあり、さらに俵万智さんの師としても知られていること、ページをめくって興味のある歌人さんの歌が多かったので本書を選びました。
(実際に手に取って選べるのは本屋さんのいいところです)
内容は歌作りの基本の決まり事はもとより、その後の腕の磨き方、具体的には歌会に参加したり、添削を受けたり教室に行ったり、大会に応募することや結社について、スランプに陥ったときの乗り越え方、そしてその先にある歌集の出版法など、今さら人に聞けないことも書いてあって面白かったです。
印象に残ったことは、気に入った歌をまず十首暗唱すること、さらに”五十首暗唱すれば、短歌の音楽があなたの肉体に住みつきはじめたといえます”とのことです。これは以前他の有名歌人の方も似たようなことをおっしゃっていて、気に入った歌の暗唱って大事なんだなと改めて思いました。
他にはこれまで知らなかった歌人を知ることができたことも収穫でした。
たのしみは朝おきいでて昨日まで無かりし花の咲ける見る時 (生活を詠った江戸時代の歌人橘曙覧)
聞くやいかにうはの空なる風だにも松に音するならひありとは (夭折の天才少女歌人 宮内卿)
わが仕事この酔いし人を安全に送り届けて忘れられること (タクシードライバーの歌人 高山邦男)
知っている歌人の歌を改めて鑑賞できましたし、新たに出会うことができた歌人もいました。
今年は無理なく楽しみながら日常の短歌を詠めたらいいなと思っています。
Posted by ブクログ
はじめにのことばは印象的でした。
○自分の好きな歌を五十首くらいは暗唱する。
○五七五七七という「型」を習得する。「型」をマスターすれば「型破り」という夢も見えてくる。
○短歌を作ることは各自が「個性」と向き合うこと。
第一章知っておきたい短歌の基本
短歌の歴史
短歌と俳句の違い
短歌のルール
第二章実践 短歌を作ってみよう
作歌の心構え
短歌の言葉遣い
推敲する。推敲を重ねる
第三章短歌の表現テクニック
短歌の技法
第四章短歌の言葉の使い方 扱い方
和歌の表現方法
押さえておきたい文法
第五章短歌の世界をもっと広げる
短歌を発表する
短歌の結社に入る
短歌について勉強する
投稿や大会に挑戦
歌集を作る
この本も『はじめての短歌』に続けて読みましたが、あちらは実作中心でこちらは知識と文法が要だと思います。和歌の表現方法はかなり難しく、おさえておきたい文法は知らないとまずいと思いました。
短歌の勉強法では、自分のレベル(限りなくゼロに等しい)では、しばらく独学してから通信教育(月三千円程度だそうです)をうけるのが第一目標かなと思いました。でも、楽しそうです。
Posted by ブクログ
佐佐木幸綱
万葉集
個々の歌の理解は進まないが、万葉集の体系や背景は十分理解できた。130年かけて作られただけあって、たしかに壮大。年表を見るかぎり、記紀の存在が小さく見える
五穀豊穣を予祝する春の歌で始まり、よき未来を予祝する正月の歌で終わる構成は、ハレの神事とケの稲作農耕を思わせる。時代が変わるとともに 公的(政治的、儀礼的)な歌から、私的な歌に変化しているという指摘は なるほどと思う
4つ時代区分のうち、一番興味深いのは、最後の4期。大伴家持、大伴坂上郎女、東歌を解説とともに読んでみたい。古語すら読めないのに、東歌の方言まで出てきて カオス
*初期万葉集に見られる混沌
個人が短歌という定型歌を作る前に、集団の歌〜複数の声を抱き込んだ歌があった〜個人の歌にみられない混沌
*おのがじし
人それぞれ、めいめいの意味
おのがじしの生き方が現れてさ、個の抒情が芽生える
万葉集の多彩さ
*気分
後期万葉集の時代は、個の自覚が進み、孤独を歌う歌が多くみられる
気分という流動的かつとらえどころのない心の状態
3つの部立
*雑歌〜儀礼、行幸、旅、宴席など公的な場で作られた重要な歌
*相聞〜男女の恋を歌う私的な歌
*挽歌〜葬送の歌、辞世の作
挽歌
いかさまに思ほしめせか(どう思いになったのか)は、挽歌のキーワード
万葉集第1期
*舒明天皇から壬申の乱(672)
*宴席の歌〜コミュニケーションツール(共通言語)としての挨拶歌、季節歌
*言霊の宿る歌 額田王
*天智天皇挽歌
言霊信仰〜言(言葉)の持つ霊力が事(現実)を引き寄せる
国つ神(山の神、川の神)と次元の違う天つ神(天皇)が全国を統一し、神々の中央集権制度をしいた
旅の楽しさ、旅愁がうたわれはじめたことが万葉集の旅の歌の特徴
万葉集第2期
*奈良還都(710)まで
*壬申の乱を勝ち抜いた天武天皇の讃歌
*柿本人麻呂 持統天皇の吉野行幸(吉野讃歌)
持統天皇の吉野行幸
大化の改新、壬申の乱を経て、律令制が軌道にのる。吉野は、天武・持統王朝の聖地
万葉集第3期
*山上憶良 没年(733)まで
*都市生活と個
*長歌から短歌へ
万葉集第4期
*天平宝字759年正月まで
*大伴家持
*大伴坂上郎女〜女性で最も多い歌を万葉集に残した
大伴家持 共通テーマ
音、声によって物悲しさ、愁いが深められていく。春愁の「気分」
東歌(東国で採集された歌)の特徴
*東国の方言の入った歌〜一時一音表記
*序詞のある歌〜意味のある序詞と意味がない序詞がある
*労働の民謡の歌
*防人歌(東国から徴集され九州で沿岸の防備についた者たちが作った歌)
*人妻に恋する歌
*若い恋人同士が親に反抗しつつ恋愛をしている歌
*愛を誓う誓約の歌
*恋歌のなかによく出てくる雨の歌がない〜都の人は雨が降ったら逢えない
*潮の歌〜東歌では、潮が満ちてくると逢えない
*月の歌〜月が山に入ったらもう逢いにいけない〜東歌も都の歌も変わらない