【感想・ネタバレ】NHK「100分de名著」ブックス 万葉集のレビュー

あらすじ

はじめに和歌があった

7世紀前半から8世紀半ばまでの歌、およそ4500首が収められた日本最古の歌集『万葉集』。額田王、柿本人麻呂、山上憶良、大伴家持……。大きく4期に分けられる作風の変化を代表的歌人の歌で辿りながら、日本人の心の原点を探る。恋の歌を厳選した特別章「相聞歌30首選」を収載!

[内容]
はじめに 混沌・おのがじし・気分
第1章 言霊の宿る歌
第2章 プロフェッショナルの登場
第3章 個性の開花
第4章 独りを見つめる
万葉集の時代 年表
ブックス特別章 相聞歌三十首選
あとがき

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Posted by ブクログ



佐佐木幸綱
万葉集

個々の歌の理解は進まないが、万葉集の体系や背景は十分理解できた。130年かけて作られただけあって、たしかに壮大。年表を見るかぎり、記紀の存在が小さく見える


五穀豊穣を予祝する春の歌で始まり、よき未来を予祝する正月の歌で終わる構成は、ハレの神事とケの稲作農耕を思わせる。時代が変わるとともに 公的(政治的、儀礼的)な歌から、私的な歌に変化しているという指摘は なるほどと思う


4つ時代区分のうち、一番興味深いのは、最後の4期。大伴家持、大伴坂上郎女、東歌を解説とともに読んでみたい。古語すら読めないのに、東歌の方言まで出てきて カオス


*初期万葉集に見られる混沌
個人が短歌という定型歌を作る前に、集団の歌〜複数の声を抱き込んだ歌があった〜個人の歌にみられない混沌

*おのがじし
人それぞれ、めいめいの意味
おのがじしの生き方が現れてさ、個の抒情が芽生える
万葉集の多彩さ

*気分
後期万葉集の時代は、個の自覚が進み、孤独を歌う歌が多くみられる
気分という流動的かつとらえどころのない心の状態

3つの部立
*雑歌〜儀礼、行幸、旅、宴席など公的な場で作られた重要な歌
*相聞〜男女の恋を歌う私的な歌
*挽歌〜葬送の歌、辞世の作

挽歌
いかさまに思ほしめせか(どう思いになったのか)は、挽歌のキーワード

万葉集第1期
*舒明天皇から壬申の乱(672)
*宴席の歌〜コミュニケーションツール(共通言語)としての挨拶歌、季節歌
*言霊の宿る歌 額田王
*天智天皇挽歌

言霊信仰〜言(言葉)の持つ霊力が事(現実)を引き寄せる

国つ神(山の神、川の神)と次元の違う天つ神(天皇)が全国を統一し、神々の中央集権制度をしいた

旅の楽しさ、旅愁がうたわれはじめたことが万葉集の旅の歌の特徴


万葉集第2期
*奈良還都(710)まで
*壬申の乱を勝ち抜いた天武天皇の讃歌
*柿本人麻呂 持統天皇の吉野行幸(吉野讃歌)

持統天皇の吉野行幸
大化の改新、壬申の乱を経て、律令制が軌道にのる。吉野は、天武・持統王朝の聖地

万葉集第3期
*山上憶良 没年(733)まで
*都市生活と個
*長歌から短歌へ


万葉集第4期
*天平宝字759年正月まで
*大伴家持
*大伴坂上郎女〜女性で最も多い歌を万葉集に残した

大伴家持 共通テーマ
音、声によって物悲しさ、愁いが深められていく。春愁の「気分」

東歌(東国で採集された歌)の特徴
*東国の方言の入った歌〜一時一音表記
*序詞のある歌〜意味のある序詞と意味がない序詞がある
*労働の民謡の歌
*防人歌(東国から徴集され九州で沿岸の防備についた者たちが作った歌)
*人妻に恋する歌
*若い恋人同士が親に反抗しつつ恋愛をしている歌
*愛を誓う誓約の歌
*恋歌のなかによく出てくる雨の歌がない〜都の人は雨が降ったら逢えない
*潮の歌〜東歌では、潮が満ちてくると逢えない
*月の歌〜月が山に入ったらもう逢いにいけない〜東歌も都の歌も変わらない



















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2024年04月04日

Posted by ブクログ

「混沌」、「おのがじし」、「気分」という3つの観点から万葉集がどんなものか大掴みに味わうことができる。これを読むと、もっと万葉集に収録された歌の「万の時代」を知りたくなる。

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2020年02月01日

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