あらすじ
はじめに和歌があった
7世紀前半から8世紀半ばまでの歌、およそ4500首が収められた日本最古の歌集『万葉集』。額田王、柿本人麻呂、山上憶良、大伴家持……。大きく4期に分けられる作風の変化を代表的歌人の歌で辿りながら、日本人の心の原点を探る。恋の歌を厳選した特別章「相聞歌30首選」を収載!
[内容]
はじめに 混沌・おのがじし・気分
第1章 言霊の宿る歌
第2章 プロフェッショナルの登場
第3章 個性の開花
第4章 独りを見つめる
万葉集の時代 年表
ブックス特別章 相聞歌三十首選
あとがき
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
万葉集はご存じ、現存する日本最古の歌集です。7世紀前半から130年の長きにわたる歌を集めた万葉集について、わずか171ページの中で活き活きと伝えてくれていて、解説の書ではありますがとても楽しく読めました。
著者は歌人ではあるのですが、読み終わって印象に残ったのは、個々の歌よりもむしろ万葉集が作られた時代背景や、その時代に生きた人々の生活ぶりや心情のことでした。
あとがきを読むと、著者自身も「万葉の時代がどのように展開し、歌がどのように影響を受けていったかについて」書いたと述べていますので、
そのとおりの本になっていると思います。そのことで万葉の歌がさらに楽しめるようになりました。
万葉集には、宮廷での儀式としての歌、宴会での座興としての歌、個性が開花する歌人による歌、防人や方言の混じる東歌などいろいろな歌があることもあらためて理解できました。
万葉集というと素朴で、表現はおおらかで直裁的というイメージですが、政の儀式上の表現や戯れ歌、第4期あたりからは繊細な表現も見えるなど時代の流れも分かりました。
また、柿本人麻呂や山上憶良など名前のよく知られた歌人たちの多くは当時身分が低かったこと、編纂に当たった家持自身についても万葉集編纂後の人生についてはは全く足取りがつかめないという事実もわかりました。
もうひとつ面白かったことは、この日本最古の歌集について近代の研究家や著名な歌人がどのように評価していたのかについても書かれていたことです。斎藤茂吉、塚本邦雄など人によって評価ポイントが違うところが面白かったです。
最後の章で相聞歌の特集を載せていますが、万葉人の大胆な表現、繊細な表現に驚きました。
天皇から無名の庶民まで、男も女も、若い人も老人も、都の人も東国の人の歌も載っている万葉集、やっぱり魅力的だと思いました。