他人の弱さを受け入れることで、自分の存在意義を見出そうとすることはたぶんよくあることだと思う。
ほとんどの人は、自分の弱さも他人の弱さも受け入れることなく、目をつむり、見えないものとして扱うことで、健康に生きている。たぶん著者は、自分の弱さを受け入れることができ、そして、弱さを埋めるために他人の弱
...続きを読むさを受け入れようとしていた。
もし著者(彼)に弱さを見せる彼女が、著者との関係の中で強くなることがあるなら、彼は存在意義を見つけることができるし、彼女もまたコナトゥスを強化するという相乗関係ができあがるだろう。それはとても強靭な関係なように思う。
しかし、彼は彼女を変えることはできない。
おそらく彼女が目指すべきなのは依存関係ではなく自律であり、彼の寛容さは自律のきっかけにはなってもその本質を構成しえないからだ。
ナンパは自傷だと、帯にも書かれていたが、外界の自己への侵入の痕跡を望んだところで、弱さが本質的に消えるわけではない。