作品一覧

  • 港たち
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    島に帰ろう。家族の声を聞きに。 お盆を迎え、久しぶりに九州のとある離島に集まった吉川家の面々。 この島ではお盆の夜に、島ならではの行事が執り行われる。 その行事に向けて忙しなく動く家族の声を、敬子は眠たげに聞いていた――「港たち」 帰省先には、相変わらず酒に浸る父や、知り合いの家を飲み歩く男がいた。 昔のことに水を向けると、彼らは仕事で羽振りが良かった時代の武勇伝を語り出す。 この頃、社会はコロナ禍から回復しつつあった――「明け暮れの顔」 緩やかな坂の上にある教会風の建物で行われる、従妹の結婚式。 稔は煙草を一服するために式場の外へ出ると、空を旋回する鳶が目に留まった。 ふと、幼い頃の夏に、父と島で見た光景がよみがえる――「鳶」 ・・・・・・など、吉川家のとある1年間をたどる豊かな語りの5編を収録した、 芥川賞受賞作『背高泡立草』に連なる小さな島の物語。 【著者略歴】 古川真人(ふるかわ・まこと) 1988年福岡県生まれ。國學院大學文学部中退。 2016年「縫わんばならん」で第48回新潮新人賞を受賞しデビュー。 2020年『背高泡立草』で第162回芥川龍之介賞受賞。 その他の著書に『四時過ぎの船』『ラッコの家』『ギフトライフ』がある。
  • ギフトライフ
    3.6
    1巻1,980円 (税込)
    政府と企業により制度化された安楽死と人体実験のための生体贈与というギフトライフ制度。提供者の家族にはポイントが与えられる――人間の命の価値も変容するシステムの、老人や弱者の未来図の闇。優生思想の行き着く果てのディストピアは、もうすでに始まっているのかもしれない……人間の悪を問う、気鋭の長篇小説。
  • 縫わんばならん
    3.8
    1巻1,408円 (税込)
    九州長崎の漁村の島を舞台に、一族をめぐる四世代の来歴を女性の語りで綴る。ほころびていく意識から湧き出る声を聴き取り、「縫わんばならん」と語り継ぐ……「過去に、記憶に、声に、もっと深く、まっすぐ向き合っていきたい」――語り合うことで持ち寄る記憶の断片を縫い合わせて結実したものがたりは、意識の自在な流れを縦横に編み込んで人生の彩りを織り成す。
  • ラッコの家
    -
    1巻1,324円 (税込)
    見えないからこそ見えてくるものがある。夢とリアルが絶え間なく交錯する老女は、自らの空想に怯えていたことを笑い飛ばして生きる。 老女の“意識の流れ”を描く、第161回芥川賞候補作「ラッコの家」と、目の見えない兄の手助けをするため一緒に暮らす弟を描いた「窓」の二篇を収録。
  • 四時過ぎの船
    3.0
    1巻1,320円 (税込)
    島の漁村の古い家を片付けるために訪れた稔は、生きていたころの祖母佐恵子の日記を見つける。「今日ミノル、四時過ぎの船で着く」。そのメモに中学一年の時にひとり祖母を訪ねてきた自分を思い出し、忘れかけていた祖母のことが、稔の胸に強く響いてくるのだった……生き迷う青年の切実な現実を、老いていく時間の流れと照らして綴る。
  • 背高泡立草
    3.3
    1巻506円 (税込)
    「別に良いやん、草が生えてたって。誰も使わんっちゃけん」大村奈美は、不機嫌だった。何故空き家である母の実家の納屋の草刈りをするために、これから長崎の島に行かなければならないのか。吉川家には〈古か家〉と〈新しい方の家〉があるものの、祖母が亡くなり、いずれも今は空き家に。奈美はふと気になって、伯父や祖母の姉にその経緯を聞くと、そこには〈家〉と〈島〉にまつわる時代を超えた壮大な物語があった――。第162回芥川龍之介賞受賞作。書き下ろし短編「即日帰郷」も収録。

ユーザーレビュー

  • ギフトライフ

    Posted by ブクログ

    私は好き
    こういう世の中になりそう
    テレビ・ラジオなし肉なし専業の労働者なし風俗なし恋愛なしスマホなし金銭なし電子マネーすらなし

    あるのはポイントと制度による飼いならし支配のみ
    作者さんすごいなー、、
    キモいし読後感良くないけど、安楽死だけは賛成

    0
    2025年05月09日
  • 縫わんばならん

    Posted by ブクログ

    方言の正しさに思わず手に取った。

    モデルとなっている島は、おそらく私の親戚たちの住まう島(いずれにせよ近くの近くの島)だと思う。
    方言や、各人のふるまいから、会話まで、あまりに自然で不思議な感じがした。
    都会から離れた島にある、世間から乖離した空気感と、敬子の夢の現実の行き来が重なることで、そこで交わされた言葉や感情たちが代るがわる鮮明になったり、ぼやけたりして、なんとも不思議な読み心地だった。

    0
    2025年07月26日
  • 港たち

    Posted by ブクログ

    声、記憶、家族、生きている/いない、すべての混沌が当たり前のように混沌のまま島に揺蕩っているそのなんと豊穣なことだろう。他所のウチの話なのに“久しぶりに帰ってきた”と感じてしまうこの不思議さや、吉川の人たちへの愛おしさを再び感じられたことは、単純な小説の面白さ楽しさを超えて読むことの充足を私に与えてくれた。とても幸福な収穫だった。

    0
    2025年03月08日
  • 背高泡立草

    Posted by ブクログ

    途中までなんだかうまく読めなくて、しんどいよ〜と思ってしまってた。でも、そんな中盤を抜けるとどんどん読みやすくめり込んでいった。私の読むのが下手だっただけだった。あとあと全体構成を考えたらとっても面白かったし、読み返したら面白いな〜、人々の暮らしはいつでも何気ない積み重ねとドラマがあるんだなと思った。どの土地もそう。私も明日仕事だ。時間の流れ方はやっぱりちがうよな、でもだからこそお休みとか遠方に出かけるのが楽しくなるんだろうな。

    本屋でパケ紹介文買したけどよかった。

    0
    2025年01月13日
  • ギフトライフ

    Posted by ブクログ

    近未来の日本のような世界。
    安楽死、出生率、災害対策、高度監視社会をはじめとして、今の社会問題がみっちりと詰め込まれていた。
    最後はいじめで終わった。いじめた側はそのことをスルッと忘れてしまう。後味の悪さを感じた。
    施設にいた重度不適性者たちはどこに行ってしまったのか。

    0
    2024年07月15日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!