現在の新興国各国の現状をリポートした書です。
新興国では、インターネット+PC よりも、スマホが爆発的に普及が進んでいる。そのことをデジタル化といい、その影響を考察していきます。
世界の潮流はアメリカから中国へというのが流れだと感じました
デジタル化の特徴
・売り手と買い手の「情報の非対称性」の削減:価格の透明性の確保
・試行錯誤の回数を多数のベンチャー企業によって増やす仕組み 技術革新⇒社会革新へ
・デジタル化がもたらす3つのリスク ①説明責任の欠如した情報統制、②技能教育なき自動化とそれによる不平等、③競争の欠如による独占
・新興国の発展を加速度化する仕組み、「後発性の利益」:先進国で確立した技術や経営方式を導入できるがゆえに、より急速に事業を成長させ、先進国を追いかけることができる
⇒固定電話の時代なしに、いきなり携帯電話の時代に入ることができた。
・デジタルが生み出す雇用 ①IT人材、②デジタル・クリエイター人材、③ラスト・ワンマイル人材
・ドローン、空撮の民主化とともに、空爆の民主化も
■新興国発展の論点 発展途上国は4段階で発展を行う
①南北問題の時代 1970年代
発展途上国VS先進国、宗主国との関係、構造主義(国の構造が違うという論)
②工業化の時代 1980~1990年代
新興工業国VS先進国、外向きの成長政策(労働集約的な製品生産の輸出)、後発性の利益
③市場の時代 2000~2010年代
デジタル新興国VS先進国 人口が多い国の経済成長
④デジタル化の時代 2010年代~
■信用経済の創造:リスク管理と信用の創造 プラットフォームがもたらす信用
・供給の精度や取引先の選定、シグナリングの提供
・仲介者を介在させることによって取引を担保する
⇒ 通信会社の口座を使うことで銀行口座を持たない信用取引の成立
少額ローンといった金融サービスの提供
■中国の台頭
・QRコード決済
・ラストワン向けの物流管理システムの提供
・アメリカにもない仕組み:スーパーアプリ:統合的スマートフォンアプリの存在
・川底の石を触りながら川を渡る(計画経済が川の手前、市場経済が川の向こう岸)
・中国の監視システムをシステムごとと他の国に販売する。強権的な政治体制がデジタル技術を駆使した監視や検閲を通じて行う統治:デジタル権威主義
・米中新冷戦時代 既存の権威アメリカに対して、一帯一路構想の中国
■東南アジア
・カンボジア、ラオス、ミャンマーはITは中国の影響下に、製造業貿易分野は日・米・欧に
・人口が多い国、ブラジル、メキシコ、コロンビア、アルゼンチンがインタネットの利用時間が多い
■ナレンドラ・モディ政権の「デジタル・インディア」プロジェクト
・個人生体認証、IDの発行と証明書発行の電子化
・政府調達の透明化とIT化
・初等中等教育向けの遠隔教育サイトの整備
・農業関連技術の透明化と発信
・Eガバメント
■アフリカの発展
・テックハブ インキュベーションセンター、コワーキングスペース、アクセラレータの提供 ナイジェリア、南アフリカ、エジプト、ケニア等
■南米
・ベネズエラ:ビットコイン消費世界第3位
■SDGsとデジタル化との関連
目標9 強靭なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進およびイノベーションの推進を図る。
目標5 ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児の能力強化を行う
目標8 包摂的かつ持続可能な経済成長およびすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する
目次は、以下です。
序章 想像を超える新興国
第1章 デジタル化と新興国の現在
第2章 課題解決の地殻変動
第3章 飛び越え型発展の論理
第4章 新興国リスクの虚実
第5章 デジタル権威主義とポスト・トゥルース
第6章 共創パートナーとしての日本へ
あとがき
参考文献