伊藤亜聖のレビュー一覧
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現在の新興国各国の現状をリポートした書です。
新興国では、インターネット+PC よりも、スマホが爆発的に普及が進んでいる。そのことをデジタル化といい、その影響を考察していきます。
世界の潮流はアメリカから中国へというのが流れだと感じました
デジタル化の特徴
・売り手と買い手の「情報の非対称性」の削減:価格の透明性の確保
・試行錯誤の回数を多数のベンチャー企業によって増やす仕組み 技術革新⇒社会革新へ
・デジタル化がもたらす3つのリスク ①説明責任の欠如した情報統制、②技能教育なき自動化とそれによる不平等、③競争の欠如による独占
・新興国の発展を加速度化する仕組み、「後発性の利益」:先進国で -
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本書でいう新興国の代表としては、中国とインドを思い浮かべればよいかと思います。
また、新興国のうち、とくに中国については、近年は、ITやAIなどのデジタル化技術によりGDPが伸びているわけですが、その光の面と闇の面を丁寧に説明した本だと思います。
中国をはじめとする新興国では、金銭やビジネスのやりとりにおける不正や不確実性の抑制が長年の課題だったわけですが、ITはそれらの解決に大きく寄与し、それゆえ、国民にも受け入れられていき、その結果、新興国のGDPは今でも伸びているわけです。
しかし、その裏には、これまたITを利用することで、個人情報をはじめとする、様々な情報の管理や統制があるわけで(表 -
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デジタル化する新興国は、高度経済期の日本のような気がする。その熱気と技術力は、アメリカなど欧米諸国を席巻した。今の日本は、1970年代のアメリカのようだ。そのことがよくわかる新書だった。
ただ、日本が取るべき戦略として提唱されているのは、新興国に学び、ルール作りに積極的に参加ましょうというものだ。
・好奇心と問題意識のアンテナを広げ、日本の技術や取り組みを活かす
・同時に新興国に大いに学び、日本国内に還流させる
・デジタル化をめぐるルール作りには積極的に参画する
・民間企業が新興国の新分野で協業を広げるための支援を行う
学ぶのはいいのだが、キャッチアップばかりではレッドオーシャンに飲み込ま -
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トライアンドエラーを繰り返す土壌ができた深セン、
品質テストを実施して品質担保してから出荷する日本では
スタートアップのスピード感が異なる。
「製品の新機能が正しく動くよりも、その機能が受け入れられるかを見るほうが大切」
深センはサプライヤーも集結しているので、
低価格の部品がすぐ手に入りやすく低ロットでのモノ作りにコストや時間がかからない。
手を動かすことでトライアンドエラーを繰り返し、コミュニティが形成されていったことで深センはテクノロジー都市になっていった。
元々深センは工業都市で、サムスンやフォックスコンなどの外資の下請工場が存在していた。
下請製造で得た知識で大手の模倣品を作り低 -
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中国やアメリカの力強さの根源がよくわかる。コロナという一大事件があったが人の本質は変わらないと思うし、今後数十年はこの主流が続いて行くと思えるので安心して中国とアメリカに投資を続けようと思えた。
また、日本に向けてアドバイスも書いてるが個人的に思うに、日本は中国とアメリカと同じような場所で戦うのを目指すべきではないと思う。
そもそも、社会の仕組みや気質その他諸々が向いてない。
コロナ後で半導体に投資するといったニュースをみたが、他の国に比べたらえ?これっぽっちっていう金額しか出せない。
戦う場所を間違えてる気がする。今のままの状態で、技術の進歩により日本語の鉄壁ガードを取り除かれたらどう -
Posted by ブクログ
前半では、中国、インド、アフリカ諸国等新興国の、後発性の利益を活用し、一部では飛び越え型(リープフロッグ)発展まで至っているデジタル化の急速な進展状況を具体的な事例により紹介している。
後半では、雇用への負の影響があるかどうか、またテクノロジーによる監視国家化への憂慮など、リスク面にも考察がされている。
単に事例が紹介されているだけではなく、開発経済学的なフレームワークなどに依拠した議論もされており、勉強になる。
デジタル化の遅れが言われる日本における今後の在り方や、これらの国々との立ち位置はいかにあるべきかといった問題を考える上で参考になると思われる。
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中国の深圳がどのように発展していったのかを知りたくて、この本を読み始めた
頭でっかちな計画を立てるよりも、手を動かしていく中で正解を探していくプロトタイプ駆動。そのプロトタイプ駆動をより正確に行うために必要なコミュニティが、新興国などの新たな都市に芽生えている。プロトタイプ駆動とその実践の場、すなわちプロトタイプシティの新たな時代が始まっている
まず世界経済はこの30年間で大きく成長した。アメリカのGDPは1990年の6兆ドルから、2017年には19.3兆ドルと3倍強にまで成長しているのに対し、日本のGDPは3.13兆ドルから4.87兆ドルへと1.5倍にしか増えておらず、中国やベトナムは3 -
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深圳に代表されるような中国のテクノロジー動向の第一線の研究者として知られる著者が、デジタルテクノロジーが新興国に与える影響を、機会とリスクの両面からバランス良く考察した良書。
特に機会を巡るパートにおいては、製造業が主力産業であった1960-80年代の国内産業の保護政策などの歴史を踏まえた上で2000年代後半以降の中国におけるITサービスの保護政策をとらえなおす観点は面白い。というのも、最終的にGreat FirewallによってGAFAに代表される米国ITサービスを遮断したのは事実であるにせよ、オープンソースソフトウェアなどへのアクセスについては遮断しなかったことが、アリババ、テンセントな