深谷忠記の作品一覧
「深谷忠記」の「一七七文字の殺人」「愛の死角 京都~東京殺人ライン」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
元暴力団員畑村順次を刺殺したとして逮捕された矢代昌宣は、一旦は犯行を自供しますが、裁判では一転して犯行を否認、無罪を主張します。堀内利勝警部が発見した物証、血のついたシャツには決定的証拠とするには疑わしい点がありましたが、結局、滝川実を裁判長とする裁判官らは、矢代に有罪判決を下します。矢代は服役中も無罪を訴え続けますが、結局獄中で病死します。菊山事件と呼ばれるこの事件は、近しい関係者以外には忘れられていきますが、この事件を決して忘れない、矢代が犯人でないことを知っている人間がいました。それは真犯人です。
何年も後、遠く離れた場所でひき逃げ死亡事件が発生します。被害者は、菊山事件を裁いた元裁判長滝川実、加害者として拘留されたのは、同じ事件で捜査の中心だった元警部堀内利勝でした。堀内は一旦は犯行を自供するものの、後に無罪を主張、そうする中で、自分は計略に嵌り、自らの強引な捜査で有罪とされた菊山事件の矢代と同じ立場に立たされていることを知ります。
この本のテーマは冤罪です。自白を後に翻す容疑者に対し、やってもいないことを自供するはずがない、あれは最後のあがきだなどと私たちは思いがちですが、作者は本の題名の通り、虚偽の自白に導かれる風景を説得力を持って描いていきます。証拠を捏造したり、自白を強要したりする捜査官に、罪の意識はほとんどありません。それは彼らが非人間的だからではなく、彼らは状況から被疑者の有罪を確信していて、運悪く決定的証拠がないだけだと考えているからです。自分たちの行為が正義だと思っている以上、彼らの良心が暴走を止めることは期待できないでしょう。
この本はミステリーなのですが、作者にはまず描きたかった題材として冤罪の構造があり、ミステリー作家である以上、それをミステリーを通して表現した、私にはそんな風に感じられました。だからといって娯楽性が低いわけでは決してなく、人間の挫折、偶然事件に巻き込まれる理不尽さ等を考えながら、最初から最後まで飽きることなく一気に読めます。結末も、先を読むのが得意でない私には意外でした。社会派ミステリーの傑作であり、お勧めの本です。
Posted by ブクログ
病院内で筋弛緩剤が盗まれた直後、入院患者が殺された。
死因は筋弛緩剤の投与。
殺された入院患者は、妻に対するDV、看護師に対するわいせつ行為、他の患者や医師に対して暴言を吐く問題の多い人物で、誰にも殺害の動機があった。
事件に潜む“毒”とは・・・。
以前テレビ番組『超再現!ミステリー』で取り上げられたものなので、ご存知の方も多いかも?
番組を見る前に本を買っていて、よりによって読む前に番組を見てしまったのですが。
原作は、再現ドラマよりも深く濃いものでした。
ドラマには出て来なかった人物やエピソードが多かったので、またちょっと違う話のようにも見えました。
犯人がわかっている状態で読んだので、その人物に注目して読み進めましたが、それでもやっぱりそんな素振りがない。
どんでん返し最高です。