押野素子の作品一覧
「押野素子」の「バットマン:アーカム・アサイラム[増補改訂版]」「ザ・メモリー・ライブラリアン」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
スタンフォード大学の学生にレイプされた著者のメモワール。崩壊する日常、遅々としてすすまない司法手続き、裁判でずたずたに踏みにじられる尊厳。なぜか加害者は尊重され、被害者である著者は、泥酔して記憶もなくし、すでに社会人なのにもかかわらず大学のフラタニティのパーティーにのこのこ出かけていった浅はかな女として扱われる。微に入り細をうがつ屈辱的な質問の数々、人の都合など無視して延期が繰りかえされる裁判日程。それらすべてが、大変な重荷としてのしかかってくることが、ほぼ、体感として迫ってくる。そのすさまじい筆力に圧倒された。
陪審員裁判で有罪を勝ちとり、判決前に執筆して読みあげた陳述書はバズフィードで1500万回も閲覧された。それほどの大きな波を起こしたのにもかかわらず、判決は加害者に徹底的に甘いものだった――。
何度も何度も、打ちのめされる瞬間が襲ってくる。それでも著者を支えたのは、やさしさで包んでくれる身のまわりの人たちや、連帯してくれる名も知らぬ数多くの人々だった。やがて人々の怒りは大きなうねりとなって、甘い判決を下した判事の罷免へとつながっていく。
その後、本書を書きあげた著者は、大きな決断をして、本名でこの本を出版。全米批評家協会賞を受賞した。
事件から10年。彼女は今、児童書の執筆を始めている。これからの彼女にも注目していきたい。