ロジカルリスニング
著:船川 淳志
出版社:ダイヤモンド社
なぜ、話がかみあわないのか、という疑問に答えるのが本書だ
リスニング、つまり、「聞くこと」とは、コミュニケーションの中でもっとも重要な能力であるにもかかわらず、これまで、ハイライトされてこなかった。つまり、「聞くこと」を改善すれば、その伸びしろがあって、コミュニケーション能力が伸長される が本書の主張だ
気になったのは、以下です。
話すには、感情で話す人、論理で話す人に分れる
聞く、と、考える、は両立できる、というか、ロジカルリスニングとは、考えながら聞く、左脳、右脳をフルに活用した積極的な聞き方である
聞く、と、考える、を別々に処理してきたから伸びなかった、それを、スキルの分離という
そうすると、コミュニケーション不全がおきる、国どうしでは、そうなると戦争がおきる。だから戦争はなくならない
話せばわかる、とは幻想だ
人を意のままに動かすなんて考えるのも、人間の驕り以外の何のでもない
そこで、観察すること、聞くこと、が重要になる
コミュニケーションの4大要素で最も大切なのは、聞く
聞く(45%)、話す(30%)、読む(16%)、書く(9%)
聞くは受信系であるが、能動的に聞く必要がある、それを、アクティブリスニングという
対人思考力の4つのステップ
①自分の頭で物事を組み立てる
②自分の頭で組立てたものを、人に分かりやすく伝える
③相手の話を聞きながら、相手が頭の中で組み立てたことを理解する
④複数の相手とお互いの考えを交換し、共有しながら、問題解決や、新たな考えを共有する
ロジカルリスニングの3つの能力
①知性:知識と思考力
②感性:対人感受性、オープンマインド
③理性:自己認知力、自己管理力 つまり自分自身を知る
メラビアン効果:言語よりしぐさ、声のトーン、表情等の非言語の力が重要である
聞こえるものは、情報の一部にすぎない
異文化を理解するためのフレームワーク D.I.E
D:事実、取り入れた情報を描写する
I:解釈する
E:評価する
思考を活性化する7つのヒント
①思考力に限界はない
②一問十答 答えは1つじゃない
③両面思考 プラス面とマイナス面を配慮する
④ことばを研ぎ澄ませ 一人連想ゲーム ことばを置き換える
⑤思考モードをシフトさせる 拡散⇔絞り込み、抽象性⇔具体性
⑥いつも心に氷山を 見えない問題を考える
⑦汝、自身を知れ 自己認識力
対話はダイアローグであって、ディベート(討論)ではない
コンフリクトの5つのオプション
①共創
②競争
③服従
④妥協
⑤回避
目的は議論に勝つことではなく、共感を得ること
①耳で聞く
②頭で聞く 理解を得る
③心で聞く 共感を得る
実践のヒントは、ジョハリの窓にあり
目次
はじめに
コミュニケーションの質を高めるために欠かせないスキル
「傾聴受容」と「論理検証」の2つの作業を同時に行う
放置されていたコアスキル
第1章 なぜ、ロジカルリスニングが重要なのか?
1 ロジカルシンキングの普及で見えてきたこと
2 ロジカルリスニングは思考力+対人力
3 分断された「思考力」と「対人力」
4 バリューチェーンを動かすもの:「コミュニケーションの木」
5 コミュニケーション不全の危機:破綻した「阿吽の呼吸」
6 『バカの壁』の功罪:「話せばわかる」は大ウソか?
7 受信系から鍛えよ——「聞き下手」は「話し下手」ほど目立たない
8 対話不在では「多異変な時代」を乗り切れない
COLUMN 1
クリティカルシンキングとロジカルシンキングはどう違う
第2章 ロジカルリスニングに求められるものは?
1 対人思考力の4つのステップ
2 高めておきたい3つの保有能力
3 感性なき「質問力」では相手は答えてくれない
4 ロジカルリスニングの発揮能力
5 重要な言語以外のインプット
6 場を読むコンテクストリテラシー
7 「聞く」ための出力とは
8 自分をモニターする力
COLUMN 2
MBTI (マイヤーズ・ブリッグス タイプ インディケーター)
COLUMN 3
NLP(Neuro-Linguistic Programming)神経言語プログラミング
第3章 コミュニケーションの本質
1 矮小化されたコミュニケーション能力
2 聞こえるものは一部にしかすぎない
3 評価をすると入力は制限されやすい
4 相手の理と意図を理解する
5 私のコミュニケーションスキルの学び方
6 発信する際は「コミュニケーションは受け手がきめる」を心がける
7 WhoとHowによって受け止め方は異なる
8 コミュニケーションはアタマも使う
9 「生協の白石さん」にみるロジカルリスニング
第4章 ロジカルリスニングに必要な思考力を鍛える
1 思考停止では会話はできない
2 アタマの生活習慣病になっていないか?
3 思考の歪みや偏りは誰にでもある:メタ思考のすすめ
4 思考を活性化する7つのヒント
5 クリティカル思考とクリエィティヴ思考
6 論旨をトレースするクリティカル思考
7 クリティカル思考を鍛えるには
8 集合の輪をビルトインする
9 演繹と帰納
10 クリティカルリーディングは電車の広告で
11 話しことばで鍛える論理力
12 思考の三大基本動作:分けて、まとめて、置き換える
COLUMN 4
ダイバーシティ
13 漱石に隠されたMECE
第5章 ロジカルリスニングの実践——話を引き出すには
1 ロジカルリスニングの難易度
2 「受容・共感」モードと「探索・検証」モード
3 効果的な相槌とは
4 「探索・検証」モードの実践
5 「なぜ?」と聞かずに「なぜ」を聞く——コロンボメソッドとリフレクティブリスニング
第6章 かみ合う議論をするために必要なこと
1 講演会の質疑応答からのレッスン
2 政治家との対話からのレッスン
3 詭弁に克つロジカルリスニング
4 効果的な反論の仕方
5 「でも」「そうじゃなくて」:口癖に注意!
6 ディベートからダイアローグへ
第7章 集団の中でのロジカルリスニング
1 コミュニケーションのとり方はチームの成果を左右する
2 ロジカルリスニングはチームシナジーを創出する
3 グループシンク(集団思考)の罠に気をつける
4 コンフリクトマネジメントに重要なロジカルリスニング
5 会議を活かす対人思考力
6 ファシリテーターのためのロジカルリスニング
7 リーダーにこそ求められるロジカルリスニング
第8章 “ロジカルリスニング”を超えて
1 ロジカルリスニングはアート オブ バランス
2 「間」を極める
3 「相抜け」を目指して
4 既知の確認から未知の発見、そして未知の協創
ISBN:9784478770238
出版社:ダイヤモンド社
判型:A5
ページ数:248ページ
定価:2200円(本体)
2006年11月30日第1刷発行