作品一覧

  • レモンケーキの独特なさびしさ
    3.7
    1巻2,420円 (税込)
    「種明かしをするわけにはいかないので、ここではただ、この本を書いているあいだ、感じやすい(sensitiveである)とはどういうことかについてたくさん考えていた、とだけいっておきましょう」――エイミー・ベンダー 9歳の誕生日、母がはりきって作ってくれたレモンケーキを一切れ食べた瞬間、ローズは説明のつかない奇妙な味を感じた。不在、飢え、渦、空しさ。それは認めたくない母の感情、母の内側にあるもの。 以来、食べるとそれを作った人の感情がたちまち分かる能力を得たローズ。魔法のような、けれど恐ろしくもあるその才能を誰にも言うことなく――中学生の兄ジョゼフとそのただ一人の友人、ジョージを除いて――ローズは成長してゆく。母の秘密に気づき、父の無関心さを知り、兄が世界から遠ざかってゆくような危うさを感じながら。 やがて兄の失踪をきっかけに、ローズは自分の忌々しい才能の秘密を知ることになる。家族を結び付ける、予想外の、世界が揺らいでしまうような秘密を。 生のひりつくような痛みと美しさを描く、愛と喪失と希望の物語。

ユーザーレビュー

  • レモンケーキの独特なさびしさ

    Posted by ブクログ

    たまらなく愛おしい物語。
    エイミー・ベンダーは人間の感情を描くのがほんとに上手い。
    母親のこさえたケーキをかじった9歳のある時から
    食べ物をこさえた人の感情しか味として感じられなくなる少女が成人するまでの物語。
    この一家の秘密と、兄の悲しすぎる能力に衝撃をうける。
    人間は渇望と虚しさを飼い慣らして生きていくが
    それに食い殺されるのもまた、人間らしい気がする。

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    2021年01月22日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

    Posted by ブクログ

    エイミー・ベンダーは、はっとするような言葉で読者を引き寄せたりしない。訥々と単純な言葉を重ねてゆく。けれどもその言葉の組み合わせが穏やかではないので、とても非日常的な物語が展開する。しかしそれもよくよく眺めてみれば、誰にでもある小さな違和感を少しだけ別の出来事のように描いてみせるだけなのだ。決して大袈裟に言ったりしないだけで。

    sensitiveとtoo sensitiveの間のどこに線を引けばよいのか、という問い掛けが日本の読者に向けた作家の文章の中に出て来る。恐らくその疑問に対する物語であることが本書の全てであり、結果として、自分を取り巻く世界に対して生まれて初めて抱いた違和感が、実はま

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    2017年05月17日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

    Posted by ブクログ

    他の人の感情がわかればいいのに、と思ったことは何度かあるが、やはりそれはそれで苦労が多いと思う。
    寂しさは誰もが感じる感情で、それを癒すことができたら相手は頼りにするかもしれないが、自分の寂しさは癒えることがない。Sensitiveとover sensitiveの区切りがどこからか、という箇所が印象に残った。

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    2025年05月18日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

    Posted by ブクログ

    セリフにカギカッコがない

    エイミーベンダーはやっぱり文学的だなぁと思うし、表現が好きです!
    この本読んで、レモンケーキ作りたくなったので作ったんだけど、CHA-CHA-CHAを聴きながらるんるんで作ったのでそんな味がするのではないかと思います

    ローズとジョージの関係性が私のなかで嗜好でした

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    2024年06月14日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

    Posted by ブクログ

    独特なさびしさ、というタイトルそのまんまの読後感。これがさびしいってことなんだと思う。すっきりしなくて、飲み込めないけど、いつか分かる日が来るんだと思う。「すぎる」と「足りない」の間の線について。

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    2022年12月06日

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