エイミー・ベンダーのレビュー一覧

  • レモンケーキの独特なさびしさ
    たまらなく愛おしい物語。
    エイミー・ベンダーは人間の感情を描くのがほんとに上手い。
    母親のこさえたケーキをかじった9歳のある時から
    食べ物をこさえた人の感情しか味として感じられなくなる少女が成人するまでの物語。
    この一家の秘密と、兄の悲しすぎる能力に衝撃をうける。
    人間は渇望と虚しさを飼い慣らして生...続きを読む
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    エイミー・ベンダーは、はっとするような言葉で読者を引き寄せたりしない。訥々と単純な言葉を重ねてゆく。けれどもその言葉の組み合わせが穏やかではないので、とても非日常的な物語が展開する。しかしそれもよくよく眺めてみれば、誰にでもある小さな違和感を少しだけ別の出来事のように描いてみせるだけなのだ。決して大...続きを読む
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    独特なさびしさ、というタイトルそのまんまの読後感。これがさびしいってことなんだと思う。すっきりしなくて、飲み込めないけど、いつか分かる日が来るんだと思う。「すぎる」と「足りない」の間の線について。
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    まさに感受性という言葉にぴったりな物語だった。表現という表現がセンシティブ(本来の意味で)すぎる。このお話を読んでいるとまるでローズが何か人の作った食べ物を食べた時のようにローズの感情を感じられて、だんだんローズと同調してくるようで、一気に読むには少し重かった。少しインターバルが必要。文章の意味を追...続きを読む
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    食べ物から作った人の中身を読み取ってしまう9歳の少女ローズが、その能力故の辛さを抱えながら成長していくストーリー。
    ローズの天才的な理系少年の兄は成長とともに、自分より優秀な少年達が多く存在することを知って内にこもっていく。その兄には説明も理解もし難い能力がありローズだけがそれを理解する。
    この特殊...続きを読む
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    本当にこの人の翻訳がとても読みづらくて苦手。でもエイミーベンダーの小説の雰囲気は好き。でも私が読んでいるのは翻訳版のみ。結局私はこの読みづらい翻訳の雰囲気が好きなのか?

    "そんなにちがったことだったのだろうか、私がまだ工場で作られ自販機で売られる食べ物を食べるのを好んでいたことは?… そのころ私は...続きを読む
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    特殊能力やアリエナイコトが起こるこの物語を、ただ深い意味のないファンタジーと捉えることもできるかもしれない。
    でも、誰かの心の中で起こることは、その人の中での真実。現実とそうでないことの境目は、常に曖昧だ。自分には信じられないからと、それを嘲笑ったりたしなめたりすることが、なんの役に立つのだろう?
    ...続きを読む
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    面白かったです。エイミー・ベンダーの本を読むのは久しぶりでした。
    料理を食べると、作った人の感情が解ってしまう力を持つローズが哀しくも、でも料理に携わって生きていこうとする光を感じました。
    彼女の家族もつらくて…ローズの兄のジョゼフは世界を手離して、椅子になってしまうのでしょうか。そこがよくわからな...続きを読む
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    おもしろかった。半分くらいご飯の話していた気がするけど、主人公の能力の影響で、読んでいてもお腹がすいてこなかった。著者のあとがきの「感じやすい人々」という表現はなるほどそうかと思った。どこか発達していると人の感情の機微に気が付きやすくて、生きづらい。うまい呼吸の仕方を見つけられる人もいれば、特定のも...続きを読む
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    自分で料理している時、主人公のことがふとよぎる。
    その瞬間の自分のことを顧みさせて貰える。
    真摯に材料をかけあわせているかどうか。
    わたしも主人公が口にしてもなんとか飲み込んで貰えるものがつくりたい。。
    でもこわいな。
    ひとに食べてもらうってほんとはそうなんだろう。
    ひと をすきなひとが書いた物語だ...続きを読む
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    最初の、お誕生日にリクエストした、チョコレートのアイシングがたっぷりかかったレモンケーキ(なんて美味しそうなんだろ)を食べて、「ママとパパ、けんかしたの?」
    と、ママの寂しさ、空虚感に気づいてしまうシーン!これを読んだらもう最後まで知りたくなる。小さなローズの繊細さ、食べ物に、特に母の作る食べ物にと...続きを読む
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    九歳の誕生日の週、ローズは食べ物の中に潜む味がわかるようになった。

    チョコレートチップは工場製なので、かすかに金属的で上の空みたいな味がするし、バターは室内で飼われた雌牛からとったものなので、ゆったりとした味わいに欠けているーーーこうした材料のすべてが遠くでぶんぶんと唸るような音を立てていて、ぜん...続きを読む
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    "ガーリーもの”好きな人たちには、とっても受けそう。
    感じやすいって生きにくいんだけど、そのずっとずっと先に違う地平もあるんだよ、と言ってあげたくなる。
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    誰かが孤独を抱えていてもなぜ孤独なのかまではわからなかったりするだろうし、その孤独を自分が癒せないことだって往々にしてあるのだろう。

    食べ物の味で作り手の感情がわかる、という一見ポップな設定ながらも、訥々とした書き振りで、また、それぞれが孤独を抱えており、それが癒されることもないという物語だった。...続きを読む
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    表紙とタイトルに惹かれて手に取ってみた。
    親目線で読むと、母親が終始気の毒で辛い。
    ハッキリとした結末を期待して読み進めたけど、釈然としないまま終わってしまった。
    翻訳は、洋書を読んでいるような気分になれてとても良かった。
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    文体が慣れなくて最初なかなか読み進められなかったけど、真ん中ぐらいから一気読み。
    お父さんやお兄ちゃんのことが結局どうゆうことなのかよく分からなかったけど、予想通りの終わり方でした。

    私小説っぽい?
    好きな人はハマりそうな小説だけど、私にはもう少し短い方が読みやすいかも。
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    最初の3分の1くらいは、どうしたものかと思いながら読んでいたけれど、真ん中過ぎからは止まらず、一気読み。

    翻訳にクセがあるのは、詩人の方が訳しているからか。
    びっくりするような誤植がいくつかあったのは残念。
    不思議で、予定調和のない世界観、どのキャラも痛烈な個性を持っていることが魅力。
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    靄に包まれるような気分でした。現実的でそれでいて非現実的だと思いました。短い文を重ねることからたくさんのこころを感じました。
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    子供の頃の私は、用水路に落ちた汚い葉っぱのようなもので、生きてるのか死んでるのかわからず、むしろ自ら仮死状態を装っていました。

    時々まれに覚醒することがありました。その1つに、自宅にて、ロッテから発売していた「ジャフィ」というオレンジジャム入りのチョコレートビスケットを見つけた時です。後からなんと...続きを読む
  • レモンケーキの独特なさびしさ
    食べ物に敏感でその産地から作り手の気持ちまで感じてしまうローズ,その生きにくさを思うと怖くなるほどだ.9歳からその能力?に目覚め,ただ生きるためにあるいは食べるために払う努力工夫に圧倒される.そしてその兄のジョーのまた変わった性質,違う物の世界へと侵食される様な形に,ローズだけは気がつく.ただ生きて...続きを読む