エイミー・ベンダーのレビュー一覧

  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    たまらなく愛おしい物語。
    エイミー・ベンダーは人間の感情を描くのがほんとに上手い。
    母親のこさえたケーキをかじった9歳のある時から
    食べ物をこさえた人の感情しか味として感じられなくなる少女が成人するまでの物語。
    この一家の秘密と、兄の悲しすぎる能力に衝撃をうける。
    人間は渇望と虚しさを飼い慣らして生きていくが
    それに食い殺されるのもまた、人間らしい気がする。

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    2021年01月22日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    エイミー・ベンダーは、はっとするような言葉で読者を引き寄せたりしない。訥々と単純な言葉を重ねてゆく。けれどもその言葉の組み合わせが穏やかではないので、とても非日常的な物語が展開する。しかしそれもよくよく眺めてみれば、誰にでもある小さな違和感を少しだけ別の出来事のように描いてみせるだけなのだ。決して大袈裟に言ったりしないだけで。

    sensitiveとtoo sensitiveの間のどこに線を引けばよいのか、という問い掛けが日本の読者に向けた作家の文章の中に出て来る。恐らくその疑問に対する物語であることが本書の全てであり、結果として、自分を取り巻く世界に対して生まれて初めて抱いた違和感が、実はま

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    2017年05月17日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    他の人の感情がわかればいいのに、と思ったことは何度かあるが、やはりそれはそれで苦労が多いと思う。
    寂しさは誰もが感じる感情で、それを癒すことができたら相手は頼りにするかもしれないが、自分の寂しさは癒えることがない。Sensitiveとover sensitiveの区切りがどこからか、という箇所が印象に残った。

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    2025年05月18日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    セリフにカギカッコがない

    エイミーベンダーはやっぱり文学的だなぁと思うし、表現が好きです!
    この本読んで、レモンケーキ作りたくなったので作ったんだけど、CHA-CHA-CHAを聴きながらるんるんで作ったのでそんな味がするのではないかと思います

    ローズとジョージの関係性が私のなかで嗜好でした

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    2024年06月14日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    独特なさびしさ、というタイトルそのまんまの読後感。これがさびしいってことなんだと思う。すっきりしなくて、飲み込めないけど、いつか分かる日が来るんだと思う。「すぎる」と「足りない」の間の線について。

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    2022年12月06日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    まさに感受性という言葉にぴったりな物語だった。表現という表現がセンシティブ(本来の意味で)すぎる。このお話を読んでいるとまるでローズが何か人の作った食べ物を食べた時のようにローズの感情を感じられて、だんだんローズと同調してくるようで、一気に読むには少し重かった。少しインターバルが必要。文章の意味を追わずに表現だけをうっとりと眺めていたいと思った。

    時折登場人物が「へい(Hey?)」というところだけ翻訳が気になった。舞台がアメリカと考えれば自然(?)な呼びかけか。

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    2022年03月28日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    食べ物から作った人の中身を読み取ってしまう9歳の少女ローズが、その能力故の辛さを抱えながら成長していくストーリー。
    ローズの天才的な理系少年の兄は成長とともに、自分より優秀な少年達が多く存在することを知って内にこもっていく。その兄には説明も理解もし難い能力がありローズだけがそれを理解する。
    この特殊な兄妹に対して両親は基本的に普通なので、このストーリーを現実世界から浮遊させることなく読み進めます。
    ローズの未来に希望を感じつつ、兄のことが気になって、心にざわざわ感が残りました。

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    2021年06月01日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    ネタバレ

    本当にこの人の翻訳がとても読みづらくて苦手。でもエイミーベンダーの小説の雰囲気は好き。でも私が読んでいるのは翻訳版のみ。結局私はこの読みづらい翻訳の雰囲気が好きなのか?

    "そんなにちがったことだったのだろうか、私がまだ工場で作られ自販機で売られる食べ物を食べるのを好んでいたことは?… そのころ私は十二歳くらいだった。学校であの自販機がなかったなら、いったいどうやって一日を過ごせたことか、わからなかった。私は、ありがとうというお祈りを自販機にむけ、毎晩それに商品を補充する人、また商品を買う人にもむけた。
    それははたしてカードテーブル用の椅子を選ぶことと、それほどちがったことだったろう

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    2020年09月01日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    ネタバレ

    特殊能力やアリエナイコトが起こるこの物語を、ただ深い意味のないファンタジーと捉えることもできるかもしれない。
    でも、誰かの心の中で起こることは、その人の中での真実。現実とそうでないことの境目は、常に曖昧だ。自分には信じられないからと、それを嘲笑ったりたしなめたりすることが、なんの役に立つのだろう?
    著者のエイミー・ベンダー氏に、「あなたはどこまで他人の真実を受け入れられますか?」と聞かれているようだった。

    “食事はあいかわらず食事だし、食べ物はあいかわらず決まったはじまりと終わりのあいだにある、そして私は自分に食べられるもの食べられないものを自分で決められる、と。そして父の場合は完全に避けて

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    2020年06月28日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    面白かったです。エイミー・ベンダーの本を読むのは久しぶりでした。
    料理を食べると、作った人の感情が解ってしまう力を持つローズが哀しくも、でも料理に携わって生きていこうとする光を感じました。
    彼女の家族もつらくて…ローズの兄のジョゼフは世界を手離して、椅子になってしまうのでしょうか。そこがよくわからなかったのですが、この作者さんらしい不思議さでした。
    空気を読む、とかのレベルでなく、人の感情が解ってしまうというのは大変な能力です…人の秘密や、知りたく無いことまで知ってしまう、というのは悲劇です。
    それでも絶望せず、最後は進む道を獲得するローズが眩しかったです。ローズの能力を知っている、ジョゼフの

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    2019年08月23日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    おもしろかった。半分くらいご飯の話していた気がするけど、主人公の能力の影響で、読んでいてもお腹がすいてこなかった。著者のあとがきの「感じやすい人々」という表現はなるほどそうかと思った。どこか発達していると人の感情の機微に気が付きやすくて、生きづらい。うまい呼吸の仕方を見つけられる人もいれば、特定のものごとを避ける人も出てくるし、もちろん生きていけない人もいる。そういう話なんだなあと思った。
    訳のせいか元々の文章のせいか分からないけど若干読みづらい文章だった。

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    2018年07月17日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    ネタバレ

    自分で料理している時、主人公のことがふとよぎる。
    その瞬間の自分のことを顧みさせて貰える。
    真摯に材料をかけあわせているかどうか。
    わたしも主人公が口にしてもなんとか飲み込んで貰えるものがつくりたい。。
    でもこわいな。
    ひとに食べてもらうってほんとはそうなんだろう。
    ひと をすきなひとが書いた物語だなと思う。
    ひとを全身で理解しようとするのは愛がないととても無理だから。

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    2016年10月14日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    最初の、お誕生日にリクエストした、チョコレートのアイシングがたっぷりかかったレモンケーキ(なんて美味しそうなんだろ)を食べて、「ママとパパ、けんかしたの?」
    と、ママの寂しさ、空虚感に気づいてしまうシーン!これを読んだらもう最後まで知りたくなる。小さなローズの繊細さ、食べ物に、特に母の作る食べ物にとらわれる日々。

    その中で父のおかしな習性、天才肌の兄と素敵な兄の友人ジョージ、近親相姦のように兄に固執する母。
    ローズ自身もそんなに簡単に友達とやって行くことも出来ない… 毎日がハッピーだと思い込んでる人たちとは違い、この家族が大好きだ。

    不思議なアイテムがいろいろ登場する。それらに気をつけて読

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    2016年08月16日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    九歳の誕生日の週、ローズは食べ物の中に潜む味がわかるようになった。

    チョコレートチップは工場製なので、かすかに金属的で上の空みたいな味がするし、バターは室内で飼われた雌牛からとったものなので、ゆったりとした味わいに欠けているーーーこうした材料のすべてが遠くでぶんぶんと唸るような音を立てていて、ぜんぶを混ぜてドウをこねた職人さんは、怒っていた。

    サンドウィッチがあなたに愛してほしいって、

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    2016年06月25日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    "ガーリーもの”好きな人たちには、とっても受けそう。
    感じやすいって生きにくいんだけど、そのずっとずっと先に違う地平もあるんだよ、と言ってあげたくなる。

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    2016年06月07日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    食べ物にまつわる特殊な能力を持つようになった少女と、その家族の物語。ファンタジーな設定がところどころに散りばめられつつも、家族のままならなさや、頼りなさ、寂しさ、絆などが垣間見える、読後感爽やかな作品でした。

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    2025年01月28日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    誰かが孤独を抱えていてもなぜ孤独なのかまではわからなかったりするだろうし、その孤独を自分が癒せないことだって往々にしてあるのだろう。

    食べ物の味で作り手の感情がわかる、という一見ポップな設定ながらも、訥々とした書き振りで、また、それぞれが孤独を抱えており、それが癒されることもないという物語だった。
    お兄さんはおそらく、主人公と同じような特別な力があり、常に「何か」がわかってしまう人だった。そのことに耐えきれなくなり、椅子になることにした、ということなのかな?

    食べ物の味で作り手の感情が手に取るようにわからなくても、誰かの感情を汲み取れる、という力は、程度は異なれど誰にでもある。
    私がたまに

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    2023年04月24日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    表紙とタイトルに惹かれて手に取ってみた。
    親目線で読むと、母親が終始気の毒で辛い。
    ハッキリとした結末を期待して読み進めたけど、釈然としないまま終わってしまった。
    翻訳は、洋書を読んでいるような気分になれてとても良かった。

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    2022年10月23日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    文体が慣れなくて最初なかなか読み進められなかったけど、真ん中ぐらいから一気読み。
    お父さんやお兄ちゃんのことが結局どうゆうことなのかよく分からなかったけど、予想通りの終わり方でした。

    私小説っぽい?
    好きな人はハマりそうな小説だけど、私にはもう少し短い方が読みやすいかも。

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    2022年03月21日
  • レモンケーキの独特なさびしさ

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    『燃えるスカートの少女』が良かったので。タイトルもすごく気になる。食べ物を作った人の感情が読み取れるようになってしまった少女の話。

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    2021年12月15日