作品一覧

  • 禅とオートバイ修理技術 上
    3.9
    かつて大学講師であった著者は失われた記憶を求め、心を閉ざす息子とともに大陸横断の旅へと繰り出す。道中自らのために行なう思考の「講義」もまた、バイクの修理に端を発して、禅の教えからギリシャ哲学まであらゆる思想体系に挑みつつ、以前彼が探求していた“クオリティ”の核心へと近づいていく。だが辿り着いた記憶の深淵で彼を待っていたのはあまりにも残酷な真実だった…。知性の鋭さゆえに胸をえぐられる魂の物語。

ユーザーレビュー

  • 禅とオートバイ修理技術 下

    Posted by ブクログ

    自分の悩みや疑問を代わりに考えてくれた、ある種運命的な本。

    ロマンと古典、直感と理性、文系と理系などなど…
    日常の中には常に対立したもの、人が存在する。

    どうしてこうも分かり合えないのだろう?
    同じ世界に生きていながら、なぜ真っ二つに分裂してしまうのだろう。
    片方を重視すればもう片方を蔑ろにしてしまう。
    理詰めで考えたものは息苦しく、複雑な容姿になる。かといって見た目を重視すれば、中身がスカスカ。
    それらを一つにできる考え方はないんだろうか?
      
    筆者は息子とバイクに乗りながらそれを教えてくれる。途中途中で「何いってんだこいつ」となるような表現も多々あります。たとえ結論がわからなくとも、

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    2021年05月11日
  • 禅とオートバイ修理技術 下

    Posted by ブクログ

    こんなはずではなかった、昔の自分はもっと希望に溢れ、夢に向かって邁進していた…

    こんな中年の喪失感への対応には3通りある。一つは、あの頃の自分は若かった、現実はこんなものだと過去の自分を捨てる。二つ目は、やはり夢は諦められない、と今の自分を捨てる。もう一つは、昔の夢を改めて考え、今の自分と昔の自分を融合して、新たな目標に進む。

    本書の著者は、かつて大学で修辞学を教えるうちに、「良い」とは何か(本書ではクオリティと表現)を追求しはじめ、哲学の道に進み、大学の旧態依然とした価値観と衝突し、最終的に心を病み、精神病院に入院して電気ショック療法を受け、記憶と家族を失った。

    その後、退院して別の仕

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    2020年11月06日
  • 禅とオートバイ修理技術 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    "Zen and the art of ……"の発祥の本です。

    ものすごく頭の良い人がいるのだと、ただ、ただ圧倒されながら読んでいます。
    感想は下巻を読んだ後に。
    (といっても上巻を読むのに半年かかっているからなぁ……)

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    2012年05月01日
  • 禅とオートバイ修理技術 下

    Posted by ブクログ

    ずーーーーーーーっと頭の中で考えていたことを整理するきっかけをくれた本。
    本著で言う、「理性(古典)」的な考え方と「経験(ロマン)」的な考え方のどちらかが崇高なのではなく、両方のバランスが大切なんだなぁ、というのが私なりの結論。

    自分の言葉で説明を試みるなら、前者は「ロジック」、後者は「フィーリング」と例えることができるのではないか。
    それはトップダウンの「西洋都市計画」と、ボトムアップからおこった「日本のまちづくり」に例えることもできると思う。

    大切なのは、どちらか一方で十分なのではなく、両方の考え方の使い分けが必要なんだ、ということ。
    日常生活で例えれば、計画性無しにその日暮らしで生活

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    2011年04月12日
  • 禅とオートバイ修理技術 上

    Posted by ブクログ

    例えば「常識を疑え」なんて実に陳腐な言葉だが、見落としがちなのは常識を疑う時に拠って立つ場所がすでに常識を前提としているのだと、そういうことを指摘している本。
    オートバイのようなシステマチックに作られたものと、そういった理論の積み重ねや分析だけでは乗り越えられないもの、そのギャップについての思索なんだと解釈した。
    下巻の展開を期待。

    0
    2010年05月23日

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