作品一覧

  • シルクロード世界史
    4.6
    1巻1,760円 (税込)
    かつて、「歴史」を必要としたのは権力者だった。権力者は自らの支配を正当化するために歴史を書かせた。歴史家は往々にして、権力者に奉仕する者だったのである。しかし、近代歴史学の使命は、権力を監視し、批判することにこそある。近代世界の覇権を握った西洋文明を相対化し、西洋中心史観と中華主義からの脱却を訴える、白熱の世界史講座。 近代以前の世界では、中央ユーラシア諸民族の動向が、歴史を動かしていた。騎馬遊牧民はどのように登場し、その機動力と経済力は、いかに周辺諸国家に浸透していったのか。シルクロードのネットワークを媒介とした「前近代世界システム論」とは。ソグド人やウイグル人のキャラバン交易や、キリスト教の最大のライバルだったマニ教の動向などを、ユーラシア各地に残る古文書、石碑の読解から得たオリジナルな研究成果をもとに解明していく。そこから見えてくるのは、あらゆるモノは歴史的所産であり、文化・言語・思想から、政治・経済活動まで、すべては変化し混ざり合って生み出され、純粋な民族文化や普遍的な国家など存在しない、という真実である。さらに、近年日本で発見されて世界的な注目を浴びるマニ教絵画から、日本伝来の史料で明らかになるシルクロードの実像まで。「興亡の世界史」シリーズ最大の話題作『シルクロードと唐帝国』の著者による、待望の書下ろし。
  • 興亡の世界史 シルクロードと唐帝国
    3.3
    1巻1,430円 (税込)
    講談社創業100周年記念企画「興亡の世界史」の学術文庫版の第2冊目。「シルクロード」とは、単なる「ロマン溢れる東西交易路」などではなく、政治・経済・宗教・文化交流・戦争の現場、すなわち世界史の舞台だった。突厥、ウイグル、チベットなど諸民族が入り乱れたこの地域で、大きな足跡を残して姿を消した「ソグド人」とは。騎馬遊牧民の動向を追い、中央ユーラシアの草原から中華主義とヨーロッパ中心史観の打倒を訴える。

ユーザーレビュー

  • シルクロード世界史

    Posted by ブクログ

    自らが研究してきた、とりわけソグド人が果たしてきた役割の大きさを強調している。加えて、西洋中心史観への強烈な反発を前面に出している。だから、一般向けに、あるいは教科書的に通説に従い微温的な見解でまとめた歴史本が多い中で、個性の強い本である。(トンデモ本ではない)
    ただし自説であるところは明記して、しかも簡潔に根拠も示しているから、他の論述と容易に区別できる。
    他の研究者の営みを乗り越えて先に進むところをを垣間見ることができる楽しさがあって、あちこち付箋だらけになった。とはいえ近頃の、波風を立てることを嫌がる若い人たちからすると刺激的すぎるかもしれない。

    1
    2020年10月25日
  • シルクロード世界史

    Posted by ブクログ

     「興亡の世界史」シリーズの『シルクロードと唐帝国』において、決して多くはない騎馬遊牧民側の史料も縦横に読み解き、中華史観を一掃する歴史の捉え方を提示した著者による、新たな一般向け概説書である。

     現在の学会の水準では通説化しているのかもしれないが、非常に刺激的な見方や見解が随所に展開され、また新たな資料群が紹介されるなど、ページを繰るのが楽しかった。

     著者はウォーラステインの「近代世界システム論」に倣って、「前近代ユーラシア世界システム論」を提唱する。それは、ユーラシア北半分の遊牧国家が騎馬軍団の軍事力に依拠して南の農耕国家から資源・財物を恒常的に吸収し、その再分配システムを構築し、国

    1
    2020年09月13日
  • 興亡の世界史 シルクロードと唐帝国

    Posted by ブクログ

    20240730026

    大唐帝国を支えたシルクロードは物だけではなく多民族が入り混じるユニバーサルな国だった。唐、突厥、ウイグル、ソグド。様々な民族が時代を彩る。

    0
    2024年07月30日
  • 興亡の世界史 シルクロードと唐帝国

    Posted by ブクログ

    漢民族の国ではない、中央ユーラシア史に位置づけられる唐帝国の歴史を描く。その中にはシルクロードで活躍するソグド人の商人、取引される奴隷、唐の社会で流行を巻き起こした「胡」の文物などが描かれる。確かに高度な内容なのだが、限られた資料から歴史を読み解く面白さも味わえる内容だと思う。

    0
    2022年11月01日
  • 興亡の世界史 シルクロードと唐帝国

    Posted by ブクログ

    唐の内部事情をのみ扱うのかなと読みはじめたら外部との関係の話題がほぼ占めており、やや戸惑った。特に1章から2章へ接続して、ソグド人にまつわる論が展開する流れは読む目的がよくわからなくなってしまった。
    ところが、3章以降は比較的に面白く読めて、私が不勉強なだけだが、突厥と古ウイグル(回鶻でいいのかな)の唐との影響関係などは抜群におもしろい。つまり、唐というフレームで論じるのが土台無理というのがハッキリするし、つまりそれは企画の限界に到達ってことだ。シリーズは4巻まではユーラシアで一貫して扱うようだが。

    0
    2022年01月05日

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