杉江弘の一覧
「杉江弘」の新着作品・人気作品や、最新のユーザーレビューをお届けします!
-
作者をフォローする
- フォローするとこの作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
ユーザーレビュー
-
オペレーションに関しては「軍事」「医療」「航空」の現場に携わった方の知恵が一番信頼できる。これらに共通しているのは「失敗したら命が失われる」現場であるということである。
さらに「航空」については、30年前に読んだ『大空港25時(鎌田 慧著)』以来、心を引きつけられる分野でもある。
今回、偶然かつ
...続きを読む何気なく本棚からとってみたが、以前読んだ「機長の『失敗学』」を著した方と知ったのは最後の著者紹介のところであった。
本の中身についても、いろいろな事故からの教訓、および提言に飛んでおり、非常に興味深く参考にさせられたところも多い。
特に印象に残ったのは、最後の章のエピソードである「著者が副操縦士であった時に、機長の意に反してコントロール権を握った」ところである。
いざというときに、その後の人間関係や昇進などといった雑念に惑わされることなく与えられた職責を全うできるか、というのは、まさしく普段から「何を優先させなければならないか(この場合は乗客の安全)」といったことを信念として持っていたからに他ならないからであろう。
日々のオペレーションに携わる人や、信念を持って仕事をしたい人、また、単に航空業界に興味がある人にもお勧めしたい。
Posted by ブクログ
-
マレーシア航空370便墜落事故について知りたくて読書。
著者は元JALの機長であり、航空機事故を検証してきたエキスパート。
この370便が消息不明になる1週間前にマレーシア航空に乗ったのでよく覚えている。
本書は、航空機の構造、これまでの航空機事故の原因、事故後どう変わったかなど分かりやすく説
...続きを読む明している。
その上で事故当時に話題になった様々な説について著者の見解を述べている。
後半はマレーシアという国の歴史や政治、国内事情について言及し、結論は、機長による犯行だったのではないかと匂わせている。実はそれが権力闘争に関わる部分なので国家ぐるみで隠蔽している。だから、事件の真相は永遠に明らかにならないだろうとしている。最後の真相が明らかにならない点は現実になっている。
著者はマレーシア政府に強い疑念と不信感を持っているようだ。読み進めていくと、2017年2月の金正男氏殺害事件でのマレーシア政府や警察の発表や対応。そして、不可解な手打ちで事件をウヤムヤにしたのは、マレーシア航空370便墜落事故とまったく同じなのではないかと思ってしまった。
もっと早くこの事件に着目して経緯を追っておけば、金正男氏殺害事件後のマレーシア当局の発表に不要に振り回されずにすんだかもしれない。
本書を読んで、マレー人と華人、さらにマレー人の中での権力闘争の歴史、現状などマレーシアの国内事情をもっと勉強する必要があると痛感。
日本人は、マレーシアを過大評価しすぎて現実のマレーシアが見えていないのかもしれない。いい機会なので、今後へ備えてマレーシアの歴史や国内事情についてもっと学ぼうと思う。
読書時間:約1時間10分
本書は知人からいただいたものです。有り難うございます。
Posted by ブクログ
-
2014年のマレーシア機撃墜事故にも言及しており、新しい事象も網羅している。
国際線の操縦士は昔から英語の資格が必要だと思っていたけど、2008年から必要(航空英語能力証明)になったとのこと。
また、政府専用機をB747-400(4発機)からB777-300ER(2発機)に変更することはいかがなも
...続きを読むのか、といったコラムはなるほどそういう考えもあるな、と納得。
Posted by ブクログ
-
元JALパイロットの著者が、現代のハイテク機の危険性を指摘する。
自動化され少人数で運行されている現代のハイテク機において、墜落の原因の多くがヒューマンエラーによるものとなっている。著者は現役時代に何度か危険な事象を体験し、様々な提言を行ってきた。コクピットの人数が3人体制から2人体制になると、チー
...続きを読むムとしてのチェック機能が低下すること、操縦機器のデジタル化による危険性、運行の自動化によるパイロットの技量低下、計器の使用方法やボタンの押し間違い等のミス、メーカーの設計、理論と現実のギャップなど、多くの事例を挙げながら問題点を考察していて読み応えがあった。
帰省の足として飛行機をよく利用するが、コクピットでどのような事が起きているか等考えたこともなかった。この本を読むと、安全が当たり前のように運行されている航空機には、常にリスクが付き物であるということを考えておく必要がある。
日航ジャンボ機が墜落した頃、搭乗前に1日保険に入る人が多かったが、最近は見かけなくなった。ローコストで運航されるLCCに乗るときは、保険に入っておくことも考えておいたほうが良いかもしれない。家族を持つ搭乗者としてできることは、それくらいだろう。
ちなみにこの本のタイトルは、内容を真面目に反映したものだが、何となく野暮ったい感じがする。一般向けにもう少しシンプルなタイトルにしたほうが良いと思う。
Posted by ブクログ
-
ウクライナ上空で撃墜された17便ではなく、今年の3月にマレーシア上空で行方不明となった370便の事件について、かつて現役機長として現場空域の飛行経験もある著者による分析。事件発生直後に流れた「中央アジアまで飛行してタリバンに引き渡されたのでは」、「米軍が極秘に機体を保管しているのでは」等の様々なゴシ
...続きを読むップ的な推論に対して、現在私たちが知りうる情報と機長としての経験をもとに検証していきます。非常に理路整然と選択肢を一つ一つ消してゆく著者の推論の進め方には飛躍がなく、説得力があります。その著者がもっとも可能性が高いと推測するのが「機長自らの政治的な意図を動機とした事件ではないか」というもの。なぜその結論に収斂するのかは本書を読んでみてください。
この事件に限らず、様々な過去の航空機事故を引き合いに出し、その根底には「空の旅は何よりも安全が最優先で、人生のよき思い出となるべきであって決して悲劇の現場となってはならない(本書あとがきより)」という著者の強い信念が伝わってきます。
日本では航空機に限らず事故調査が「再発防止」よりも「刑事責任追及」に重点が置かれている現状に対する警鐘など著者の様々な提言にも共感できる部分が多いです。
Posted by ブクログ
杉江弘のレビューをもっと見る