本書は、物流・ロジスティクス工学を専門とされる大学教授の著者が、はかどる技術について紹介されたものである。はかどるためには滞りをなくすことが重要であり、それによって時間管理等のムダ、ムラ、ムリをなくし、仕事も勉強もこなして成果を出せるようになる。
他の仕事効率化等の本とは異なる点や共通点もあり、物流・ロジスティクス工学の観点から見た新しい視点が得られたと感じる内容であった。一読しただけであるが、適宜、見返すことによって本書をより活用できるのではないかと思う。
プロローグ 今日からあなたは「滞り」知らず
・特定の時間帯や作業に集中しようとする→心理的/物理的に「滞り」が発生
・タイムパフォーマンスやスケジュール管理を行う仕事術→「滞り」をなくす
・「全体最適」が実現されていなければ計画が進まない→特定の曜日や時間帯に過度な期待を抱かない
・「自分にとって優先すべきタスクは何で、そのためにはそれ以外のタスクのピークにどう対応していくか」を考える
・仕事量などのムダ、ムラ、ムリをなくす→必要なときに、必要なことを、必要な量だけ行う
1. 時間の滞りを解消する
・朝や夜に期待せず、昼の2時間に集中→朝や夜を予備の時間(バッファー)として捉える
・朝や夜の活用方法は突発的なタスクへの対応→習慣的なタスクを入れる場合は期間を区切ってプロジェクト形式で対応(資格試験対策のため○○まで早起きするなど)
・タスクの優先順位は重要度よりも難易度→重要度×緊急度でなく難易度×緊急度で見る(難易度高・緊急度低(締切のある資料作成など)を少しずつこなす)
・資格試験対策のポイントは「滞りを解消する」こと→集中的に勉強すると滞りが生じる。休憩をしっかりとったほうが、効率は上がる(滞りが解消される)
・整理整頓は3定(定位・定品・定量)で空間的な滞りを解消
・タイパを良くしたいなら、仕事とプライベートは切り替えない(金曜午後と月曜午後が非効率になる)→平準化
2. 仕事の滞りを解消する
・月曜の会議(進捗状況報告)は慌ただしく非効率→トヨタ社では火曜に週次会議。滞りをなくすという観点では金曜夕方が最適(締切効果)
・不要な報連相が滞りを誘発→必要な情報を必要なときだけ共有(SCMの考え)
・納期・締切は月金は最悪のタイミング→火水木で設定(双方の負担少ない)
・干渉がなければ滞りもない(上司は部下に任せる)→任され、期待され、注目されているという雰囲気を肌で感じ取ると、モチベーションが大きく上がる(部下が大きな成果を上げたときは認め、評価し、一緒に喜ぶ)
3. 勉強の滞りを解消する
・難しい資格は時間がかかるので、簡単な資格取得で可能性を広げる→まずはスモールスタートを切り、小さな成功を膨らませていく
・夜3時間の勉強はNG!朝・昼・夜それぞれ30分で効果は2倍→出題科目・分野が多ければ、細かく時間を区切って、一問一答などを繰り返していくのが効果的(バッチ処理ではなくリアルタイム処理)
・適度なブレイクを挟みながらマルチタスクで勉強するほうが効率的→分散学習(30分勉強→30分家事等→30分勉強。物流でいうセル生産方式)
・隙間時間(通勤時間など)にはYouTubeを活用
・資格は身の丈に合ったレベル、1か月で取れるものから取る→勉強は新しい見方や考え方に触れる大きな刺激になる。小さな資格でも取得することで大きな自信
・加速度をつけて1年以内の勉強で合格を目指すロードマップをつくる→興味とモチベーションがあり、タイパを意識した勉強時間の段取りが出来上がれば、半分以上合格が保証されたようなもの
・朝5分・昼15分・夜30分(時間帯に応じた分散学習)→朝(通勤):再頻出項目の確認(ピーク対応として必要最小限の重要事項の確認)、昼(昼休み):一問一答などの短答問題演習(オフピークの昼食休憩を活用して簡単な問題演習)、夜(帰宅中・帰宅後):帰宅直後に重要事項を暗記。参考書などを活用した深堀の理解
4. 人づきあいの滞りを解消する
・相談を受けたら可能な限り解決を手伝う→自分の滞りを解消することになる(自分の悩みの解決策になることもある)
5. 人生設計とお金の滞りを解消する
・適切な意思決定のためには、短期的な人生設計ほどうまくいく
・買い物上手は「安さ」ではなく、「快適さ」と費用対効果を重視→部分最適よりも全体最適