異常に面白かった。
リバモアの半生を描いた自伝のような内容。
驚きなのが本人が書いていないにもかかわらず、リバモアの投資哲学や相場に対する考え方、投資に対する姿勢などが詳細に書かれており、金言、箴言、至言の宝庫だということ。
どの仕事にも言えることだと思うのだが、個人的な見解として、ハウツー本
...続きを読むなどのように既に抽象化されたものを自分の中に取り入れるよりも、こういった詳細な事例を基にして、いったん取り込んだ後に自分なりにブツブツ考えながら物事を抽象化したほうが、よりその本質に近付いていけると考えている。
もし自分が導き出した概念が間違ったとしても、それを修正していくことでより身についていくと感じる。
マニュアルのようにすでに最適化されたものを要領よく覚えていくことが一番効率的なのだろうが、試行錯誤して部分最適を考慮しながら全体最適を図っていった方が、個人的には遠回りでも良いと思っている。
(つまり私は要領が悪く、人の話をあまり聞いていない)
マーケットの魔術師にしてもそうだが、そういった意味で真実が細部に宿っているなと感じる。
このように市場や相場の機微に触れることができる書籍は、めったにないと感じる。
どちらかというとリバモアはバフェットやグレアムといった投資家というよりはトーレーダー(投機家)なので、ウォール街のランダムウォーカーでいうところの砂上の楼閣学派にあたると思う。
そのため、ここに書かれていることがフィットしない人も多いと思う。(ランダムウォーカーでは砂上の楼閣学派は基本的に破綻をきたすと記されているので)
しかしながら
自分の判断が正しいと自信をもってゲームに臨む
すべきではないことを学ぶ
投機家の最大の敵は自分の中にある
辛抱強く待つ
研究を怠らない
など、この書籍は投資に関してだけではなく、人生において大切なことを教えてくれる。